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白目とプリンスと先入観

桜が散りはじめたころ、セレブのお召しものをデザインするデザイナーの男性とご挨拶する機会があった。


海外育ちで、華々しい経歴。
思いやりがあってキュートで穏やか。
長身に細い体の柔らかな所作が美しい。


カフェインを  きゃっふぇいん
と発音したところで、
嫌味は微塵も感じない。
非の打ちどころがない。


内心こっそり「プリンス」と呼んだ。

プリンスはまっすぐ目を見て話す。
育ちの良さが滲み出ている。
キラキラと潤む黒目がちの瞳、
洗剤のCMのTシャツみたいに
白く澄んだ、白目。

杉咲花ちゃんくらい
ツルンっとしたおでこが、
天使のような眼を強調している。


奇跡のアラフォーMan
プリンスったら、妖精さんなの?
ウィーン少年合唱団のようなおじさんは
小さいおじさんよりよっぽど希少だ。

ーー

会合後、同席した知人と秒で振り返った。
「あんな澄んだ眼の大人、いないよ?どんだけ心が美しいのかしら」


「くりちゃんさ、澄んだ眼と汚れは関係ないよ」
真上の陽射しに晒された表参道の交差点。知人は日陰を探しながら、白目に上気する私を優しく含めるように言った。

「 前の上司(金融系)、犯罪ギリアウトばかりして、人にも悪徳だったけど、妙に目が潤んで澄んでたからね。目だけは綺麗だったな」なにか猛烈に回想してるな、知人。

そうよね。眼の印象と人間性には因果関係などない。完全に先入観である。
この件のわたし、ルッキズムと社会的思い込みの詰め合わせになってる。
令和じゃないわ。


でもまだプリンスのあの極上の白目にこだわってしまう。内面を投影しているって、信じたい。

翌日、今度はヘアサロンで
担当のMさんにプリンスと
白目について熱く熱く語った。

Mさん「あーそれってたぶん、白目ホワイトニングじゃないですかね~」

へ?
  冷たいカラーリング液をペタペタされながら驚く。

「歯のホワイトニングみたいに、白目をきれいにするお薬もあるんですよー」


なにそれ? 知らない。
腕の脱毛もしていないような私には、
そんな美意識、八甲田山くらい高いよ。
 

「そんなのあるんですか?」
「そこらへんの薬局で売ってますよ。3千円くらいから。高くて買う気しませんけど、プリンスなら 万 の目薬とか差してそうですねーww」

ww ←Mさんこんな笑いだった。


プリンス、たしかに歯も真っ白だった。新庄監督がレベル9なら6くらい。叶姉妹の一つ手前ほどの白さだった。ホワイトニングだった。

プリンスの白目が天然か否か、分からない。
だけどなんか、
なんていうか、
ツラい。

しかし、お化粧だって、爪をきれいにしておくのだって、いまラップにまかれている私の髪だって、『先入観』を意識した面はかならずある。大半は、不快感を与えない、良く感じてもらうためだったりする。
エチケットとけっこうリンクしているかも知れない。

『先入観』を抱くがわと抱かせるがわ。
ややこしいこと抜きにして、人は印象という視点だろうか。


当然、プリンスが仮に白目ホワイトニングだったとしても、世間を欺いているわけではない。美意識だし、優美なプリンスである。デザイナーという職業柄なおのこと。

ぐだぐだ書いたが、私の問題だ。
プリンスの白目に純潔性をラベリングしたのは私の主観。勝手に裏切りの可能性を感じているが、プリンスには関係がない。ないけどもさ、

あーそれにしたって、この落胆!


追伸・・・ 画像は、虹がかかった八甲田山。成仏せよ、私の気分!

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