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AYA世代と一括りにしても

若年で癌を発症した場合、いろいろと悩みが多い。
恋愛、結婚、妊娠、出産、育児、仕事。

同じような境遇の人と話したい、会って勇気をもらいたい、同じ悩みを共有したい。
そう思う人はきっと多い。
がんは2人に1人はかかる時代だといってもAYA世代で癌になる確率はとても低く、病気になった悲しみや苦しみ、再発の不安などを1人で抱え込み孤独になりがちである。家族が支えてくれる人も多いだろうが、若年で癌になった悲しみや不安は当事者でないとわからない。
同じ境遇の人と話して、辛い思いをして頑張っているのは自分だけじゃないと思えることは励みになり前を向くきっかけにもなる。

AYA世代という言葉はホットワードで、近年その輪は広がりつつあるが、まだ支援体制は不十分で、簡単に集まりやグループにアクセスしにくい。そして働いている人も多く、平日に病院でAYA世代の集まりが開催されたとして参加できない人も多い。

そして、一言でAYA世代と括られても、15-39歳の癌患者が置かれた状況はさまざまである。
極端な話をすれば、10代で発症して、今から結婚や妊娠、就職などが未来に待っている人と、30代後半で仕事があってパートナーがいる人とでは悩みが全く違う。
その二者がAYA世代の集まりだから、と引き合わされたとして、必ずしもポジティブな結果を生むとは限らない。

ならもう少し狭く年齢で区切ればどうか、という話になるが、例えば同じ35歳だったとしてもAさん(未婚、パートナーなし)とBさん(既婚、子ども2人(2歳と0歳))とCさん(既婚、子ども15歳)は、これも置かれた状況が違うし悩みや不安も違う。これも、(人によるとは思うが)この人たちが出会ったとして、それは彼らのAYA世代の繋がりがほしいというニーズの半分ほどしか満たさないのではないか。

例えば私が1a1期の人と話して、"今は元気です!"と言われても、そもそもステージが違うし、術式も違えば追加治療もなかったのだから、きっと共感することは少ない。自己導尿もしなくてよかったのだろうし、リンパ浮腫の後遺症に怯える必要もないし、なにより再発率も違う。

私の、「せめて子どもが小学校にあがるまでは、中学生になるまでは、成人するまでは」という祈りは、同じくらいの年齢の子どもを持っている人としか共感し得ない。

癌のタイプ、ステージ、性別、予後、年齢、既婚未婚、パートナーの有無、子どもの有無(正確には子どもの人数も)、仕事をしているかどうか。
考えられるだけでもこれだけのバラエティがある。AYA世代の"同じ境遇の人と話したい"というニーズは、きっと"単にAYA世代の癌の人"という大きな枠組みでないことが多いように感じる。

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