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【図書館】明け方の若者たち

先日、社会人1年目の長男のところへ遊びに行ったら
帰り際に兄弟へのお年玉を渡してくれ、おこぼれで私も1000円ゲットしたので兼ねてから読みたかった本を購入した。

家の本棚にはまだまだ読みきれていない積読本がたくさんあるというのに。


映画化が決まっているということで
ありがちな2枚重ねの表紙。
ありがちなエモさを示す色温度の写真。

ただなぜか
本屋に行くたびにこの本が気になってしかたなかった。

そして今日、昼頃からもつ煮込みの鍋の番をしつつ
小さなIKEAの椅子に座り読み始めた。

本当は昨晩、寝る前に1章だけ、と読んでいたが
これはこのまま睡眠を犠牲にして読み切り、終わった後興奮で眠れず朝日を待つことになると確信してしまったため
無理矢理に本と瞼を閉じていた。

待ちに待った続きの世界に行くとすぐに現実との境目が消えかかってしまう

耳にはぐつぐつと生物の臓物が煮える音が聞こえているのに
脳内では本の中にしかいないはずの彼らの声が響いている

ありきたりな展開、ありきたりな流れ
でも確実に「それ」と伝えてくる描写と比喩

本当の言葉を使わずに
優しく、でも素早く的確に
確実にしかも最短で答えに辿り着くための言葉が並ぶ

あっという間に時間は過ぎた。
感動と高揚感といつか終わる物悲しさと儚さ
まるでマジックアワーのように

そしてきっと
終わった恋を知っている人なら誰もが
「これは自分の物語なのだ」と思ってしまう

誰の心の中にもある、でもきっと本当は誰も経験したことのない
そんな幻のような時間のお話


我慢ばかりの子供達をちゃんとした「旅行」に連れて行ってあげたい。 映画や観劇、体験型レジャーなんかもしてみたい。 養育費と慰謝料がないので面白かったらチップをお願いします。