#5.詩「氷に笑う」

何処にでもある庭のよくある花壇
そこに、とある一輪の花が咲いていた。
その花は、他に咲いているどの花よりも美しく
見ている者全てを圧倒した

風が吹けば身体を揺らし蝶が共に躍りだす
蜜が溜まれば蜂が集まりその甘い味に酔いしれた

俺がこの世界の中心だ

自分がこの世の神輿であると日毎夜毎悦に浸る

ある日そこに一つの花が植えられた
その花は他のどの花よりも気高く優雅に咲き誇り
見ている者全てを魅了した

雨が降れば葉陰で虫が休み
夜になると妖精たちがそこに集まり踊り狂う

いつの間にか蚊帳の外
気付けば居場所がなくなっていた

夏の虫、氷に笑う。
俺は 世界の広さを知ったのだ

どけよ、そこは俺の場所だ!

しかし、今のままではどう足掻こうとも覆らない
自分の無力さに雨で浸る

月日が経ってもその花は
枯れることなく咲き続けた
俺は既に花も枯れ、茎や葉でさえ萎れ落ちたっていうのに、、、
だけどな、まだ根だけは腐っていない
いずれまた返り咲く日を夢にみて
太く長く根を生やす

今度はあいつよりも逞しく
今度はあいつよりも華やかに
待っていろよ。
次逢う時にはお前よりも輝いてみせる!!

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