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【名言紹介】ありがとう、わたしの好きな古畑任三郎

4月3日、俳優の田村正和さんがお亡くなりになりました。

本当に素敵な俳優さんでした。いわゆるイケメンじゃなくて”ハンサム”!
常におだやかで隠しきれない上品さ。
また新作をテレビで見たかったけれど、もう叶わない。
心よりご冥福をお祈りいたします。

(この記事を執筆中に気づいたんですが、本日6月3日、4日、7日、8日、9日の5日間、古畑任三郎の傑作選がフジテレビ(関東ローカル)にて放送されるそうですね。各回14時45分より放送。こちらの記事では9日放送回の『再会』に出てくる名言をご紹介します※あらすじネタバレありです


数ある田村さんの作品の中でもわたしが特に好きだったものは、
皆さんご存知三谷幸喜さん脚本の『古畑任三郎』です。
どの回からでも楽しめる一話完結の推理ドラマ。冒頭で犯人が殺人事件を犯し、そこに現れる警部補・古畑任三郎がトリックを暴いていくという展開(一部例外回あり)。
ドラマ幕開け、暗がりの中からの一人語り、上品でユーモラスで、しつこくて頭脳明晰。邪険にしてる今泉くんのこともいざとなったら大切な友人として、必ず救い出す・・・そしていつもめっちゃお洒落!!!


☆☆☆☆☆


今回は大好きな古畑任三郎の作品中で、特にセリフが印象に残った回をご紹介します。心が震えました…。

シーズン3 第5話 『古い友人に会うvs安斎亨』
(※DVDボックスではこちらのタイトルでしたが、6月9日放送予定回では『再会』となっていました)
こちらは古畑任三郎史上唯一の、事件を未然に防ぐことができた回となります。
ドラマのクライマックス前に古畑は、この回を最終回にしたいぐらいだった、と言っています!この発言の意図はわかりません。しかし最後に出てくる古畑のセリフによるところが大きいのではないかと思うのです。

この記事のはじめに、「冒頭で犯人が殺人事件を犯し、そこに現れる警部補・古畑任三郎がトリックを暴いていくというドラマ(一部例外回あり)」と書きましたが、この回はまさにその「例外回」となっています。

以下一部あらすじネタバレです↓


ある日のこと、古畑は小学校時代の同級生・安斎亨(津川雅彦さん)に彼の山荘へと招かれます。部下の西園寺くんとともに訪れた古畑は、さほど親しくもなかった安斎からの招待に疑問を抱きます。
安斎は売れっ子の小説家でした。二回りも年齢差のある若い妻は編集担当の男と不倫中で、安斎もそれに気づいています。
彼には妻への復讐計画があったのでした・・・

当初古畑は、安斎が妻を亡き者にしようとしていると睨み、推理を働かせていきます。ところが安斎は自殺を試みようとしていたのです。そして自分を他殺のように見せかけ、その罪を妻にかぶせようと計画をしていたのでした。古畑を山荘に招いたのもその計画の一部であったのです。

安斎にしてみれば、妻の不倫についてはなかばあきらめているけれど、このことがマスコミに知られることはどうしても避けたい。これまで書いてきた小説も、結婚の時ですら歳の差についてひどい中傷を受け続けてきた安斎。不倫が公になることによってこれから更にひどいバッシングが待ちかまえていることはもう耐えられない。
すでに一部のマスコミは勘づいているようでもう時間の問題です。
年老いてからの地獄。耐えがたい屈辱。何としても避けなくてはなりません。


☆☆☆☆☆


これ、もし自分が安斎の立場だったらと想像してみると…今まで築き上げたものが醜聞ですべて壊されてしまうというのは、本当に怖い。
ただでさえ普段から批判にさらされて、心はずたずたになっている。
ましてやある程度の地位や名声を手に入れていたのなら、そのプライドが傷つくことは耐えがたいだろうなあ。小説に対しても、歳の差結婚についてもバッシングばかりで、その愛した人はいまや他の相手に夢中。
そんな心のよりどころもない状況ならばなおさら…。
津川雅彦さんの鬼気迫る演技で、その苦しみがより深く刺さってきます。
自分の築き上げてきたものが、自分の愛したものによってすべて壊されようとしているのです。


でも、でもね。古畑が言うんです。
計画のすべてが明らかになり、それでもなお死のうとする古い友人に古畑はこう告げます。

お察しします。しかし、しかし、あなたは死ぬべきではない。
たとえすべてを失ったとしても、我々は生き続けるべきです。
私はこれまで強制的に死を選ばされてきた死体を数多く見てきました。
彼らの無念な顔は忘れることができません。
彼らのためにも我々は生きなければならない。
それが我々生きている人間の義務です。

また「一からやり直せばいい」と言う古畑に、「いくつになったと思ってるんだ、もうふりだしには戻れない」と絶望する安斎。
ですが古畑はさらに強くたたみかけます。

とんでもない!まだ始まったばかりです。いくらでもやり直せます。
よろしいですか。よろしいですか?
たとえ、たとえですね、明日死ぬとしてもやり直しちゃいけないって誰が決めたんですか。

誰が決めたんですか?

…まだまだこれからです。

☆☆☆☆☆


人生が、何らかのアクシデントで思いもよらない方向へ転じてしまった時。
一度間違えたら終わり、一度失敗したらもう終わり。そんなギリギリの世界で生きていくのは本当に辛い。

でももし、不安だけど挑戦してみて、もし失敗しても何度でも、どこからでも挑戦することが出来るとしたら…
それがたとえ明日死んでしまうかもしれない命だとしても、
いくつになってもやり直していいんだとしたら。

それは何て力強いことなんだろう。

わたしはこれまでの人生何度も何度も失敗をしてきました。
でもこのセリフに何度となく救われた。
辛い時にこの言葉は、わたしを心の底から力強く支えてくれたのです。
人生100年時代と言われていますが、平均寿命のとおりいくならまだまだ先は長い。
明日死ぬかもしれないけれど、今日を精いっぱい生きてみよう。


☆☆☆☆☆



ところで我が家には古畑任三郎コンプリートボックスがあります。
シーズン1からシーズン3、およびスペシャル版まですべてのDVDをコンプリートしているんですよ…!(今絶賛おさらい中)

何年か前に手に入れた時は、嬉しくて嬉しくてエンドレスで観てしまい、しまいにはソファで爆睡→延々リビングに流れ続けるあのオープニングテーマ。(家族から苦情が入る)まるで目覚ましのスヌーズ状態です。

これからまた再放送がありますが、どんどん過去の回を再放送してくれたらいいなと思うのでした。
なんかリアルタイムで観るのは、DVDで観るのとまた違った喜びを感じるんだよなあ…。
知らない方にも本当に面白いドラマとして是非知っていただきたい。


最後までお読みいただきありがとうございました!

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