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わたしの読書の秋

『赤いモレスキンの女』
著者 アントワーヌ・ローラン
翻訳 吉田 洋之
"La Femme Au Carnet Rouge"
novel by Antoine Laurain
translated by Hiroyuki Yoshida


真冬のパリを舞台に、ロマンチックで、ほろ苦く、温かな気持ちにさせてくれる。ひと恋しい季節にピッタリな大人のためのラブストーリー。

主人公は、離婚歴のあるパリの書店主ローラン。彼が恋する女性は、夫を亡くしたばかりの金箔職人。同じパリに住みながら、これまで出会うことのなかったふたりをローランが道端で拾ったバッグが結びつけます。バッグの中身は、モディアノのサイン本、香水瓶、クリーニングの伝票、女性が文章を綴ったモレスキンの赤い手帖。

私たちの人生において、手帖に書かれた筆致だけで、恋焦がれることはあるのでしょうか? 好きな本や作家が同じと言うだけで? 自分とは近いようで遠い感性に触れたことで? まるで初恋のように。大人の男性が、側から見たら、無謀とも思える言動にかられるなんて!

でも、もしかしたら、私たちの運命は、些細なきっかけと偶然の連なりで出来ているのかもしれません。

2022/12/21には、アントワーヌさんの新作『青いパステル画の男』が出版されます。芸術とアムールの国フランス(ラテン、カトリック、個人主義…)の素晴らしい美点に、また触れることが出来ると思うと、とても楽しみです!

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