母のきもち

わたしが幼い時によく母に言われた言葉がある。

「怒る方もつらいんだからね」

小学生時代や反抗期の高校生の頃、怒られた後に母によく言われた言葉だ。

こっちの言い分も聞かずに頭ごなしに叱られたり、あんなことで怒りすぎだと感じた時には「絶対に怒られる方がつらい！」と思っていた。
むしろ、「好きで怒っているんだろう」なんて思ったこともある。今思うとひねくれていたと思う。

結局母の言葉の真意はその時は分からずじまいだった。

時を経て、そんな私も親になり絶賛イヤイヤ時期の娘を育てている。
割とおてんばなので、怒ったり叱る場面も多い。

危ないこともするし、イライラすると大人げないけれどまだ2歳の娘につい怒りすぎてしまう。そんな日は娘の寝顔を見て毎回「なんであんなに怒ってしまったんだろう」とひとり反省会をする。

その時気づいた。

怒ったり叱ることがつらいと思っている自分がいた。あの時母はきっとこんな気持ちだったはずだ。

きっとわたしの寝顔を見て母も反省会をしていただろう。みんな出来ることなら怒らないで、いつもニコニコのママでいたい。

でもケガをしたり、人様に迷惑をかけるような人にはなってほしくない。その時は悪者になってもダメなものはダメと教えてあげないといけないのだ。

同じ立場にならないと気づけないことってまだまだ沢山あるだろう。

自分が思っていたよりつわりのしんどさは想像以上だったし、子育ては理想とかけ離れ100倍大変だ。

毎日大変だけどあの頃の母のきもちが分かった今、親になってよかったなと思う。

明日はなるべく怒らないと誓って今日も布団に入ろう。