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人は毛がなくなるとどうなるか

眉毛はなくなっても描けばいい、まつ毛だってつけまつげがある。
陰毛や鼻毛に至っては、なくても別に困らないだろうと思っていた。

でも、実際に毛がなくなるとかなり困った。

まず眉毛は全くない状態からアイブロウペンシルで描くのはとても難しい。
眉毛のカーブ、始点もなんとなく描いてみるから、左右対称にするのが超絶むずかしい。
これは慣れだと思うが、眉毛がないことの最大のデメリットは「描いた眉毛がすぐに消える」ことである。
少し手や指が当たったくらいで容易に消える。
そして、そのことに自分は気がつかないから厄介。
お風呂に入って鏡を見てびっくり、片方の眉毛が途中から途切れている、なんてことはよくある。
おいおい、いつからだよ。
人間、眉毛がなくなるととても不細工になる。
一日中眉毛がちゃんとあるか気にしていないといけないのは少ししんどい。

次にまつ毛。
まつ毛こそそんなになくても困らないかと思っていたが、そうでもない。
まず目にとてもゴミが入る。風が強い日はゴミが入りすぎて涙が出てくる。
そしてまつ毛がないと、これまた不細工に拍車がかかる。辛い。
つけまつげがあるじゃない、と思ったが、人生で一度もつけたことがないつけまつげは難易度高すぎて、付けてみたが変だしすぐに外れるし、でやめた。

陰毛はまあそんなに困らなかったが、鼻毛は割と困った。
鼻毛がなくなると鼻くそが異常に溜まる。
そして鼻水がサラサラ流れてくる。何も障害物がないのだから、水滴が滴り落ちるように流れる。鼻毛の存在意義たるや。

そして髪の毛。
抗がん剤をすると決まったとき、一番ショックだったのは髪の毛の脱毛。
高校生の頃からずっとロングで、就職してからは髪の毛に気を使うようになって月に1回トリートメント。癌が発覚する1週間前にはさらさらになる髪質改善ストレートパーマ(2万円)をかけたばかりだった。
いろんな人に髪が綺麗だねと言われて、さらさらの自分の髪の毛が自慢だった。
だから、抜けるとわかったときはたくさん泣いた。
抜け始めた頃の写真を記録として撮っているが、今でも見返すと涙が出るほど辛い。自分の人生の中でつるっぱげになる未来がくるとは思わなかった。

でも、ウィッグがある。最近のウィッグは種類も多く安価なものも多い。インナーカラーが流行っていたが職業的に躊躇われた私にはこれが格好のチャンスだった。
ロングとボブのウィッグを揃え、最初こそウィッグ生活を楽しんでいたが、このウィッグ生活にも大きなデメリットがある。
「ウィッグの手入れがとても面倒」
週に1回ならまだいいが、毎日ウィッグをつけていると静電気などで髪がギッシギシのバッサバサになる。前頭部のインナーキャップが見えるかもと不安になるが故にニット帽をかぶるとそれはさらに加速する。よく絡まるし、こげたのか?っていうチリチリの髪の毛も出てくる。
定期的にシャンプートリートメントをして、タオルドライ→ドライヤー→ストレートアイロンで伸ばす→スタイリング剤をつけるという一連の流れは小一時間かかる。櫛を通しながら整えるのだが、櫛が通らず「むきいいいいいいいいい」となる。ただかぶって脱いでをしていればいいんだと思ってた過去の自分に教えてあげたい。ウィッグ大変。
それに1日中ウィッグをつけていると痒くなったり痛くなったりすることもある。
はやく脱ウィッグをしたいけれど、半年から1年かかってやっとベリーショートになるらしい。個人的にはショートになるくらいまで頑張りたいけれど、それまでウィッグ生活に耐えられるかどうか。

結論、毛は大事。私の毛根がんばれ。


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