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嫌な記憶だけを消すことが出来ればいいのに。

こんにちは。
今朝はTHE、TIMEでトレンドの副業を紹介していたので、早速AmazonHubのデリバリーパートナーを検索してみました。

なぜか開業届を出す必要があるようですが、よくわならぬまま資料請求をポチりました。

開業かぁ。。と思いながらも、FIRE目指して配達ばかりしている私。とは言え、転職しても邪魔をされ、企業しようとしても競合に加担され、SNSではフォローしてくれた人達が買収され、仕事依頼やDMまでも全部黒子という状態。八方塞がりだし、体力仕事で身体はボロボロなのですが、今はなぜか心理的にどこか自由な時間を持つことが出来ている気もします。

先週は地の底を這うように塞ぎこんでいました。でも、やっぱり仕事に意識を集中させると嫌なことは薄れていきます。心の底では憎悪に満ちた感情も、表面では彼らに対して人間の感情を持たなくなってきました。あまりに酷すぎる仕打ちに感情が無になってくる。最終的にはきっと酷すぎる記憶は脳が消し去るのだと思います。これまでもそうでした。人間の本能が持つ生きる術なのでしょうか。忘却曲線とは違う、メモリ上のエラーを消し去る、まるでデフラグ。もう名前すらも忘れてしまいたい。


さて、平日の今日は思うように数字が伸びず、やはり平日は別の仕事をすべきなのかな、と思いながら配達をしていました。お昼のピークタイムのフードデリバリー。昔住んでいた地域への配達でした。小さな集合住宅前に到着すると、

「お願い。助けて。」

バイクを停めた直ぐ側に、フリースのひざ掛けをマントのように身体に巻き付けたお爺さん。その姿を見た瞬間、ピンときました。

「どないしはったん?」

「迷子やねん。助けて。」

「コレ届けてくるし、ここでちょっと待っててな。」

「ごめんな。ありがとう。」

先ほどピックアップしたファーストフードを客先に届け、お爺さんに話しかけました。

「おじいちゃん、靴どこやったん?」

靴下だけの足元。

「盗られたんや。全部盗られたんや。京都っちゅうのは怖い場所やな、ほんまに。」

「んーー。そんな物騒な場所やないけどな。多分やけど、靴履いてくるの忘れたんちゃうかな?きっと家にあると思うで。」

「あぁ。そうか。そうかもしれんな。」


友人宅のインターネット回線が繋がらなくなり、家まで設定に行ったことがあります。アルツハイマーを患った友人のお母さん。見た目は以前のままでした。「あんた、肌白いなぁ。」いつものようにおべっかでおもてなしをしてくれました。元気そうで何よりと思いながら、設定を確認していました。

「インターネットの仕事してんのか?」

マニュアルを捲りながら適当な返事を返すと、笑いながら腑に落ちた様子。

ところが、5分ほどでしょうか。

「インターネットの仕事してんのか?」


と思いつつ、同じ返事を返しました。全く同じように腑に落ちた様子でした。友人が目配せをしたので、「あぁ。これが…」と理解しました。その後も5分、10分おきに同じ会話の繰り返し。つい先程の会話は意味をもたないのだと、なんとも言えない気持ちになったことを覚えています。

時々、物が無くなったと騒ぐことがあるらしく、盗まれたと家族を本気で疑ってかかるから困ると友人は嘆いていました。


お爺さんの靴の話でその事を思い出していました。

近くに交番があるものの、靴なしで歩ける距離ではありません。

「警察に来てもらおうか?」

「あぁ。そやな。ごめんな。ありがとうな。」

Googleマップで現住所を調べて110番。

「迷子のご老人がいらっしゃるので来ていただけますか。靴を履いておられないので、交番まで歩けなくて。」

お爺さんを傷付けないよう伝えると、すぐ意を汲み取ってくれました。

「認知症の方を保護して頂いているということでよろしいでしょうか?」

「はい。そうです。」

「ありがとうございます。警官が行くまで、申し訳ありませんが、その場で待って頂くことは可能でしょうか。」

「もちろんです。一緒に待ちます。」

「ご協力ありがとうございます。すぐ向かわせますので、よろしくお願いします。」


名前もフルネーム、生年月日も言えるお爺さん。なのに、住所も家の場所も忘れているお爺さん。何か所持品はないか確認しても、全く何も持っていない。これは警官も大変…。そう思っていると、警官が到着。

「森さん、こんにちは!」

「ご存知なんですか?」

「えぇ。よくあるんです。」

「あぁ!そうでしたか!それは良かった!」

おそらく、お爺さんの家も事情も知っているであろう警官に心から安堵を覚えました。

認知症徘徊者は全国で約1万7千人。
アルツハイマー型など、一部の記憶だけが飛んでしまったり、症状も様々。嫌な記憶だけ消えているのなら幸せですが、たぶんきっとそうじゃない。



最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


また。




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