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20回目の春

春が嫌いだ。
去年は好きな人の好きな季節が春だと知った。少しだけ春を好きになりたいと思ったが、病気になったり多難な春だったのでやっぱり春は嫌いだった。
どうして嫌いか、わからないと思っていた。なにか、なんだか嫌、好きじゃない。昔から。
春は新しくて、暖かくて、ぼんやりする。植物が芽吹いて、そのパワーに負ける。植物だけじゃなくて、人間も芽吹こうとする、新しい一歩を踏み出したり、新生活を始めようとしたり。他人の頑張ろうの気持ちを見るのが少し苦手だからかもしれない。これらが集中する季節は春だと思う。自分があまりにぼーっとしすぎていることを思い知らされているような気になって、なにもしていないことが悪いことのような、そんな。なんとも言えない劣等感と息苦しさで覆われる。それなのに春はむせ返りそうに暖かくて寂しくなって。こんな時にでも春は来てるんだな。足踏みどころか立ち止まったままの春のわたしを今年は許し、認めてあげられるだろうか。
#エッセイ #日記 #春 #写真

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