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おすくりポテル

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日頃(主にがんになってから)の思いを文章にしてみました。自分の頭の整理も兼ねて。自分の生きた証として文章を残したい。
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記事一覧

タイムマシンで抱きしめて

私の人生に「がん」という言葉がつきまとうようになって1年が経った。 「これからがんと告知…

りさ
1か月前
10

ネガティブは心を守るため

抗がん剤の3,4クール目が辛かった話を書いたが、5,6クール目あたりになると今度は再発の恐怖…

りさ
3か月前
2

無音のドライブ

癌を告知されてから、音楽を聞かなくなった。 聞きたくないわけではない。 いつもなら音楽を…

りさ
3か月前
9

「ごめんね」と「ありがとう」が心を削る

親のしつけの影響だろうか。 私は「ごめんね」と「ありがとう」をよく言うようにしている。 コ…

りさ
3か月前
14

雨、蕾に想う

癌になる前からよくしてくれていた先輩から、連絡がきた。 「ちょっと実験してみない?小さな…

りさ
3か月前
3

津波アラートで思う、あの日と今日

動悸がした。 運転中に、突然ワンセグの音声がはじまって、私は驚いた。 何も操作していない…

りさ
3か月前
4

ロングヘアとゴラムとモンチッチ

「綺麗な髪の毛ね。 」 はじめて訪れた美容院でそう言われて、涙が止まらなかった。 抗がん剤の副作用で脱毛し始め、髪の毛が部屋中に落ちるようになった。 抗がん剤でも1割の人は脱毛しないという。 「もしかしたらその1割に入れるかもしれない」という私の淡い期待は、抜け落ちる髪の毛と一緒にこぼれ落ちていった。 よく髪を褒められた。 自慢のロングヘアだった。 子どもが産まれてドライヤーで乾かす時間を面倒に思っても、それでも切らなかった。 脱毛したときに掃除が簡単なように、抗がん剤の

途中下車の彼女と味噌煮込みうどん

その日、私と彼女は名古屋駅で味噌煮込みうどんを食べていた。 つい30分前にはじめましての挨…

りさ
3か月前
5

友人選考試験

友達に癌のことを話すときはいつもドキドキする。 自分が傷つくかもしれない不安と、友人が一…

りさ
3か月前
13

誰かが祈ってくれるということ

前回の続きの話。 癌封じ寺に一緒に行ってくれた友人が、突然家を訪ねてきた。 少し照れくさ…

りさ
4か月前
7

2つのかわいそう

2つのかわいそう もともとひねくれている性格の私は、癌になってからさらにひねくれた。 若…

りさ
4か月前
5

AYA世代のがん患者:いつ復職できるのかな

8ヶ月ぶりに職場へ顔を出した。 その日は年に数回しかない特別な講演会の日で、よかったら、…

りさ
4か月前
6

もうすぐ通院日

病気になったタイミングで始めたSNSは今でも心の支えとなっている。 頑張っているのは、辛い…

りさ
5か月前
2

がんサバイバーを名乗れない

がんサバイバーという言葉は癌になる前から聞いたことはあった。 がんに罹患して、根治した人のことかなと漠然と思っていた。 しかし、実際にがんになってから調べてみると、治療中の人も診断されたばかりの人も含まれていて"がん経験者"って意味で使われているよう。 かくいう私も、"がんサバイバー"なのだが、自分ががんサバイバーを名乗るのはなんとなく躊躇いがある。 (もちろん、がんサバイバーと名乗っている人のことを否定する気持ちはこれっぽっちもない。) その理由は大きく2つある。