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恋の行方を決めるのは、いつだって自分自身っていう話。

「知ってる?Aくんって、彼女にストーカーしてたらしいよ」
「え、怖〜!そうなんだ〜でもちょっとわかるかもw」

後輩のAくんについての噂を耳にしたのは、出会って1年くらいした頃のことだった。

Aくんには溺愛している様子の恋人がいた。が、どうやら数ヶ月前に別れたとちらと聞いた。どうやらストーカー疑惑は、別れるか別れないか?の宙に浮いた数ヶ月のあいだに起こったことらしい。

……そして「別れの噂」を裏付けるかのごとく、現在は別の女の子に猛烈アピール中、でもあった。

彼のことを詳しく知っているわけではなかったし、ストーカー疑惑の真偽についてもち確認していなかったが、猛烈アピールの様子を見ている限り「まぁあり得なくもないのかな」という気もした。

今でいう「粘着系彼氏」だとか、「なぜか先輩に執着されてます!」……みたいな感じだろうか?と、勝手に想像する。

はたから見ていて、いや、はたどころか数メートル単位の距離があってもわかるくらいには本命の女の子にアピールをかますような男である。溺愛している恋人相手ともなれば、そりゃあ執着も粘着もするのではないか?知らんけど。

まぁ、私には縁遠い世界。
陰ながら応援しているぜ後輩たちよ!!!

「好きです、つきあってください」

と、Aくんから連絡が来たのは、それから数ヶ月後のことだった。

え?いやいやいや
連絡する相手間違ってますよ

と、本気で思ったし、実際本人にも「わたし????◯◯ちゃんじゃなくて??????」と言った(そんなことある?あるんです)

「いや、間違ってません。そう思われても仕方ないけど……」

間違ってなかった。

寝耳に水とはまさにことこと。
Aくんの恋を応援すべく、相手の女の子にさりげなく(?)探りを入れたり、それとなく2人きりになれるように気を回したりしていたのに、なんでこんなことに???

このあいだまで他の女に猛烈アピールかましてた人間が突然告白してくるとか、「本命は無理そうだけどコイツならいけるやろ!」以外になんかある?!?!

いやでもめっちゃいい人だし話も合うし優しいし顔もタイプだし正直ちょっとうれしい気持ちもあ……うわああおちつけ冷静になれそんなリア充人間がなんの裏もなく突然陰キャオタク女に告白してくるわけないだろ現実を見ろ

〜大混乱〜

大混乱する頭のなかでふっと思い出されたのは、そう、あれですあれ。

「知ってる?Aくんって、彼女にストーカーしてたらしいよ」

んんんんん

「返事はすこし待ってください!!!!」


こうして私は、返事を先延ばしにして逃げてしまった。

私はもともと誰かに相談するのが苦手なタイプ。当時は今よりもさらにその傾向は強かった。あと友達が少なかった。😇チーン

それに……

ついこの間まで、コミュニティのなかのひとが全員知ってるくらいには他の女の子に猛烈アピールしていた男に突然告白されたんだけどどうしたらいい?なんて、私が客観的な情報をもとに相談されたとしても「そいつ大丈夫か???いや、大丈夫じゃないよな???」ってなる。

ちょ…いったん脳内会議しよ………

〜脳内会議〜

「しかも彼、付き合ってた子にストーカーしてた粘着気質の男らしいじゃないですか。いくらいいやつでも、付き合ってからそういう感じ出されるのもちょっと怖くない???」

「別れたいってなったときに大変な事になるかも……」

「いやでもめっちゃいい人だし話も合うし優しいし顔もタイプだしこの機会を逃したら私もう一生彼氏なんてできないのでは…………(自己肯定感凹)」

「だからってここでトラウマみたいなの植え付けられたらそれこそ地獄では」

「でもいい人じゃん。ほんとにそんな変な男なの?興味ある女以外はどうでもいいって感じだからむしろそれプラスかもよ」

「そもそもどれくらい信頼に足るやつなんだ。とりあえずコイツでいいやと思われてる可能性ないのか?」

「とりあえずコイツでで私を選ぶメリットなくないか……???他にもっと可愛い子いるでしょう………私なんて性格終わってるし………性格が終わってることを知らないならちゃんと事前にお伝えした方がいいのでは………(自己肯定感凹凹)」

………。


私は、返事をするまでの数日間、1人で考えて、1人で決めることを選んだ。

いま思えば、誰にも相談せずに1人で決めようと決めた時から、どこかですでに心は決まっていたのかもしれない。

もう結論はお察しだが、私はAくんと付き合うことにした。

落とし所は「お互い、なんかちがうなって思ったら別れたらいいもんな!というか向こうも、はなからそういうつもりかもしれないし……(自己肯定感凹凹凹)」

粘着質かもしれないという話も、1人で考えすぎて「まぁなんとかなるっしょ!!!」となっちまう私の悪いところが出て、もはや判断材料のなかに含められていなかった()

なお、あとから周囲に報告したときのリアクションとしては「え???Aくん別の子にあんなにアピールしてたのになんで????」「大丈夫?????」「え?そことそこがくっつくの???」「別れる時大変そう」(ですよね!私もそう思うよ!!!泣)

が、逆にいうと、誰かに相談していたらこの選択はしていなかった可能性が高い…ということでもある。

こうして、自分の世界に閉じこもって自己対話だけで決めたAくんとの交際。このあと、思わぬ展開を迎えることになる。

別れずに結婚したのである


周囲に「別れる時大変かもよ」と散々言われ、自分でも脳内会議したりもしたけれど、なぜか別れずに結婚したので関係なくなった

こんなことある???

いや確かに、確かにだよ。
思い返してみるとだよ。

「私たち別れた方がいい……」みたいな話になったこともあるんだけど、そのときも「俺絶対別れないから」と頑なだったし、思い当たることはまぁまぁある……。

が、すごい不思議なんだけど、こうやってそのエピソードだけ取り出すと「惚気???」ってならん???

粘着執着エピがあったとしても
幸せなカップルです!
別れずにそのまま結婚しました!
という文脈のなかだと、「はいはい、すごく愛されてるねよかったね」に姿を変える説。もちろん程度にはよるが…
恋人以外に興味がなくて溺愛するって、愛し合っている場合においては圧倒的プラスだよな、もちろん程度にはよるが……(2回目)

今でも「ふだんの様子を見るに、どうやら私のことがすごく好きらしいが、なぜなのだろう」というのはずっと疑問なのだが
私も私で夫との生活に不満もなく、幸せに暮らしているので「恋の物語」としてはハッピーエンドかもしれない。

周りに相談するのも、時としてすごく有効だが、そうじゃない場合もある。

自分で決めたからこそ、自分の決断に責任を100%もてる。

そういうことなのかもしれませんね!笑

お後がよろしいようで。


おまけの余談

付き合いはじめてからちらっと小耳に挟んだところによると、「ストーカー」という話は恋バナを面白がった人たちがそういう言い方をしてオヒレをつけたエピソードだった……らしいのだが、今となってはよくわからないし、もうお互い30過ぎてるしでもういいかなと思って特に確認もしてません。笑

20代前半って、若いよね。

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