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三題放詩③

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第三弾。
四選を掲載しております。



物語のはじまり(お題:夏、粉屋、時計屋)


石の畳の
街に降る
強い陽射しが
照りつける

配達終えた
粉屋の男が
ひとり日陰で
休んでる

男は辺りを
見回して
とある店屋で
視線が止まる

そこは時計屋
ショーウィンドウに
置かれた時計が
目に入る

男はなぜだか
気になって
視線を反らさず
じっとみる

そのとき時計が
午後二時を
指して仕掛けが
動き出す

不思議な形の
扉が開いて
狐が現れ
手まねいた

それを眺めて
魅入ってしまい
意識はどこか
うわのそら

気づけば
森に立っていて
朱塗りの鳥居が
並んでた

それを潜って
進んでいくと
静かにたたずむ
社があった


いつもの風景(お題:刺、漁師、料理屋・レストラン)


潮の匂いが立ち込める
朝から働く漁師の街に
自分の獲物が一番と
競っては自慢の声あがる

湊は賑わい喧騒響く
今日も荷揚げに活気づき
威勢と熱気に包まれる

顔だす仕入れの常連が
目利き目端で品定め
今日の目当てを手に取って
売り手買い手の真剣勝負

選んで獲得した品を
料理屋亭主は台車に積んで
鼻唄まじりに帰ってく

店に戻った料理屋亭主は
早速準備と買った素材を
手仕事 丁寧 料理して
書き入れ時に備えれば

香りに釣られた道行く人が
次から次へとやって来て
気がつきゃ店は大繁盛

焼きに煮付に刺し盛と
注文飛び交い目が回り
やっとの思いで修羅場が過ぎて
ほっとひと息 くつろいだ


茶会に興じる(お題:紅葉、執事、ガラス戸)


ガラス戸越しに
眺める景色は

緋色に染まる
枯れゆく世界

コントラストに
構成された

儚い紅葉の
散りゆく姿

テラスに座って
それを楽しみ

執事が注いだ
紅茶の色に

重ねて興じる
つかの間の茶会


オアシス(お題:荒野、透き通った、砂糖)


草木もまばらな
荒野の大地に
ぽかりと浮かぶ
緑のオアシス

透き通った
泉に誘われ
集まり営む
旅過の集落

賑わいみせる
バザーの広場に
響くリズムと
ひとりの舞姫

魅惑の舞踏は
視線を釘付け
拍手喝采
歓喜に満たす

それは甘美な
砂糖のように
甘く蕩けて
夢見させ

過酷な旅を
ひととき忘れる
癒しをもたらし
至福を与える

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