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わたしの読書の秋𓃹☘︎⁡

『三つ編み』
⁡✍︎ レティシア・コロンバニ 著
⭐︎ 齋藤 可津子 訳
" La tresse"
⁡✍︎ novel by Laetitia Colombani
translated  by Katsuko Saitho


本国フランスではベストセラーとなり、8冠の文学賞に輝いた本作は、映画人であるレティシア・コロンバニの処女作品です。
すでに本人監督による映画化も決定しているとのこと。


インドの廃品回収者で不可触選民の女性スミタ
イタリアで家族と毛髪加工場を営む女性ジュリア
カナダで有能弁護士として、またシングルマザーとして生きる女性サラ

‌三人の困難の最中にある女性たちの物語は、昨今の #Me too から始まったフェミニズム運動にも通じるものがあり、この社会の理不尽さを嘆くよりも勇気を出して行動すること、また自由への活路を自分で見出して行くことの大切さを痛感させてくれる作品でした。

この中でも、とりわけスミタの環境は想像を超えるほど過酷で、何度も胸が締め付けられるような気持ちになりました。

‌一見すると繋がりようのない三者三様の人生が髪を通じて、三つ編みのように結ばれて行くラストは、素晴らしく感動的です。

‌また序文に添えられているボーヴォワールの言葉。彼女は、仏女性の心の中にいる三人のシモーヌのうちのひとりです。それは、まるで、この物語を示唆しているようでもあります。

そして本作の特徴として、会話らしい会話のシーンがほぼ無いのです。すべて作者の視点(一人称単数)で語られていて、主人公の心情や状況が日記のように綴られていきます。どちらかというと、プロットに近いのかもしれません。‌


‌私的雑感になりますが、これはあなたでもあり、わたしでもある。他の誰かの物語は、あなた自身の物語でもある。そんな風に思える良作でした。


素敵なエピソード!

この『三つ編み』の刊行後、元フランス人教師の男性からレティシア(著者)宛に一通の手紙が届いた。

彼はインド北部にあるラジャスタンで、不可触民の子どもの為の学校を開いており、その手紙には「わたしたちに関心を持ってくれてありがとう。ぜひ訪ねて来てください」と書かれていた。

レティシアは『三つ編み』のインドでの撮影準備の際、この学校を訪れて、生徒たちと交流した。その縁がきっかけとなり、三作目の『あなたの教室』が生まれたそうです。

(『あなたの教室』訳者あとがきより一部抜粋)

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