125話 そしてようやく①
ジャズセッションというイベントが存在する事を知ってから1週間後。僕はそれまでは行った事もなかったライブハウスの前に立ち、久しくなかった緊張の中に身を置いていた。気が付けば、手に持つチラシをシワがつくほど強く押さえていた。音楽の事でそんなに力んでいるなんて自分でも驚くほどだった。初めて、ブルースのセッションデーというイベントがあると知り、行った事もなかったBarという世界へ足を踏み入れた時以来かもしれない。けれど、かつてのその緊張感はBarという場所への警戒感から来ていたものだ