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【エッセイ】はなのかんづめ

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さくらももこに憧れて, 書き連ねた散文たち。
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記事一覧

夏と花火とDIY~はなのかんづめ Ep.2~

*夏と花火とDIYこの時期になると思い出すのが、父方の祖母の葬儀のこと。 花屋家は特殊で、私は物心つく前から 父方、母方含め祖父母と会ったことが片手で数えるほどだった。 母方に関してはとある理由から完全に没交渉で一度も会ったことが無く、 父方の祖父母宅は近所でも有名な犬屋敷だったので 不衛生な場所が小さな子供にとってよくないと 考えた母によって、帰省イベント自体が規制の対象となっていた。 そして、私にランドセルが馴染むようになってきた 小学校2年生の夏。父方の祖母が亡くな

憧れのメゾピアノと100均のマニキュア~はなのかんづめ Ep.3~

*憧れのメゾピアノと100均のマニキュア 90年代に生を受けた田舎の女子達にとって、 ナルミヤ・インターナショナルが生み出したアパレルブランドは憧れの頂点に君臨していた。 クラスで目立つ女の子グループの私服は、必ずと言っていいほど駅前の百貨店で買ったメゾピアノやエンジェル・ブルーであったし、学生時代に私を悩ませた水泳の授業で使うプールバッグもクラスの最先端を行く女児たちは、そのアパレルブランドのショッパーを使っていた。 →記憶が曖昧だが、昔の子供服のショッパーはスタイリッ

レモンのころ🍋~はなのかんづめ Ep.4~

*レモンのころ🍋高校時代、私は一時的に病気になったことがあり 半年以上学校に通うことが出来ず、自宅/病院での療養をしていた期間があった。 中学までは健康体の身体だったのである。 学校に行きたくても行けないことにストレスを感じ、 今まで得意だった科目や定期試験も受けることが出来ずがくんと成績の順位が右肩下がりになった。 たまに身体の調子が良い時に学校に行くことが出来ても、 途中で早退を繰り返す日々。 天然パーマの数学教師が教えていた正弦定理や、 相関係数の求め方に

娘を辞めた日と、ひとつの手ぶくろ

はなのかんづめ ep.5 (※はなのかんづめとは、花屋が敬愛してやまないさくらももこ氏に憧れて 書き始めた中身のないエッセイのことである) 身バレ防止も含めてある程度のフィクションも混ぜているので どこかの世界で生きているOLがチラシの裏に書いている妄想くらいに思って読み流して欲しい。 *娘を辞めた日と、ひとつの手ぶくろ ~ドゥーリトルを添えて~ ドゥーリトル…ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の主人公イライザのファミリーネームである。 また、作中に登場するイライザの

金魚に恋した夏の日

*金魚に恋した夏の日 私は、雨上がりの虹と同じくらいに金魚を愛している。 と言っても、自宅や実家に金魚用の立派な水槽や温水管理用のポンプなど充実した設備があるわけではない。 一言でいえば "夏限定の金魚好き" なのだ。 初めて付き合った彼氏も、 二番目に付き合った彼氏も、 三年間付き合った彼氏も、 とにかく夏のデートの時には金魚が綺麗に展示されているスポットを探して欲しいとお願いし、都内はすみだ水族館から~日本橋、金魚坂、足を延ばして大阪の金魚cafeまで、ただひたすらに

レスキュー隊に早朝から叩き起こされた話

2023年6月14日 AM7:13 ガンガンガンと玄関を叩く音と、ピンポンを連打される音で起こされた。 なにごとかと思い備え付けのTVモニターでドアの向こう側の様子を見てみると、担架や色んなものを持った「消防局」のロングコートを着た人が5~6人私の部屋を取り囲むようにしてマイムマイムの形で並んでいる。 こんな閑静な住宅街で殺人事件か、テロか、ただならぬ出来事でも起きたのかとビビッてカーディガンを着てドアを開けた。 「朝早くから失礼します~」 「今起きたばっかりなので、こんな

蟒蛇の母さんと、バウムクーヘン

わたしの母は、5年前に大病を患うまでは、信じられないほどの酒飲みだった。 いや、酒飲みなんて可愛らしい言葉で済ませられるほどのものではない。 蟒に蛇と書いて、蟒蛇(うわばみ) わたしにとって、母は蟒蛇だったのである。 毎日ロング缶(500ml)ビール2本を飲み干して、そこからは肴も無しに焼酎の水割り(2Lのタイプの焼酎パックを2-3日で開けてしまう)を睡魔が来るまで飲み続ける。 小学生のはなちゃんが、中学生のアタシが、高校生の私が、何度も静止しても、母を潤すお酒の循環を止め

30歳独身OL、66歳の実母と暮らすってよ

母があの家を飛び出したのは、2023年9月のことだ。 同年8月に肺がんの手術の付き添いで、約5年ぶりに 実家に帰ったときに実兄(実家暮らし、寅年)と母の関係性が異様なもので【状況説明が長すぎるので割愛】、あまりにも健やかな環境だとは思えなかったので、「ここからすぐに出る準備をして」と私は言った。 しかし、母はすぐに首を縦に振らなかったし、いくら周囲の人や、市役所の福祉課の人を巻き込んで話し合いを重ねても、兄だけを古い実家に残して自分ひとりが徳島から遠く離れた関東へ移住すると

辞めたい習慣

小さい頃からよく口の中にものをいれる子だった。 アンパンマンのぬいぐるみから、ティッシュ、自分の親指に至るまで1歳の頃には常に口の中でなにかを咥えている子どもだったらしい。 さて、そんな私だからだろうか。 大人になった今でも続いている悪しき習慣が存在する。 無意識に手足の爪を噛んでしまうことと、眉毛や睫毛を抜いてしまうことである。 ここでタチが悪いのは、いずれの習慣も人前ではしないということ。自分一人の空間(トイレや自室など)でゴミ箱を膝にのせてガジガジと噛むのである。足の

長年続けている趣味や、特技はなんですか?

たまに、初対面の人やマッチングアプリで出逢った人に表題の質問を訊かれる。 この質問、私にスポーツや勉学の才があれば「トリリンガルです」 「流体力学を少々」 「ダイビングのライセンスを持っています」「合気道で黒帯なんですよ」 など見栄えの良い特技を話すことができるのだが、生憎そういった才がないので、実はとても返答に困るのである。 それと言うのも、私が特技だと思っているものは一人ですることが難しく、環境が整っていないとお見せすることもできないものだからだ。 (また、仮にその場で披

嫉妬の色は、みどり色

昔読んだ漫画にそう描いていたので、私はクリームソーダやメロンソーダを飲むたびに「ああ、自分はいま〈嫉妬〉を飲み干しているんだな」と思うことがある。 というわけで、先日知人と電話をしたときに嫉妬の話になったので、思考整理のために嫉妬について話したい。 私は、秋生まれの天秤座なのだが、誕生日占いの本には必ずと言っていいほど「嫉妬深い」けれど「束縛を嫌う」と書かれている。 つまりは、自分は束縛されたくないけれど他人に対しては「行動を律しろ」と要求する、理不尽極まりない性格であるら

勇者の剣を探さないでください

※今回はあまり健全な内容ではない、かつ中身のないエッセイなので、苦手な方や男性は気分を害する前にブラウザバックを推奨します※ 昨日のエッセイが思いがけず観覧数を伸ばしており、初めましての方からコメントまで頂けて、鼻が天狗ぐらいに延びている筆者です。 せっかくなので、今日も女性に向けた夜の話をしようと思う。 よく、女同士で飲み会をしているとアルコールがほどよく回ったころに、普段は物静かで大人しい女の子から下ネタがぶっ込まれることがある。 こういう時、男性陣なら初体験の話だっ

怠惰な人と、完璧な人

私は、怠惰が主成分の人間だ。 もし、食事と娯楽、また基本的な設備(風呂やトイレ)を用意した出られない部屋に1週間閉じ込められたとしたら、喜んで引きこもるだろう。 サブスクの動画視聴サービスと読み放題の漫画さえあれば、こち亀と笑ぅせえるすまんのエンドレスリピートで1週間は余裕で時間を潰せる。 私の怠惰自慢はこれに止まらない。 見た目通り、繊細かつ低血圧なので(低血圧は本当)朝はすこぶる寝起きが悪く、起こされてもなかなか起きれない。 そうはいっても、社会人としての自覚はきちんと

ピンクの雪だるまと、カメレオン

さくらラテ、カービィー、パンサー、レディ、林家ペー・パー。 上に挙げた単語の羅列で、連想する1つの色はなんでしょう? そう、〈ピンク〉である。 おそらく、素直な方の場合はちょうどいま散り際になっている桜の花びらの色を連想してくれたことだろう。 突然だが、私はピンクが嫌いだ。 その起源は、6歳の頃、母親が冬のセールで買ってきてくれたダッフルコートに遡る。うちの母親はピンクや赤色、レースに花柄などのいわゆる女性らしい色やモチーフが好きで、好んでそのようなデザインの洋服を私に着