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わたしの読書の秋𓃹☘︎⁡

『彼女たちの部屋』
⁡✍︎ レティシア・コロンバニ 著
⭐︎ 齋藤 可津子 訳
⁡ ‌"Les victorieuses"
✍︎ novel by Laetitia Colombani
translated  by Katsuko Saitho


レティシア・コロンバニの『三つ編み』から約一年。長編二作目となる本作は、著者が偶然通りかかったパリに実在する保護施設【女性会館】が舞台になっています。


この物語は、あるきっかけから【女性会館】で、代書人のボランティアをすることになったエリート弁護士のソレーヌと、約100年前に実在した人物【女性会館】の創設者で救世軍の女性将校ブランシュの人生が交互に語られて行きます。


現代の物語では、最初は警戒心と色眼鏡の塊だった【女性会館】の居住者たちと不器用ながらも交流を深めていく中で、ソレーヌの心境に変化が訪れます。そんな彼女の心の機微に触れることのできる感動的なシーンがいくつも散りばめられていて、目頭と胸が熱くなります。


過去の物語では、ブランシュの「困窮した女性たちを救いたい」という真っ直ぐで力強い信念に心を揺さぶられ、また彼女の果敢な行動力は、読者に勇気を与えてくれます。


そして、この作品はヴァージニア・ウルフの『自分ひとりの部屋』がモチーフになっているそうなのですが、これは約100年前、ブランシュが【女性会館】の創設に尽力した時期に出版された随筆になります。


『彼女たちの部屋』は、シスターフッドやフェミニズムにあまり関心がなくても、(物語として)シンプルで読みやすい構成になっています。女性だけでなくジェンダーレスに、さまざまなひとの手につながって欲しいと思える希望の一冊でした。

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