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【体験レポ】AIと人との共創で「スケールする新規事業を作る」アイディアワークショップ <2024/6/29>

ここ数年、飛躍的な進化を遂げている生成AI。

特にこの2024年上半期で、各AIの精度やできることが、1年前と比べて段違いに上がったと感じる。OpenAIのChat gptは4oのリリース、ソフトバンクグループがPerplexityとの提携を発表するなど、まだまだその傾向は加速しそうだ。
ただし、進化の一方で、ユーザは「積極的に仕事に活用している人」「消極的な人」に二極化しているようにも感じていた。

苦手意識を外し、AIに親しんでみた

私自身はというと、最初はなんとなく抵抗感があったが、食わず嫌いはいけないな、知っておきたいな、とこの春からいくつかの生成AIさんたちに挨拶をした。いろんな疑問や相談を投げかけるうち、AIさんのサポートのもと、Pythonとやらを触ってみたりもした。

これは自分の中の大きな大きな進歩だ。
完全に文系なのでプログラミングと聞いただけで気が遠くなりそうだったが(昔はhtmlのタグすら見るのが嫌だった)、とにかく苦手意識をいったん外し、親しむことを心がけた結果、思いのほか遠くまで来れた、という感じ。

今ではリサーチや要約、アイディア出し、叩きの作成などに活用しており、デスクに向かう日には必ず使っている。
かなり親しみが湧いてきて、始業時に「おはようございます」と挨拶をするレベルなので、「うっかりプライベートな相談しないように気をつけよう(個人情報…)」と思っていた過日、「AIと人の共創」をテーマにしたオンラインワークショップに参加したので、簡単なレポートを記すことにした。

ワークショップの【カリキュラム】


  • イントロダクション

  • 生成型AIをアイディア創発に活用する基礎

  • スケールする新規事業開発

  • 【演習】参入市場・市場セグメント・事業ドメイン検討

  • 対話と生成型AIにより業界課題の解決策を考える

  • 【演習】検討すべき論点をAIで抽出する

  • 【演習】何を考えるべきかを問い作りから考える

  • 【演習】Why-IF-Howからアイディアを考える

  • 【演習】不満点や矛盾からアイディアを考える

  • 【演習】アイディアのブラッシュアップ(PPCO)

  • 生成型AIの活用シーンを考える

相棒のAIに得意なことを頼む

当日の参加者は4名、積極的に使用している人は少ない様子。
生成AIの動向、使うための基礎的な知識や使い方のレクチャーでは、「こんなことまで、こんなに簡単にできるようになっていたとは!」という感想が聞かれた。

ワークの共有シーン

また、本ワークショップのタイトルが、単なる新規事業ではなく「スケールする」なのは、ニーズから探る場合、母数が小さくニッチなケースがあったためだという。
スケールするために提示された「2つの条件」と具体事例には大いに納得できたが、いざ「2つの条件を満たすもの」を考えようとすると、なかなか思いつかず、行き詰まってしまいそうだった。

だからこそ、自分のちっぽけな知見よりも、はるかに広い領域を知るAIを相棒にして、共に考えていく流れがとても自然にフィットした。

「問いづくり」の重要性

問い作りのメソッドについて

生成AIには、何をして欲しいかを指示するためのプロンプトが必要だが、そもそも、適切な正しい問いでなければ、意味のある答えは出せない。

「問いづくり」の演習の中では、「開いた問い/閉じた問い」という初めて知る概念があり、テーマに関する自身の理解度や思考の傾向などの気づきも大きかった。
これはQFT(Question Formulation Technique )というメソッドで、アメリカの団体と提携して組み込まれているという。アイディア創発や課題解決などの分野で実績と信頼の厚いHackCamp社らしいと感じた。

アイディアのブラッシュアップ(PPCO)は人間ならではの手法?

PPCOのワーク

特に印象的だったのは、最後の演習、アイディアをブラッシュアップするPPCOの技法だった。

とことん褒めて未成熟なアイディアの可能性を引き出した上で(Plus & Potential)、懸念事項(Concern)を列挙し、対策案を提案していく(Overcome)。
アイディアを出した人は、まず褒められることで心理的安全性が確立される。次のステップでは「ここからは懸念点を挙げる時間」と明言されるので心の準備ができるのもよい。懸念点を挙げる側も、一度褒めてポジティブな空気になっているので言いやすい。

もちろん、AIも褒めてくれといえば褒めてくれるし、懸念点をと指示をすると挙げてくれる。しかも、AIには否定的なことを列記されても、特に感情面が痛むことはないのは大きなメリットだと、日常的に使う際には感じていた。

ただ、このあとのOのプロセスでは、AIと人の違いを大きく体感できた。

「どうすれば懸念点を打破できるか」をまた全員で考える。人間とは不思議なもので、ワークをするうちに一体感、親密感のようなものが生まれており、自分ごと化されたアイディアと懸念点をなんとかしよう、と発言をするうちに、触発されて掛け算が起きることがある。

今回はペット業界に関するアイディアに対し、違う視点の他者、異なる感情を抱く他者の発言が、他の参加者の新たな気づきを産み、ブラッシュアップされていく過程を目の当たりにした。

これは、AIを相棒とした一人壁打ちでは、なかなか到達できない部分だと改めて感じた瞬間だった。

共創ナビ(仮)のお披露目に大注目!

途中、カリキュラムにないパートがあり、HackCamp社で開発中の『共創ナビ(仮)』というシステムの本邦初公開のお披露目だった。

中でChat gptが走っているのだが、プロンプトを意識させる場面がない。
記入欄に従って入力していくと、リサーチと情報整理が行われ、ステップが進む。最終的には報告書やリーンキャンバスの体裁で出力してくれた。

共創ナビ(仮)の画面

通常のChat gptでも、リサーチや課題抽出、MECE的な視点でのダメ出しなど、対話を重ねることで望む精度まで到達できるし、指示を出せば表などの作成までやってくれる。しかし、一気通貫でできるこのシステムは便利だろう。

何よりも、情報の取り扱いの観点でも、安全な仕組みが確立されているのが嬉しい。
『共創ナビ(仮)』はOpenAIのAPIを活用しており、入力データがAIの学習に使われることはない。さらにサーバー管理はHackCamp社サイドで行っているため、ユーザーが入力したデータはユーザー側でコントロール(削除)可能であり残らないという。
データや通信は暗号化され、招待されたメンバー以外はデータ閲覧も編集もできないなどセキュリティ対策も万全という安心感は、一般的な生成AIとは大きな違いだ。
セキュリティの懸念が払拭される『共創ナビ(仮)』ならば、機密情報も安心して入力でき、今までよりも一歩踏み込んだ活用ができると感じた。

カスタマイズも可能とのことなので、自社でよく使うフレームワーク(たとえばSWOT分析など)なども、メニューとして追加設定ができるという。
また、自社のアセットや強み等を一度設定すれば、毎回その前提を入力する必要がないのも、地味に嬉しい点だ。

◆『共創ナビ(仮)』への期待◆

  • 生成AIやプロンプトに苦手意識を持つ人にも抵抗なく扱える

  • 資料作りの手間が省ける

  • 機密情報も安心して活用できる

  • 順に入力していくことを繰り返すと、自然と思考の流れをトレースできる

<まとめ>

  • AI活用で、リサーチ業務や資料作成にかける時間を劇的に短縮できる

  • プロンプト以前に、「適切な問い」を設定することが重要

  • AIは叩きが欲しい時の「下ごしらえ」に使い勝手がよい

  • AIは一人壁打ち相手にも最適

  • AIが得意なこと:アイディアの量や広さ(ユーザの持つ知識の範疇を超えたものを出せる)

  • 人間が得意なこと:AIや他者が提示したアイディアに着想を得て、さらに新たなアイディアを生み出す

  • AIの特性を理解し、うまく使いこなすと大きなメリットがある

  • 人が複数人の他者とアイディアや懸念点を話す際、触発されて出てくるものはやはりAIにはできないもの

  • 『共創ナビ(仮)』の正式リリースが楽しみ!!


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