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真庭市 バイオマスツアー  『里山資本主義』

こんにちは。

『里山資本主義』という本があります。私の実家が風光明媚な棚田がいくつもある里山ですので、昨年に叔母からの紹介で読みました。

その中に、里山資本主義のモデルとして岡山県の真庭市が紹介されています。蒜山を越えると鳥取県という、県境に位置する真庭市ですが、お恥ずかしいながら、私は本を読むまでその市の存在を知りませんでした。

私は、興味を持ってしまった以上、現地に赴かないと気が済まない性格でして、真庭市を訪れてバイオマスツワーに参加しました。


訪れたのが昨年の6月27日のことですので、ずいぶん前の記録になります。個人参加で簡易的な取材ですので、空気感を感じていただければ幸いです。記事内の数字が間違っているかも知れません。


日程は上記です。

真庭バイオマス集積基地第2工場

捨てられる予定の木材を、1トンあたり5000円で買取。

この機械で木材からウッドチップを作ります。機械はオーストラリアの企業から約一億円で購入。高い!!!

ウッドチップをトラックに乗せて、発電所に運びます。1回に10トン程運べます。


ウッドチップはこれです。まあまあの大きさ。


製材する時にでる余分な木材。1トンあたり、3000円で購入。


以前使われてたウッドチップを作る機械(ウッドハッカー)。購入金額4000万。現在は故障中。
修理に2000万かかり、さらには修理代金を賄うための保険代だけでも年間1000万。修理に時間もかかり、運用が大変。


木の皮。1トンあたり2000円で購入。


竹や枝葉は1トンあたり5000円で購入。



木の皮や竹や枝葉は、破砕機で粉砕。破砕機はアメリカの企業から7000万で購入。



真庭バイオマス発電所


真庭市への電力の安定供給をされています。15社からチップを仕入れ、日々発電。




制御室。
3人3交代制で、8時間勤務。24時間稼働しています。
発電所には、責任者も含め15人。11ヶ月稼働し、残り 1ヶ月は点検。


当日の天気はあいにくの雨。5480kWの発電出力。本来なら、10000を超える発電出力とのこと。木材の水分量が増えると、発電出力が落ちます。



中の温度は800度!!!!


右側の機械で灰を取り除きます。よって、煙は殆ど見えません。


タービンを冷やす、空冷装置。


ウッドチップを燃やした後の灰。現在は産業廃棄物と処理。近い道を模索中とのこと。


真庭広域廃棄物リサイクル事業協同組合


生ゴミは一般的には、週2回の回収です。しかし、真庭市は驚くことに毎日回収。水切りバケツを家庭に配布し、各家庭でゴミ捨て場の生ごみボックスに毎日捨てに行くことができます。


生ごみは、粉砕機で1センチくらいに処理。粉砕前に、作業員が異物(輪ゴム等)を手で取り除きます。大変な作業ですが、混入する異物は1%ほどとのこと。真庭市民の勤勉さと、協力体制があってのことですね。


メタン発酵槽


硫化水素を取り除き、発電機へ


メタンガス濃度を95%まで濃縮できます。濃縮後は、車の燃料に。
しかし、燃費が悪く、ゴミ回収車で満タンに入れても1日走るか走らないか。



バイオ液は濃縮でき、米の栽培などに有効活用できます。液肥散布用の機械。


市役所の裏にはバイオ液スタンドがあり、一般市民でもバイオ液の液肥を持ち帰り、家庭菜園に活用することができます。これはいいですねえ。



真庭市役所本庁舎


市役所横にあるペレット発電所。市役所の電気を賄います。
ペレットの熱量は灯油の半分です。



以上がバイオマスツアーに参加した記録になります。帰ってきて、もっと詳しく取材すればと多少の後悔はありますが、個人でしたので仕方ありませんね。
昼食の際、四国のエネルギー関連の会社の方とお話ししました。地域によって差があり、真庭市と同様の事を四国で行うのは、地政学的な側面や地域文化との乖離など、なかなか難しいとのこと。それは同意です。私の実家であり熊本でも同様に難しいと思います。
また、真庭バイオマス集積基地第2工場で使われていた、粉砕機などどれもこれも非常に高額で、海外からの購入のため修理の際に長期稼働停止になります。そういったリスクも計算されながら運営されているとは思いますが、全ての日本の里山が真庭市と同様にできるかと言うと、現時点では不可能でしょう。
生活に欠かせない石油でありますが、ウッドチップを運ぶのも石油に頼っています。日本本来の里山が石油依存して作られた文化なのか、と過程するとそうではないような気がします。先人たちの、知恵と肉体が作り上げた里山であります。
今の社会は完全に石油依存の社会であります。よって、ほぼ100%の石油を海外から輸入している以上は、現在の日本で生まれる文化や継承される文化は、果たして日本の文化なのでしょうか。難しい問題です。

しかしながら、こんな綺麗事を書きながら、石油の恩恵を受け、都会でのうのうと暮らす私自身が偽善の象徴であります。
今の社会で出来ることがないか、真の日本の文化の継承と繁栄を模索しながら、研鑽を積んでいきたいと思います。


長々とお読みいただきありがとうございました!!!


花子出版   倉岡剛

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