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【子宮頸がんの記録#23】脱ウィッグ

ラストケモから5ヶ月。
髪がだいぶ伸びてきた。

襟足は血流がよいので伸びるのが早い。もう5cm以上ある。
でも頭頂部はまだ4cmくらい。
私の髪の毛は硬くコシがあるから、頭頂部の短い髪の毛は浮く。おとなしくしおれていればそれなりの髪型になりそうなものなのに、浮くから下から持ち上がるように頭頂部付近の髪の毛が5cmくらいの厚みで浮いている。
キャップをかぶっても格好つかなくなってきた。
とんでもない髪型である。

治療終了後4ヶ月の定期通院で問題がなかったから、美容院へ行った。
本当はもう少し早く行きたかったのだけれど、診察日の前に行く気にはどうしてもなれなかった。

再発したら、また髪が抜けてしまうだろうから。

髪をすいてもらって、襟足を切った。ただそれだけなのに見違えた。
こんな髪の毛は、美容師さんでさえお手上げじゃないかと思ったけれど、美容師さんの手にかかるとみるみるかわいくなった。
「もう少し早く来てもよかったね」と美容師が言うほど、私の髪は伸びるのが速いらしい。

前回は悲しくて泣いたけれど、今回は嬉しくて涙腺が緩んだ。


ベリーショートデビューである。
10年ぶりにカラーもした。
頭皮を守るため、毛先だけのカラーでピンクベージュに。
どんなふうになるかドキドキしていたけれど、とても素敵に仕上げてもらって、スキップして帰りたい気分だった。
もう帽子を被らなくてもいい。


保育園の送迎で、ママ友に会うと驚かれる。
「なんでなんで!?」と聞かれて、「ん〜心機一転?」と答えられるくらいには強くなった。

抗がん剤治療をしていたことを知っている保育園の先生でさえ、「ばっさりだね〜!」とリアクションするものだから苦笑した。
伸びたんですよ。ウィッグ、取ったんですよ。

「子どもたちの反応はどう?」
そういう体《てい》にしてくれているのかと思ったけれど、そうではなかったよう。

(子どもは普段家で見ているんだから、驚くはずがないでしょう)


職場は当分ウィッグをかぶっている予定だったけれど、ウィッグと地毛の二重生活がいつかボロが出そうだったことと、面倒だったこと、仕上がりが予想以上によかったことから、職場でもベリーショートデビューをすることにした。

「大胆なカッティングですね、なんで切ったんですか!?」
という同僚からの問いにも、笑ってごまかせるようになった。

実は、癌で脱毛しちゃって。これ、伸びてきたほうなんですよ。
なんて言ったら場が凍るだろうから笑ってその場を凌ぐ。

「どんどん髪が短くなりますね!」
この一年で、ロング→ボブ→ショート→ベリショと髪型が変わったのだ。そう思われても仕方がない。
髪型迷子に見えるのだろうか。攻めた髪型にしたなと思っているのだろうか。
これは、めげそうになりながら、70000円をかけて、頭皮冷却をした私の努力の結晶なんですよ。
一生懸命生えてきてくれた、大事な髪の毛なんですよ。

そんなこと言っても困るだろうから、今日も笑ってごまかすのだ。
「もうこれ以上は短くならないですよ」

短くならないと、いいな。



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