五人芝居『A。~ぼくのうたは君のうた~』

五人芝居『A。~ぼくのうたは君のうた~』作 すがの公

<あらすじ>
ある女性の記憶。「ジェイコブは考えました。女の子を治すためにボクは消えなくちゃ」一人はあまりに寂しいから、彼女は彼を生み出した。それが始まり。彼女に力が足りないなら、ボクが代わりにどんな者だって持とう。彼女が無かった事にしたいなら、ボクが代わりに忘れてあげよう。ボクの願いは、彼女が元気でいることだけ。忘れた記憶だけが頭にこびりついて離れない、あの想い。想いから始まる忘れたはずの物語。彼女の中のボクのこと、忘れさせてあげなくちゃ。「…そうして女の子はジェイコブに銃を向け、」。ボクは、彼女を守るために生まれた。

<登場人物>
北島まゆ
新沼つよし
三宅由美
たまちゃん
ナレーション(先生)←男女どちらでも可

<開演>

客入れラストの曲じょじょに上がり、じょじょに暗転。
全暗の中、曲が消えていく。
録音によるセリフ。エコーが少しかかっているようなやつ。

『なにか、忘れちゃった事があるんだけど、
どうしてもその忘れた事が思い出せないのね・・・。
結局、その「忘れちゃったなぁ」っていう心残りだけが、
頭ん中こびりついて、はなれない・・・・』

セリフと共に舞台上に光。ゆっくりと空になったセブンスターがうかびあがる。
(舞台の前めの位置。中央。全ての客から見える)

マイクによるセリフ、三宅由美

み:だからね、何かやんなくちゃいけない事、あってね、
何かの拍子で忘れちゃう事ってあるじゃない?例えば・・・・

明転カットイン、役者A、あほづらでテレビ見てる

み:例えば、「あ、タバコ買いに行かなくちゃ」とかね。
そん時はさぁ、「覚えとこう」って思うんだよ?
こんな簡単なこと、自分は絶対忘れるわけがない。だからメモる必要もない。
でも、なんかの拍子で忘れちゃうわけ。

役者A、なにか思い立ち、動きはじめる。

み:「あ、タバコ買いに行くその前に、トイレ行こう」って思ったり。
トイレ行ってぇ、手ぇあらってぇ、手ぇふいてぇ、戻ってきてぇ、
『アレ?』とかさぁ、あとほら、テレビ見てて、
「あ、この番組見終わったらタバコ買いに行こう」って思ってて
そしたら、いいとこでまたCM入ったりしてね?
「佐野の口から思いもよらぬ一言が?(日替わり)」
「くそっ気になるじゃんかこんちきしょう。まさか次週っとかいわねーだろぉなぁ」
とか思ってCM見てたら、ムカつくCM入っちゃって、

A君、15秒間停止

み:うわ、やっぱこのCMキライだ。15秒も人生ムダにした。
でもなんでクギヅケになっちゃうんだろー」なんてムカついてたら、
『アレ?』とかさぁ。あとあとほら、突然ケータイ鳴って、
「誰だろ?」って着信みよーとしたらワンギリされちゃってさ、「なんだそれっ!!」って
ひとりつっこみして確認したら、「東京03」の知らない番号で、
「ははーん、コレがウワサの『かけなおすと莫大な請求書が届きます』ってやつだな。
あぶねぇあぶねぇ、その手にゃあのらねーぜ?相手が悪かったな。
おとといきやがれこんちきしょう」 ポイッ
「あ、そーだ!これ、いちお あぶない番号として登録しとこう!えっと、えっと、えっと・・・・・」」

A君、ネーミング考えて、思いつく

み:そーだ。『奴』。これで次来ても・・・・プルルル・・・誰だ?

A君、お客にケータイを見せる

み:『奴』だ。(A君、なまら刑事顔)
ポイー。パンパン。これでよしと。」なんて満足してたら、
『アレ?』とかね。
ほら、もう、なんの『アレ?』か忘れてる。タバコ買いに行かなくちゃなのに。
こんな風になんかの拍子に忘れちゃうわけさ。
ほらね、もう完璧忘れちゃってる。
でもほら、タバコ買いに行く事は完璧に忘れちゃってるけど、
覚えてることがあるわけさ。ひっかかってることがあるわけさ。
それは、「何かやんなくちゃいけないことあったなー」って事。
ヒジョーーーーーーーにはがゆい。(このセリフからじょじょに暗。)
「さっきなんかやることあったよなー」
「あーなんか気持ち悪い」「なんだったけなー・・・」
「なんか、やること、あったのに・・・・」

全暗。
A君、テレビ見ることしか出来ないまま、うわの空で消えていく。

み:そんでさ、ここからが本題。
はがゆいまま、また時が流れるわけだ。
(じょじょにA君再び。A君10分後の様子)
さっきまで面白かったテレビだってうわの空。
思い出せそうな体制をとってみるしかない。
とにかく、テレビ見てた。そーだ、テレビを見てて思いついたはずだ。
なんだっけ?なんだっけ?」

全明

み:「あ。」(A君タバコ発見)
忘れたことを思い出すキッカケってのは、
意外と、灯台もと暗しなトコにある。
この場合は、タバコ。
タバコがすでに切れているという事実。
考えてみれば、すごくあたりまえな事でさ。
「タバコが切れてる」っていう事実は、ずっと変わらないわけだから。
だから必然的にまたしてもこう思う。
「あ、タバコ買いに行かなくちゃ」
この時。この時に運命の分かれ道がやってくる。
これは、幸運がおとずれた瞬間である。
「あっ。さっきやんなくちゃいけなかったのって、コレだ。」
(A君にやり)
しあわせ。「忘れてたこと思い出せた感」に包まれた時はヒジョーにしあわせっ。
なんでこんな事思い出せなかったんだろう。もぉーバカバカ。
今度は二度と忘れないように、速攻タバコのからをにぎりしめる。
もう忘れない。お前のことは忘れない。抱きしめる。
「あーそうだ。二度と忘れないようにメモっとこう。えーと、えーと、えーと・・・
(A君、客に見せる。タバコから二つ用意→書いてるやつ、書いてないやつ)
「タバコ」(タバコに「タバコ」と書く)

み:人生って絶妙だ。明日も元気に頑張るぞ!
らんららーん らんららんららんらん らーん
(A君、嬉しそうにハケると共に暗。全暗の中セリフ)

み:今のは彼に幸運がおとずれた瞬間である。
しかし。不幸が彼をおそう時だってある。
すなわち、「忘れてた事思い出せた感」につつまれなかった時。
これは、(じょじょに明) もう、悲劇である。

先ほどの10分後のA君。はがゆそう。三宅由美、マイクもってセリフと共に登場)

み:先ほども言ったとおり、この場合の忘れてた事を思い出すキッカケってのは、
「タバコはすでに切れている」という事実であって、やっぱり、
必然的に、その事実に気がつく。」
A:あ。
み:そう。タバコが切れてる。だからもちろんこう思う。
A:タバコ買いにいかなくちゃ。
み:この時。この時が運命の分かれ道。がんばって!
A:あ!
み:え?(期待)
A:あ!
み:なに?!(期待)
A;さっきやんなくちゃいけなかった事・・・
み:そうそう、忘れてたことっ!
A:思い出せそう!
み:・・・・思い出せてるのに・・・。
A:ここまできてるっ ここまできてるっ
み:そこじゃないのに、こっちなのにぃっ!
A:あ、この角度!この体制!タバコのカラ!
み:それでいいのにぃ!
A:タバコ買いにいかなくちゃ・・・
み:うん!!
A:そのあと何か思ったんだよ、多分・・
み:その後はなんもないのに。
A:うーん・・・はがゆい。
み:・・・・・・・・(客に向きなおり)
彼はもう、複雑な迷路へ迷い込みました。
はがゆさの迷路へ。なかば、自らすすんで旅立ってしまいました。
きっと永久に、この迷路から抜け出すことはできないでしょう。
仮にゴールを見つけても、彼はきっと納得しないのです。
アレが次に思うことはこうです。
A:タバコ買いに行かなくちゃ・・・
み:そして心の中で思います。
A:もしかして。
み:もしかして
A:やっぱり
み:やっぱり。
A:・・・・・・・
み:さっきやんなくちゃいけなかったのって・・・・・コレか?(A、「?」)
(三宅、Aを回り込む)
自信がない。自信がない。今となってはもうこんなことがはがゆさの原因だなんて信じられない。
今あるこのはがゆさはたかがコレしきのことだったんだろうか。
あー、こんなことなら、思いついたら何かにメモるクセをつけておけばよかった。
ああ、俺のバカ、俺のバカ。
いや待てよ。
もしかしたら、コレしきの事だからメモらなかったのかもしれないぞ?
こういうことってなきにしもあらずだ。
そうだ。まずはタバコを買ってみよう!
買ってみてもまだはがゆさが残るのだとすればこれははがゆさの正体ではないってことだ!!
うん!!よし!!いざゆかん!!タバコのある生活に!!!
慌てて財布をつかみ、つっかけをつっかけ!家を出て!一番近い自動販売機を探す!!
自販機どーーん!!!(B登場)
こっちだ!あったぞ!セブンスター!売ってる!!
財布を出し、中を見る!小銭!
あっ、ない!!びみょーに足りない!!
さあどぉする!急げ!でも焦るな!このはがゆさが消えたら元も子もないぞ!
千円札は!あった!よしいけ!
ウィーン、・・・・ウィーン
出てくるなぁ!!!
何がいけない?この千円札の何がいけない?!
(Bさん、自販機の役で出て下さい)
ピン札だってしわくただって!!千円は千円じゃないかこのバカ自販機め!!
は!!そーだコンビニだ!コンビニエンスストアになるじゃないか!!
チャリに乗ろう!チャリ置き場到着!そして自転車の鍵を外して
自転車にまたがる!ざくっ!!
A:え?ざく?
み:痛い!これは痛い!サドルがない!!
A:え゛え゛??!
み:これは切ない!これはうっかり!
盗難帽子に乗るトコ抜いてた自分がにくい!
でも耐えろ!今は耐えろ!立ち上がれ!立ち上がったら立ちコギだ!!
どけどけどけどけぇ!!コンビニエンスストアー到ー着!!
チャリをぶんなげ!
A:ガチャン!
み:コンビニに入るその前に!!
A:え?
み:盗難防止盗難防止、防犯防犯かぎかけて。
サドルもないしカンペキだ!
A:ぬすむかこんなものぉ!!!
み:自動ドアウィーン、店員さんどん!(B登場)
B:いらっしゃいませこんにちはぁ。
A:すいません!セブンスターひとつ!
み:ああ、これは残念!
A:え?
B:うち、タバコ置いてないんすよ。(タバコふかしながら)
A:ないのかぁーーーーーーーーー!!!!
B:自販機だったらそこの角の・・・
A:そ!!(んなことは知ってます)
み:そんなんしってます!!という言葉を飲み込んで!!
機転をきかせるんだぁ!!は!両替!!
A:両替してください!!
B:500円玉2枚で。
み:オッケー!!サンキュー!!自動ドア注意!
B:ゴンッ!
み:痛くないぞぉ!!
B:ウィーン
み:チャリンコ!
B:ざく!!
み:これは痛い!
A:かまいかぁぁ!!
み:男らしーー!!
A:自販機発見!

B:あ。
み:ほら、自販機どーん!
A:500円玉チャリン。
み:入った!!
A:よし!!
み:ああ!これは残念!!
B:チャリン
A:え?
み:注意書き発見
B:新500円玉は使えませんと書いてある。
A:書く手間はぶいて新しくしろぉ!!
み:ジェーーイティーーーーーーー!!!!!
と、崩れ落ちると、そこには!!

B、500円玉(旧)をポケットから出して、おく

A:きゅ・・・旧500円玉・・・?
B:曲。(パチン)(時計を気にしはじめる)

曲流れる。イマジンとかその辺の。色変わる

み:・・・いるんだ・・。やっぱり神様っているんだ・・・。
ありがとう・・。神様ありがとう。サンキューゴッド。
これで、これで・・はがゆさの意味・・・わかるかも。
慎重に・・慎重に・・汗ふいたぐらいにして・・・
ここで落とすな・・自販機の下に入ったら、俺は大バカだ・・。
もう、タバコ、買えさえすれば、いいや。
忘れてた事、コレだったってことで、いいや・・・。
「忘れてた事思い出せた感」なんでどーだっていいや。

A、入れようとするのにナレーション止まらない

B:あ。(11時)
A:え?
B:(ニコ)
A:なに?(三宅に聞く)
み:それは、自販機。しゃべったり笑ったりしないもの。
A:でも、にこって。
み:さぁ、これで終わる。セブンスターを買える。全てのはがゆさから解放される。
A:よ、よし。
み:さぁ、旧500円玉を入れよう。
A:よし。旧500円玉、チャリン。
み:入った。
A:よし!!
み:かわいそうに。

曲切れる

A:え?
B:チャリン
A:ええ??!
B:ピッピッピッポーン
A:え?
B:ただいまより、午後、11時0分30秒をお知らせします。
A:え?

じょじょに暗

み:よりより地域社会のために、午後11時よりタバコ及び酒類の自動販売機は中止させて・・・
B:ピッピッピポーン ただいまより、11:00:45・・・
ピッピッピッポーン ただいまより11時1分ちょうど・・・ピッピッピ・・・
A:え? え?   は、ははは、あはは・・・
(上3つのセリフ同時にしゃべる)

タバコサスにクロスフェード
くしゃっとなったタバコのカラのみに光あたる

A:はがゆいよ・・はがゆいよーーーーーー!!!!!

曲、優しい失恋の歌。 
曲きっかけ、明転
三宅、マイクを握りしめ、A、はがゆい思いを胸に、B、カツラを握りしめ

み:忘れられない。忘れられない。忘れたことは何だったのか。
A:はがゆーい
み:たとえタバコが買えたとしても、何かを忘れた思いは残り。
A:はがゆーい
み:思いはとげたはずなのに、はがゆさだけは永遠に。
A:はがゆーい
み:と、その時
B:ひろしーーーーー!!!!(といった途端にカツラを後ろ向きでかぶりだす)
A:この声は!(と、Bをみやる。Aと三宅)

曲上がり曲切れ
北島マヨさん登場、手には台本

き:あの!もういいです!(明転)
A・み:え?
き:もう、結構です。
み:もういい?
き:はい。
B:もぉ、ヒロシ、こんな夜遅くまでどこ行ってたのぉ?
まったく、親に心配ばっかりかけちゃって、まぁまぁ。

Bのヅラはカンペキである。

A・み・き:・・・・・・・。
B:まぁまぁ・・・・(台本見る。間違った?あれ?カツラをとり、なんとなくハケる)

沈黙

み:ヒロシの母親の役・・・(こっそりと注釈)
A:なんとなくわかりました。
み:あ、よかったです!
A:で、僕がヒロシくんでしょ?
み:あ、いえ。
A:え?え?
み:ちょっと。
A:あ、違うんすか?
み:はい。
A:すいません、きちんと台本読んでなくて。(取りに行こうとすると)
み:いえ、私の書き方が・・・
B:(同時に)もぉ、ヒロシこんな夜遅くまでどこ行ってたのぉ?
全:・・・・・・・。
B、ヅラである。

B:まぁまぁ、(空気のようにいなくなろうとする)
み:・・・・ヒロシの母親の役・・・。
A:いや、わかってるんですが。
き:あの。
み:はい?
き:お聞きしたい事がいくつかあるんですけど、
このお話は、大体どのくらいで終わるんですか?
み:え?あ、これですか?これは多分1時間くらいだと・・
A:え?1時間?!
き:(ためいき)1時間ですか・・・。
み:あ、いけませんか?もうちょっと書きます?
あの、書けといわれれば明日までに・・・
A:いや、あのね。そーじゃなくてね、
さっきんとこで大体50分くらいはいってますよね?どう?
き:56分40秒
み:はい。(にっこり)
A:あの、えっと、
き:3分20秒
み:はい。
A:台本って今何ページくらい・・・
み:今えっと・・あ、ちょうど56ページです!(ぴったりだ)
A:あと何ページくらいあったっけ。
き:自分で計算しなさいよ。
A:ケチ。えーと・・

B登場、すみっこに座る。ヅラのまま。

き:この台本は120ページあります。
A:てことは、えーと?
き:あと64ページもあります。
み:はい。 ?
き:あと3分20秒で残りの64ページが終わるんですか?
み:少しオーバーするかもしれませんけど。
き:少し?少しどころじゃないと思います。
この調子だとあと64分。
A:64たす56分20秒は、120分。
み:あっ、丁度2時間のお芝居ですね。
き:さっきと言ってることが違いません?
み:もうちょっとつめます?
あの、つめろと言われれば明日までに。
いや、今日中にでも、いや、1時間くれれば・・・
A:できるんすかそんなこと
み:なんとかします!頑張ります!寝ません!
A:そぉですかぁ・・・頑張って!
き:勝手に決めるなオタンコナス。
A:オタンコ・・・
き:この台本の内容も問題です。
み:え?よくなかったですか?
き:なんですかさっきの。
A:さっきのはアレでしょ?はがゆいっていう。
き:そんなんはわかる。ちょっと黙りなカボチャアタマ。
A:カボ・・
み:あの、どこが、どうよくなかったんでしょうか?
き:たとえば。
み:はい。
き:あれはなんですか。

すみっこでどんより座っているB。

A:うわ、お前・・いたのか。
B:終わってた?
A:うん、いいよそんなこと。忘れてたよ、お前ごと。
み:あ、あの!ですからあの方はヒロシの母親です。
あの、よかったです母親役っ。
B:ホント?
A:真に受けるんじゃないよ。1行しかセリフ言ってないだろ。
同情してんだよ、お前のこと、いろんな意味で。ねぇ。
み:はい、あ、いえ!!そんなことないです!ほんとに!!
き:ですからあの。
み:え?
き:あたしが言いたいのはヅラの事じゃありません。
A:誰もヅラのことなんで言ってねーよ。
き:じゃ、コレは?
A:人を指差すな。
き:コレ。
A:指すな。
き:ヒロシくん?
み:それは・・
き:じゃないんですよね?
み:はい。
き:じゃ、誰なんですか。
み:ジェイコブです(ハート)
A・B・き:え?
み:ジェイコブです!!
A:俺・・ジェイコブ?(Bに)

B、何も言わず、見つめあったままヅラをとる。

き:ジェイコブ。ヒロシの母。あってます?(ゆびさし確認)
み:はい。
き:仮に、120分、2時間ビッチリお芝居をやったとして。
このお話にきちんと結末がつくんですか?
み:つきます!!
A:なんとお?!
み:ほんとです!!
A:だって、俺ジェイコブで、こいつヒロシの母で、でもヒロシはいなくって。
舞台に残ったジェイコブとしては、この先どうしていいのかさっぱりわからない。
み:台本にちゃんと・・
き:だから台本のどこ探してもジェイコブって役名は出てこないんですけど
わかります言ってること?
み:でも!でも!でもジェイコブはあなたなんです!!
A:・・・・・・そこまで言われちゃひきうけんわけにはいかないな。
き:ちょっと黙ってフンヅマリ。
A:フンヅマリ・・・
B:フンヅマリって便秘のことですか?
A:俺に聞くなよ。俺はフンヅマリじゃねぇ。
み:あった!!ここ見てください!!
き:どこ?
み:台本120ページ!!みなさん!120ページ!!

みんな台本見る

B:あ。
き:あ。
A:あ。
み:ね!
A:ヒロシだぁ!!
み:読んでみてください!!
A:え?
み:読んでみてください!!
A:え?でもこれ、ヒロシでしょ?
み:はい!
A:でも、さっき、俺、ジェイコブだって・・
み:読めばわかります!!
A:じゃ、えーと、ヒロシ、舞台中央にたたずみ、ふと顔をあげる。
舞台中央奥に人影が見える。次第にその人物が浮かび上がる。
なんと、ジェイコブの母親、ジェーンである???
き:ジェーン。
B:またふえましたね。
み:続けてください!!
A:・・・・ヒロシ、ジェーンに抱きつく?
そして、セリフ・・・
み:ハイ。
A:お、お母さん?
み:ハイ!!(拍手)
A:え?何?今ヒロシ?俺ヒロシでしょ?
き:ジェーンはジェイコブの母親じゃなかったんですか?
B:あたしはヒロシの母親。(ヅラかぶる)
み:つまりこういうことなんです!!
そのセリフで、はじめてヒロシはジェイコブである事に気づくんです!!
A:えーーー?!あ、えーーーーーーー??!!
気づかなかったなああ!!!!
み:それは当たり前です!
だってそのセリフではじめて気づくんですから!!
A:そぉかあ!!俺もはじめて気づいた気がするよ!!
き:でもこのジェーンというのは・・
み:あ。(うっかりしてた。金髪金髪・・)(Bにわたす)
B:え?
み:はい!
B:え?
み:どうぞ!
B:・・・・・(ヅラをとり、ヅラをつける)
A:・・・・ジェーン!
B:ジェ・・ジェイコブ、あ、ヒロシ?
A:どっちでもいいやあぁ!!!

A、B、抱き合う

み:(拍手)いいです!!最期それで行きましょう!!イタダキです!
A:なんだそぉかぁ、なんとなく理解したなぁ。
B:う、うん。
A:なぁ?(北島に)

ツカツカと歩いていく北島、台本で殴る

A:いて
き:(Bを殴ろうとするが、ヅラをはがし)こんなもの!!
A:なにすんだおい!!
き:(なぐるよ)
A:(うー)(目つぶる)
き:ですからあの。
あたしがお聞きしたいのは、あと二点、いや一点。
A:なんでへるの。
き:(なぐる)
A:フェイントだこりゃー
き:ですからあの。
あたしがお聞きしたいのはあと一点。
A:二点じゃなくてね。
み:なんでしょう?
き:これは、きちんと客層をふまえた上でかかれた台本なんですか?
B:客層って?
き:たまちゃん。
B:はい?
き:あなたも役者なんだから、そのくらい意識してやらないと。
B:客層って?
A:お客さんの層のことさ。ターゲットな、ターゲット。
B:ターゲット。(Bメモる)
A:女子大生ターゲットとか、女子高生ターゲットとか、
女子中学生ターゲットとか、女子小学(Bメモる)
き:(なぐる)(メモやぶる)どうなんでしょう?
み:え?
き:募集要項に書いておきましたよね?読んでいただきましたよね?
み:あのー、劇団の。
き:はい。
み:公演用の。
き:はい。
み:台本を。
き:はい。
み:募集。
き:はい。
み:募集します。
き:はい、しました。
み:しましたか?
き:あたしが聞いてるんです。
み:そうでした。
A:募集要項は?
B:ありますよ、多分。(立ち、ハケようとする)
き:たまちゃん。
B:はい?
き:いいよ、持ってこなくて。
み:でも、あのー・・・
き:持ってるんですよね?
み:あ、はい。
き:おうちでもう一度募集要項をご覧になって、
もう少しましな台本をお書きになって、それからまた、いらして下さい。
み:・・・・・・すいません・・・。
A:おいおいおいちょっとまてよ。
き:何?
A:そんなにキツく言わなくてもさ。なぁ。
B:・・・うん(ヅラ発見)
A:もうちょっとやわらかくさ。なぁ。
B:うん(ヅラを)
A:どこが、どんな風に悪いとか、いいとか。
B:うん(ひろう)
き:(ひろった!!むしりとり)この台本の、どこがいいの!!(投げる)
A:ことあるごとにヅラにあたるんじゃないよお前も!
もう、公演まで日にちないんだからさぁ、
いいよ、もうこれでいこうよ。やってみなきゃわからんでしょーが。
き:わかりますやんなくたって!
A:きたじまぁ~。お前だって演出だけじゃなくて役者もやるんだからさぁ・・・
早く稽古しないと・・・・あ!!
B:え?
A:あ!!
み:ははーん。
き:!!(バレた)なに?(ヅラひろいにいく)
A:お前、あれだろ?自分の役見あたらないからだろ?
これ、二点目だろ?な?
き:そ・・そんなんじゃないよ!(ヅラピターン)
A:あ!図星だなこれな!!
気に入らないことがあるとすぐヅラにあたる!!
き:違う!!(ヅラをもうひとつ探して)違うっての!!(ヅラピターン)
A:ほらヅラ!すぐヅラ!な!な!!
B:それじゃああの。(ヅラひろい)(黒?金?黒、えーと)
(金)ジェーンを。(わたす)
き:(そでにぶんなげる)いらない!!
B:あー。
み:あの!!台本気に入らなかったら直しますから!!
募集要項も読み直します!!でもあの!役はきちんとあるんです!!
き:・・・・・え?
A:どこに?
B:コレ?
き:(くわっ)(うばいとりにいく)
み:違います違います!!あたしの読んだ役!!
き:(黒いヅラに手をかけ)え?
み:あたしは書く専門ですから。演出の北島さんに
客観的に見てもらおうと思って・・それで・・・。
A:あ(台本)コレ? えと、役名は・・たしか・・・。
B:・・・たしかえっと・・黒子A。
き:(黒いヅラを)
A:じゃ顔見えないんだ。
き:(ゆっくりとふりかぶり)
B:黒子ですからね。
み:全身まっくろ。
き:(投げた)
A:投げましたあ。カキン。
き:(あ。)
(以下、み:え?え?あれ?はい?え?あら?などなど)
A:打ったぁ。これは大きい。
ヅラはぐんぐんのびていきます。これは、入るか。入るか。
たまちゃん走る。たまちゃん走る。
B:(あ。)
A:間に合うか。ヅラッ、ヅラッ、ヅラッ
B:スポ
A:かぶったぁ。ピッチャー北島。これは悔しい。これはジェラシー。
たまちゃんゆっくりとホームへ向かいます。
ヅラを取り、礼。ヅラを取り、礼。これは礼儀正しい。
おっとぉ。ピッチャー北島負けじと金髪のヅラをかぶります。(金ヅラわたす)
き:(かぶる)
A:二人並んでウィニングランです。ヅラをとり、礼。ヅラをとり、礼。
おっと?ピッチャー北島アナウンス席へと歩み寄ります。
バットを振りあげてぇ・・
き:(なぐる)
A:なぐったー。そしてやっぱりヅラを投げたー。
き:(なげる)
み:あのう?
A:・・・・わかってもらいたくて。結構出来る子だって事を。
B:ね、北島さん。
A:ほら、みんな並んでごあいさつ。
B:よろしくおねがいします?(でいいんですか?)
A:うん。じゃ、いくよー、さんに、さんはい、
き:「よろしくお願いします。」(言わないAB)
!!(ハメられた。ヅラをとり、ふむ、ふむ、ふむ。)
こんなの!!こんなの!!
A:ね。
み:はぁ。

曲。


―――――――――――――――――――――――――――
『A。』はじまるよ。
(みなさんストップモーション)
謎の人 登場。
役名:ナレーターの「な」

曲キッカケ、セリフ。

な:三宅由美。
脚本家。劇団の「台本募集」のチラシを見て、
三日間の徹夜の末、応募してきた。
現在23歳、独身。レジ打ちのパートで生計を立て、
脚本家を夢見るうら若き乙女。好きな言葉は、
み:根性、根性、ド根性。泣いて笑ってケンカして。
な:昔のアニメが大好き。はい退場。
み:(ぺこり)(退場)

な:たまちゃん。
新人劇団員。衣裳、小道具、はたまた会計もこなす。
制作として入ってきたつもりだったが、役者不足により
無理やり舞台に立たされるハメになる。
次の公演が初舞台。好きな飲み物は、
た:そば湯。
な:そば湯?
た:おそば食べたあとに出てくる、あの。
な:わかってます。はい退場。
た:(ぺこり)(退場)

な:北島さん。
団長、演出、役者。
さらに大道具、チケット作り、チラシ作り、パンフレット作り、エトセトラエトセトラ。
小さな劇団ではよくみられるシステムである。
彼女は「いいだしっぺ」として、あらゆる作業にたずさわる。
性格は、
き:短気、わがまま、キツい、我が強い、頑固。
な:はいエトセトラエトセトラ。どうもありがとう。
き:どーいたしまして。(ハケ)

な:えーと、以上さんめ
A:あ~~~~~~い!!!!!(おーいのようなはーいのような)
な:あ、ごめんごめん。
A:紹介紹介。
な:はい。えーと、ごめん、資料ないや。
A:えーーー!!!
な:えーと、じゃあ、仮の名前で。
A:えーーーーー!!
な:はい、これもって。(黒い板)
A:?(目のあたりにもってくる)
な:・・・・A君。
A:「未成年だから名前でないしょ」
な:はい。
A:俺は少年Aかーーーーー!!!
な:はいありがとう。
A:にいぬま・つよし!!劇団員!!それも看板役者!!
ハマり役は「バカなおとこぉ」!!!
な:好きなことわざは、
A:『(ことわざ)』(日替わり)
(例:ぬかにくぎ、知らぬが仏。長いのがいい)
な:好きな慣用句は?
A:かんようく?
な:慣用句とは、二つ以上の言葉が結びついて
特別な意味になったものです。
A:えっと・・・後の・・まつり。(もしくは「水に・・・ながす」)

自己紹介スポット消える。
つよしくん退場

な:以上四名。人物紹介無事終了。
この小さな劇団は、果たして無事に本番を迎えることが出来るのか?
その前に台本は上がるのか?お稽古は順調に進むのか?
SKグループ第13回公演「A。」
このお芝居は、そんな劇団のハナシから始まって、
あんなハナシへすすんでいきます。

全員集合、かけあし、場つき

な:なお、本公演は、完全Wキャストでお送りいたします。

笑顔ダンス
ハイスタ 「My First Kiss」


My First Kiss 2m10sくらいのツッタカツタ♪で
曲、どんと上がり、色、どんと変わる。
笑顔ダンス。約45秒くらいで、ラストまで。
(ダンスコンセプト。笑顔で、笑えて、好ましいもの。
役者個性重視、白黒チーム別々なもの。
バラとか、一人だけおたまとかくわえてみる。)

曲終了と同時に、お芝居の続きに入る。コロッとね。

曲きれ、色、転。


新沼つよし→ヒロシ(学生服)
たまちゃん→ヒロシの母
謎の男(女)→先生

椅子に座る三人。
高校の三者面談。呼び出しくらった母。

ひ:俺はタバコなんてすわねぇ。
母:・・・ひろし!!
ひ:だから吸ってねえっての!!大体あんた卑怯だぞ?
事あるごとにうちの母ちゃん呼び出して!!
母:先生に向かってあんたってなんだい!!
先生に向かってあんたってなんだい!!
ひ:あんたったら、あんただろ。
母:先生に向かってあんたったらあんたってなんだい!!
先生に向かってあんたったらあんたってなんだい!!
先:まぁまぁお母さん。
ひ:来んなよ、おめーもよぉ。
母:ひろし!!
親に向かって来んなよおめえもよぉってなんだい!!
親に向かって来んなよおめえもよぉってなんだい!!
先:まぁまぁお母さん!!
とりあえず、落ち着きましょう。
ひろしくんだって強く二回ずつ言われると・・
母:ひろしがこんなことする子だなんて思ってなかったもので。およよ。
先:?!
ひ:だからやってねぇっつってんだろこのくそばばあ!!!
先:あ。
母:親に向かってくそばばあとはなんだい!!
親に向かってくそばばあとはなんだい!!
先:お母さん!!
母:!!
先:ですから。そんなに強く二回ずつとか、やめましょう。
母:男だったら、自分のしでかしたことくらい!!
素直に認めたらどうなんだい!!ええ?!
そんなアクタレになっちまうなんて!!
母ちゃん、情けなくて、涙出てくるよ!!およよ!
ひ:やってねぇもんはやってねぇよ!!
そんなに自分の息子信用できねぇかよ!!
母:ああできないね!!ああできないね!!
先:ですから、二回ずつとか!!
あと、ひろしくん気づかなかったみたいだけど、およよとか、
やめていきましょう。
ひ:このヅラ女ぁ!!!
先:ひろしくん!!
母:もっぺんいってごらん!!
ひ:なんべんでも言ってやらぁ!!ヅラ女!ヅラ女!ヅラ女!!ヅラ女!!
先:四回も言うもんじゃない!!
母:ひろしぃ!!(平手で先生のどこかをぶつ)
先:痛い!!なんで!!
母:・・・・母ちゃんの、どこが、ヅラなんだい?
先:・・・え?
母:言ってごらん!母ちゃんの、どこがヅラなんだい!!
ひ:・・・・・・。(うちひしがれるひろし)
先:ひろしくん。
母:先生。
先:え?
母:どこですか?
先:え?
母:あたしのどこがヅラですか?
先:え?!
母:答えてください!!この子の前で!!
あたしのどこがヅラですか先生!!
先:え?え?私?!
ひ:答えろよ先生!
母:どこですか先生!!
先:いや・・どこって言われても・・ホラ。ねえ?
ひ:いつもそうだ!!
先:え?ひろしくん・・
ひ:どいつもこいつも、
俺を信じちゃくれねぇんだ~~~~~!!!!(走る)
先:ひろしくーーーん!!!

三宅さん、登場。台本を読んでいる。

み:と、走りさるひろしくん。その後を追おうとして立ち上がる先生。
舞台にオレンジ色の明かり。曲、流れる。
松任谷由美、アニバーサリー。
泣き崩れるひろしの母。
三人、スローモーションとなる。
舞台に下手すみにスポットライト。北島マヨ登場。曲の中、セリフ。

北島さん、後ろ向きで登場。
振り返ると黒子A。
三宅さん、アニバーサリー歌う。

き:あたし、見ました。
ひろしくんが、体育館の裏でタバコを吸っているところを。
ところを。ところを・・・
み:北島さん退場!どーして、どーして・・・(以下続く)
母;ひろし~~~~~~~~!!!!
ひ:ちくしょ~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!
み:ひろしの叫び声と共にかっこいい曲!!
素敵な光!!どーん!!

曲、光、なまらかっこいい。

曲きっかけ、謎の人セリフ。
な:みなさんは、人間の精神というものについて、
いや、自分の心の内面について考えたことがありますか?

光と曲とセリフの中、舞台にてくてくと入ってくる北島さん。
それに気づく三宅。

な:フロイトは、精神分析理論により、
それまで未知の領域であった心の内面に光を当て、
心が抱えたトラブルによって引き起こされる様々な症状に答えを導いた。
我々人間の心の中には、意識と無意識という二つの相反する
カテゴリーが存在し、無意識のレベル、
つまり「意思下」では、どのような働きがあるのかを
確認することはできないのである。

この間に北島さんはヅラをとり、
謎の人以外は北島さんの存在に気づいている。

な:もしかして、あなたは、自分が思うような人間では
ないのかもしれない。

北島さん、ヅラを投げつける。
曲、消え。

き:あんた誰?!コレ(黒子A衣裳)は何?!
な:え?
き:何ですかコレは?
み:それは、黒子用の、
き:何ですかあのセリフは?
み:近所のお姉さんのセリフで、
き:すぐに退場させたのは?
み:次のシーン、大事だったもんで。
き:あたしの役名は?
み:北島マヨさん。
た:どっかできいた。
に:ガラスの仮面の。
な:それは北島マヤです。
た:あれ?北島さんの本名って?
に:マ・・マ・・・
な:マユ。
み:ヤもユも無理なら、ヨかなって・・
た:北島マヤじゃなくて。
に:マユじゃなくて。
な:マヨ。
き:でもコレは?
な:それはほら、黒子用の。
き:あんた誰?!

謎さん、そでにハケてアルミのペットボトルを持ってくる。
キャップをあけて、飲まないで

な:(吹く)ボーーーーーー。
き:あ。
な:知ってました?アルミでも鳴るんです。
意外でしょ?
た:意外だ。
に;盲点だったな。
み:それ、イタダキですっ!
き:イタダかないで下さい。
み:どうして?
き:どうしてじゃありません。
こんな事お芝居のどこでやるんですか?
どこの劇団が、舞台上でこんな事、
アルミ缶を鳴らして喜ぶなんてくだらない事やってみちゃうんですか?
な:・・・・ボッボーーーーーー。
たにみ:おおお・・(パチパチパチ)
き:やめろ。
な:推測なんですが。
き:なんでしょう。
な:中の水の量を調節する事で音が変わるでしょうね。
た:あ、そーかも。
に:さんっはい。
たにみな:じっけんじっけんじっけん
き:するなーーーーー!!!
に:きたじまぁ。何、昨日からピリピリしちゃってんの?
き:なんであんたピリピリしちゃわないの?!
な:すいません。
き:何?
な:お話の途中で申し訳ありませんが、
コレ、おいてきていいですか。
き:はいどーぞ!!(怒)
み:あのぅ、徹夜をして、書き直したこの台本の
どこがお気に召さないんでしょう?
き:どこ?どこって・・・全部。
み:全部~~~~~~?!くらっ
た:あ、三宅さんっ
み:大丈夫です。
ただちょっと一睡もしなかっただけですから・・・。くらっ
き:わざとらしい。
どんなに頑張って書き直したとしても、
ダメなもんはダメですからね。

謎さん、透明のペットボトル持ってくる

な:これもイケると思う人。
に:それはダメだろう。
み:無理無理。
た:絶対ダメ。
な:マユちゃんは?
な:・・え?・・・えっと、イケると思う。
三人:えーーーー。(不満)
き:やってみなくちゃわかんないじゃん。
な:そうだねー。じゃ、いくよー。

謎さん、鳴らす。「ボーーーッ」

き:ほらぁ!!ほらぁ!!
三人:おおお。
な:じゃー次は午後ティーを実験するよ?
き:どうして?
な:あれは、四角いからね。
き:あ。
な:イケると思う人。
三人:はいはいはい!!
な:イケないと思う人。
き:はい。
三人:えーーーーー。(不満)
に:イケるだろうそれは。
み:イケるイケる。
た:絶対イケる。
な:私は・・・・マユちゃん派。
三人:えーーーーーー。(不満)←さっきよりちょっと強く
き:うわーい!
(ボトルもぎとり)だからあなたはだれですかーーーーー!!!

謎さん、午後ティーを取り出して、吹・・

き:(吹かせない)
た:新沼さん知ってる?
に:知らない。知ってる?
み:あ、はい。
き:誰?
み:助っ人です。
た:助っ人?
き;助っ人って?
み:あのぉほら、助ける人と書く。
き:わかります。あたしが聞いてるのは、誰が助っ人を呼んだの?
み:はい。
き:どうしてですか?
み:え?
き:どうして助っ人なんか?
た:北島さん、それ。(捨てときますよ)
き:あ、ありがとう。
な:あのー、何か問題でも?
き:ちょっと待っててください。三宅さんに聞きますから。
た:ふー。(鳴らない)(午後ティー)
き:答えて下さい。どうして助っ人なんか?
た:ふー。(鳴らない)
に:お前下手なんだよ、貸せ。
き:(なぐる)やめろ?
に:俺かー。
た:もう。(うばいとり、捨てに行く)
に:もうじゃねーべ。
み:あの、台本で一人、登場人物が増えたので。
き:それで。
み:助っ人を。ほら、あのー、先生の役。
な;あ、どうでした?
み:よかったです。
な:ありがとう。
き:あたしは?
み:え?
き:どうでした?
み:どうって?
な:えーと、ごめんなさい。出てましたっけ?
に:あ、ゆっちゃったよこの人。
き:でてましたぁ(バカになる)
み:え?(様子が違うぞ?)
き:近所のおねえさんの北島マヨという黒子の役で
一生懸命やりましたぁ。
に:やばい。壊れた。
み:え?
き:でも次のシーンが大事だと言う理由で
そっこぉ退場させられましたぁ。
た:なにごと?
に:壊れた。
き:えーいこんなものお
えーいこんなものお
た:落ち着かせなきゃ
に:何か飲むもの!!
な:まかせろ!!(ハケ)
き:みやけぇ。
み:はい。
き:あれだろ?キライだろ?
てーか、好きだろ?なまら。
み:ええ?!
き:うたってよ。もううたってよなんか。じゃあ。
み:うた?
に:歌ってください!!
み:うたぁ?
た:お願いします!!
み:(うた)

謎さん、ペットボトル(大)

な:はいこれ!!
に:でけぇ!!
た:かして!!
み:・・・・。
き:!!うたってよ!!
に:歌ってください!!
た:お願いします!!はい、北島さん!!
み:(うた)
き:ぼっぼー、ぼー、ぼー(ハケる)
た:飲んで!!飲んで!!(ハケる)
に:きたじまーーーーー!!(ハケる)
み:(うた中)
な:・・・・。
み:(もういいかしら?)
な:私は。
み:?(うたやめ)
な:最善を尽くします。

曲、色、曲きっかけサス、セリフ。

に:彼女が出した条件は、おおまかに三つ。

光、舞台中央らへんにもあたり、三宅さん必死に台本を書いている。

に:まず一つ目は、彼女がもっと出演できること。
具体的に言えば、北島マヨのセリフを増やす。
北島マヨを大事なシーンに登場させる。
その前に北島マヨを意味のある役にする。
北島マヨには、黒子の面をかぶせない。などなど。
結局、北島マヨという役名はお気に入りらしい。
二つ目。
台本の意図をはっきりさせること。
(北島さん、台本書きの様子を見にきた)
客層、つまり、お客さんのターゲットを絞り、もっとわかりやすい台本にする。
そのためにまず登場人物を整理整頓する。
必要がない役は、役ごとカット。
黒子の面はまず捨てる。

北島さん、黒子の面をそでになげる。拾いにいく三宅。

に:ひろし、およびジェイコブの役は何故かイキ。
(この間に、たまちゃん。刀を持って登場、北島に渡す)

光、全体に

た:ひろしの母、ジェイコブの母、ジェーン。
き:(かまえる)
た:コンビニ店員。
き:(切る)(SEズバァッ!)
た:自動販売機。
き:(切る)(SEズバァッ!)

三宅さん、黒子面で登場。

き:(切る)(SEズバァッ!ズバッズバァッ!!)
(三宅さん虫の息)
み:演歌歌手。
き:(刺す)(SEドシュ!!)(謎の人登場)
に:そして、先生。
先:「先生。」これは必要でしょう。(態度悪)
き:~~カットぉ!!(切りに行く)
に先:え~~~~~!?!
み:気持ちわからないでもないけど!!(止めに入る)
き:誰なんだきさまぁ!!
た:こらえてください!!(止めに入る)
先:なんなのあの人は。(危ねーな)
に:あんたがゆーな。
先:・・・・・に。(笑)
に:・・・・・そして最後の条件三点目ぇ!!

先:二時間という芝居の長さ!!
た:これどうにか短縮すること!!

き:台本56ページ!!
み:シーン34カット5ぉ!!
き:徐々に曲上がり舞台明転!!

み:舞台中央にひろしの母!!
先:ヅラオッケイ?!
た:おっけいいい!!!
き:いちについてよおおい!!(ぶん)

SEカシィィィインッ

き:どおおおおおおおおんんん!!!!!!

曲上がり
北島、三宅ダッシュ場つき。先生、ダッシュハケ。
曲消え、ゆっくりとセリフ。

た:もおひろしぃ。こんな遅くまでどこ行ってたのぉ?
全く親に心配ばっかりかけちゃって、まぁまぁ。

(以下同時進行)

に:うるせぇなあ。どこに行こうと          き:(登場)(時計見ながら出てくる)
俺の勝手じゃねぇか。(?)              み:(登場)(長いですか?)
いちいちうるせんだよ、               き:(長い)(まわして)
ガキじゃあるまいし(?)  み:(まわす?)
逐一報告しなきゃいけねぇ義務が           き:(まわすの)
どこにあるっていうんだよ。え? み:まわす。あ、まわす。(カンペカンペ)
(カンペに気づく)                ←(カンペ:「まわしてください」)
に:(あ、おっけいおっけい)
た:ご飯さめちゃったけど             →み:(あ、まわってない。)
チンして食べるでしょ?               き:(遅いっての。まわしなさいよ)
                          み:(カンペ:「まわしてください」)
に:あ、いや、もうくっちまったからよ。
いらねぇよ。(まわしぎみ)
た:何てことなの?せっかく今日は          き:(イライライライラ)
あなたの大好物のおにしめと             み:(「まわしてください」
おみおつけとー、おこわごはん              「まわしてください」
なのよー?                       「まわしてください」

に:(「まわしてくれ」を拾い、たまちゃんにみせようとしながら)
だからくっちまったもんはくっちまったんだからしかたねーじゃねーかぁ。
た:(早くないです?)なんなの?あんたいつからそんなに・・・
「まわす」?
にた:「まわしてくれ」(こっからイッキにふざけ早回し。ソプラノで)
た:いつからそんなになっちまったんだろぉねぇ。
まるであんたがあんたじゃないみたいだよひろし。
に:うるせーなぁ。じゃあな。
た:まちなさーい
に:あばよーう
た:まちなさーい
に:はなせよーう
た:まちなよーう
に:あっ、ポロ。
た:タ、タバコ
に:な、なんじゃこりゃー
ら:嘘だったんだね、嘘だったんだね。
に:しらねーよぉ、しらねーよぉ。
先:ホワンホワンホワンホワーン。

P21 母の「男だったら」から早回しで再現
三宅さん、アニバーサリー。

き:はいカット。
全:はーはー。
き:だいぶ短くなったみたいね。
た:よかった。はーはー
き:でもひとつ問題があります。
み:なんでしょう。はーはー
き:何がなんだかさっぱり。早すぎて。
に:命令したのはてめぇだろぉ!!(怒)
先:まぁまぁ、新沼さん落ち着いて。
き:こんなにちらかして。
先:こら!!きさまこら!!こらぁ!!
三人:あ~~~(先生を止める)
き:ここまでで、台本60ページ。約30分。
あそこまでまわさなかったとしても35分。
なかなかいいペースです。
み:ありがとうございます!!
き:で。
み:はい?
き:あたしの役は?
まさかアニバーサリー歌えっつんじゃないでしょうね。
み:あ、違います!あれは、いわゆるト書きというやつで。
た:ト書き?
に:かー、お前何もしらねぇなぁ。いいか?ト書きってのは。
先:脚本の中で、登場人物の仕草などが説明してある言葉です。
に:よく覚えとけこのやろう。
み:台本61ページ。北島マヨさん登場。

台本を覗き込む

き:61ページっていうのは、60ページの次?
み:はい、多分。いや絶対。
き:なんで無いのかしら。
み:無い?!
に:ちゃんと番号ふった?
み:はい。
先:じゃあるはずですよねぇ?
た:あ。(紙くず)(61、とだけ書かれたきれはし)
き:ない。61ページがない。62ページも無い。
た:あ。(紙くず)(62、とだけ書かれたきれはし)
に:どしたん?
た:ありますよ。ページ書いてる角っちょ。
に:お前台本やぶったのか!!よく見つけたな!!
み先:え~~~~~~~~~??!!
た:つなぎます?あたしジグソーパズル得意なんで。
き:お願い。
に:するな。日が暮れる。
き:台本て、これしかないの?
み:ないです。急いでたもんでコピーしてません。
に:ないのかよ!!
き:(ため息)ま。やっちゃったことはしょうがない。
に:お前がゆーかそれを。ため息つくなよ。
俺つっこんでばっかりだ。あんたもつっこめ。たまには。
先:ま、つっこみの話はまたおいといて。
に:そーですよね。
先:堂でしょう?この後の流れをザッと説明してもらっては。
た:賛成。(座る)
に:それしかねーか(すわろう)
き:反対。
に:なんでやねん。
き:・・・・・・・・なんでやねん。(にやにやにや)
に:(無視して座ってしまえ)
き:なんでやねん。(にやにやにやにや)
に:さっ、ザッと。説明してください。(そんなんほっといて)
た:なーんでーや
に:やめろぉ!!!お前かっ!!
ろくにつっこんだためしないくせにこのやろう。(ぶつぶつ)
先:ま、つっこみの話はまたおいといて。
み:はい。
に:つっこみのつの字も知らねぇアホどもが、ちくしょう。
き:フンヅマリうるさい。
に:元はといえばてめぇが台本を!!
た:便秘のことですか?
に:あーそーだよ、俺のことだよばかやろう。
き:先生新沼くん私語してます。(新沼立ち上がれ)
み:静かにしてください。
に:(やり場の無い怒り。納得してないけどもーこいつらうるせぇから)はい。
み:じゃ、みんな静かになったのではじめます。
先:起立。
に:え?起立?
先:きをつけぇ
に:なに?なに?
先:礼。
き:新沼くんちゃんと礼してください。
に:え?
み:北島さんありがとう。

北島歩いていく。何か三宅にもらって席につく

に:?
み:あれ?ホワイトボードは?
た:昨日私ホワイトボード係りやりました。
に:ホワイトボード係り?
み:昨日たまちゃん?
先:あいうえお順でいけば、たまちゃんの次は・・・
き:あ、か、さ、た、な、に
た:新沼くんちゃんとホワイトボード出してください。
に:俺?!たまちゃんって苗字?違うよね?
き:新沼くん早くしてください。
み:たまちゃん、北島さん、ありがとう。

北島、たまちゃん、三宅先生から何かもらって席につく

に:お前らさっきから何もらってんの?
先:新沼くん早くホワイトボードを持ってきてください。
に:・・・・・・はい。

新沼、ホワイトボードっぽいものを取りに行く
その間に、何かもらう先生。

み:委員長、ありがとう。
先:(ぺこり)

帰り際に、それを食べる先生。おかしらしい。席につく。

に:これしか見当たらないんですけど
(ホワイトボードに何か落書き。ジェイコブのサイン「Jacob」)

み:いいでしょう。席についてください。
に:?なんか甘い匂いする。
先:新沼くん早く席についてください。
に:あ、お前からする。なんか食った?

先生、何も言わずに、三宅からもらう

に:だから何もらってんのって。ねぇ。知ってる?
た:新沼くん私に話し掛けないで下さい。
に:え?
た:(パッと三宅のところに行く。もらう)
に:ははーん。仕組みがわかってきた。
でも、なにそれ?ねぇ。
三人:新沼くん人に触らないで下さい。
に:いや、さわってないだろ。
み:伏せて!!(三本指)
にえ?(ふせる)
三人:(立つ)
み:ひゅん。(三つのお菓子を投げる)
三人:はし。(着席。たべる。鉛筆持つ)
に:あ、たべた!!え、おかし!?投げたの?すごいな!!
み:それではテキスト61ページから・・・なにこの落書き!!
に:もっと前に気づけよっ
き:じぇいこぶ?
に:へったくそな絵だなー。
先:新沼くんホワイトボードに落書きしないで下さい。(もらいにいく)
に:俺じゃねぇ!!
なんでもかんでも注意しやがって。
た:新沼くん、夜中に一人で自分のサインを練習しないで下さい。(もらいにいく)
に:なんでしってる?!恥ずかしいけど悪いことじゃないだろ!!
き:新沼くんっ、えーと、えーと。
に:考えてから注意しろっ!そんなにお菓子がほしいか。
み:新沼くん。あなたのサインはただの一筆書きとしかいえません。
に:見たの?!
み:(パクッ)
に:あっ、自分にご褒美!なんのおかし?マカロン?
先:黒板に落書きするのやめて下さい。ひろしくん。
み:早く消しなさいひろしくん。
き:え?
み:どうしてすぐ嘘をつくの?ひろしくん?
に:うそ?
み:先生実は見てたのよ?ひろしくんが落書きしてたとこ。
に:俺は落書きなんてしねぇ!
き:ちょっと。
み:この前だって、ほかの生徒が見てるの。
あなたがタバコを自動販売機で買うところ。
に:買ってねぇよ!!
た:ひろし!!
き:え?
先:まぁまぁお母さん。
た:じゃこれは?これはなんだい?!(タバコ)
に:しらねぇよ!!(走り去る)
た:ひろし!!

光、変わっていく。
三宅、たまちゃんにヅラ。先生に白衣。
北島、呆然と見ている。

先:まあ、落ち着いてくださいお母さん。
た:(すわる)
先:くま。
た;え?
先:くま、かば、タイガー、さる。
たき:え?
先:あ、ちょっとしたおまじないです。四つの動物を思い描くと気持ちが落ち着きます。
た:タイガー・・・
先:思い描きました?
た:一応。
先:覚えとくといいですよ。じゃはじめますか。
た:よろしくお願いします。

た→母

先:人間の脳と言うのは、非常に繊細で、案外弱いもんです。
脳は、それを知ってますから、自分を守るためにある重要な機能を持っています。
母:機能?
先:お母さん。今日の朝ごはんの献立を覚えてますか?
母:えっと、ごはんと、大根の味噌汁と、焼き魚と・・あと・・えっと、そば。
先:え?そば?
母:はい。あとそば湯も。
先:そば湯?
母:好きなんです。そば湯。
先:そば湯・・・それは印象的な食卓ですね。
母:ありがとうございます。
先:でも、話が大きくずれそうなので、質問を変えます。
母:はい。
先:怪我をなされたことはありますか?
母:はい。去年骨折しました。
先:痛かったですか?
母:はい。
先:どのくらい?
母:かなり。
先:覚えてます?
母:えっと・・例えば、なんか、すべってころんだ拍子に
骨をボキッと折ったくらい・・・痛かったです。
先:お母さん。
母:はい。それは骨折です。例えばもくそもありません。
私がお聞きしたいのは、骨折した時の痛さを覚えていますかということです。
母:・・・・・はい。
先:え?
母:かなり。
先:お母さん。
母:はい。
先:この際ですから「覚えていない」とおっしゃって下さい。
でないと、話が前にすすみません。
母:あ、はい。もう去年のことなんで覚えてません。
先:はい。覚えていませんね?
母:・・・・・・はい。
先:ちょっとドキドキしましたが、私が言いたいのはこうです。
もしも、その痛さを覚えているなら、きっと思い出すたびに痛いかもしれませんね。
母:かもしれません。
先:脳は、自分を守るために「忘れる」という機能を持っているんです。
母:忘れるという機能、ですか。
先;意識できるレベルでのお話ですが。
母:・・・・というと?
先:無意識のレベルではまた話が違います。
ひろしくんは、自動販売機でタバコを買った。
ひろしくんは、この絵を書いた。
母:・・・・。
先:でもひろしくんはそんなことしてないという。
母:でも。
先:でもお母さんはひろしくんのポケットからタバコが落ちるのを見た。
母:はい。
先:ひろしくんは。
母:こんなもの知らないと言うんです。
けど、あの子の部屋に吸い殻が落ちていたし。
先:学校では教師や友人にうそつきと言われる。
母:だけど先生!!
あの子の目を見てると嘘をついてるようには思えないんです!!
先:・・・・ひろしくんは果たして嘘をついているんでしょうか。
母:・・・・・先生がおっしゃりたいのは、ひろしが
「忘れている」ということですか?
先:・・・・・・そうです。
母:でも先生!!ついさっきのことを忘れるなんて!!
先:この絵はいつ?
母:二時間目が終わって、三時間目の前に。
三時間目に先生がいらして、誰が書いたのかと聞いたら知らないと。
ほんの五分前のことなのに!!
先:お母さん。
母:!!
先:とりあえず、落ち着きましょう。

母:すいません・・・。
先:おまじない。
母:え?
先:さっき言ったおまじない、覚えてます?
母:え?
先:四つの動物。
母:あ、はい。
先:どうぞ。
母:えっと、くま・・・・!!・・タイガー・・
先:・・・どうしました?
母:・・・忘れました・・。
先:ほんの五分前のことなのに?
母:・・・はい。
先;お母さん。私はこれからひろしくんの病状について
更にショッキングなことを言うと思います。
でもその前に、誰にでも起こりうることだということを
理解していただきたかったんです。
母:はい。
先:この絵の下にアルファベットがあります。
母:はい。
先:読んでください。
母:J、A、C、O・・

曲切れ

き:くま。かば。タイガー。さる!!

光戻る

全:えーーーーーーーーーーー!!?(呆然)(北島ガッツポーズ)
き;覚えてましたけど?
み:北島さん、なんてことするんですか。これからいいとこなのにっ
に:台無しだ台無し!!
き:それくらい覚えてんじゃん。バカじゃないの?
どーせあれでしょ?ここでお客さんにも「ハッ、覚えてない」なんて
思わそうとしたんでしょ?そんなもん覚えてたに決まってんじゃん。ねえ?
先:誰に聞いてるんですか?
た:あの人、覚えてなさそう。
に:余計なこと言うな!!
き:こんなもん覚えてないような奴は地獄に落ちなさいよ!!
に:北島あぁぁ!!!!!
先:言いすぎですよ。明らかに。
き:第一ねぇ、こんなひっかけみたいなこと一回やったら、覚えてなかったお客さんは
「ちくしょう。次はぜってぇまけねぇぞ。
あ、このセリフ、あとから出そうだな。あ、いやまてよ?」って
なるじゃない!!(たまちゃん、マイムでお客)
に:あーそれももうだなぁ。
た:「おちおち眠れやしねぇ」
に:眠らないで?!頑張るから!!な!?
四:(こくん)
き:で、この後の流れは?ザッと説明すんじゃなかったの?
いつの間にかお芝居はじめちゃって、あたしだけ、取り残されたじゃないの。

SEシステムダウンの音。ギュウウゥゥゥン。
一瞬、色変わる。
たまちゃん、先生、三宅、気づく。 新沼、北島、ストップモーション。

先:!!
み:(先生を見る)
た:(不安げにその様子を見る)

色戻る

き:ほら早く。説明してください。(すわる)
み:あ、はいはい。

たまちゃん、先生をにらんでいる。本当に大丈夫なんでしょうね。

み:つまりですよ?ひろしくんはジェイコブなんです。
に:なるほどぉ。ちょっとわかってきた!!
俺はつまり、ジェイコブなのね?
み:今言ったじゃないですか。 ねぇ?
先:あ、うん。ねぇ。
た:あ、はい。
き:つまり、どういうこと?
み:つまり、ジェイコブはひろしくんが持つ別の人格。
き:ひろしくんは?
先:解離性同一性障害。
に:え?
先:多重人格というわけですか。


曲、ブライアンセッツァ「Getting‘ in the Mood」
色、13秒ダンス。アメリカンなやつ。
男性ヅラ(金)

ジ:マイネームイズジェイコブッ!!
ちょっとわけありでジャポネィにいるだけど、リアリィボーンインザUSAッ
アメリカはデトロイトの片隅でマリファナくわえて育っただ。
酒に女にバクチに麻薬。俺のハートは真っ黒さ。
俺の願いはただひとつ。愛するジェーンを探すことっ。
プリティジェーンに出会うため、今日も世界をさすらうぜっ。
ドントタッチミーイフユードントウォント。ばーにんぐっ!
おらにさわると火傷するだっ。ワッチアウトイエスアイドゥ。
ディスイズアペンサーンドイーッチ。

ひろしの母、テープを止める。

母:ガチャ
ジ:(ずっこけとく)
母:うるさいよ!!ご近所様に迷惑だろ!!
ジ:カモ-ン。とびきりのステップをふんでただけだのに。
母:いい加減にしな。あんたのせいで母ちゃん疲れ切ってんだから。
ジ:ひろしのせいだだよ。おらのせぇでねぇだ。
母:だから、あんたのせいだろ?日曜日だからって家で
ゴロゴロしてないで、さっさとどっかいきな。

ジ:あれはひろしの母親だ。おらが物心ついた頃からおらの世話やきをしてくれる。
でもおらのかかぁとは違う。なぜって、おらはジャポネィではないから。

母:あんたさぁ、彼女の一人や二人いないの?
ジ:いねーだ。おらには心に決めた人がいるだ。
母:え?なんだい?あんたもやっと色気づいてきたのかい?ひろし?

ジ:ひろしの母親はなぜかおらのことまでひろしと呼ぶ。
このパツキンと透きとおった青い目が目にはいらねぇんだべか?

母:なに物思いにふけっちゃってんの?心に決めた子ってどんな子?
どこの子?同じクラス?

ジ:ひろしの母親は昼間のワイドショーが大好きだ。
キムタクも結婚しちゃったら終わりだねぇ。なんて余計なお世話だ。
実はヅラのくせに。

母:告白した?
ジ:したくてもできないだ。
母:男だったらほれっ、バシッと!ガバッと!!ぐぉう!!ね。
ジ:ね。じゃね-だ。
母:名前は?
ジ:ほっといてくれだよ。
母:教えてよ。
ジ:いいだよ。
母:教えてよぉ。
ジ:いいだよぉ。
母:教えてちょ~だいよぉ。

ジ:ひろしの母親は今年45歳だ。

母:いいじゃんケチ~~。
ジ:誰にも言わないだだか?
母:言わないだだよ。
ジ:約束だだよ?
母:約束だだだ。
ジ:ジェ・・・ジェーン(ハート)
母:ジェ?
ジ:ジェーン。
母:・・・・・あ、じゅんちゃんかい~~~(ハート)
ジ:言ってねーだ。
母:若いっていいねー。じゅんちゃんじゅんちゃん。(離れていく)

ジ:ひろしの母親はいいジャポネィだが、たまに他人の
プライバシーに土足であがりこむマネをする。(タバコを取り出し)
タバコを吸うなとか、口うるさくゆーだ。でもだめ。全然ダメ。
やっぱりタバコはやめられないだだ。ブンタンバンザイ。JTさーまさーま。(吸う)

母:!!
ジ:ふー。
母:ひろし!!
ジ:また小言が始まった。
母:あんたそれ!!
ジ:勘弁してくれよ。
母:未成年だろ?!
ジ:確かにジェイコブは17歳。けど好きなものはやめられない。
母:ジェイコブ・・・?

ジ:これはいけない。最後のひとすい。
母:あんた・・やっぱり・・。
ジ:・・・・・・・。
母:やっぱ先生の言ったとおり・・・。
ひ?!ゲホ!!ゲホゴホッ!!
母:ひろし!!
ひ:ゲホ、ゲホ!!
母:ひろし!!あんたひろし?!
ひ:なに当たり前のこと言ってんだよ!!ゲホ!!
母:タバコなんて吸って!!
ひ:だから俺はタバコなんて・・・

自分の右手に視線を落とすひろし

ひ:・・・・・・・・・???!!!!
なんだこりゃ・・・・?なんだこりゃ・・・・?
知らねぇぞ・・・俺知らねぇぞ?!!!
(ポケットに手をやる)(ポケットから出てくるタバコ)
信じてくれ!!!覚えてねんだ!!最後に覚えてんのは・・そーだ!!
CD聞いてた!!CD!!えっと!!ほら、ウルフルズ!!
そーだ、ウルフルズ聞いて・・・(ガチャ)

曲、ブライアンセッツァ-再び

ひ:なんだこのCD・・・俺こんなん知らねぇぞっ・・
知らねぇぞおおおお!!!!!!

体が勝手にダンス

ひ:体が勝手にぃ!!なんだこりゃーー!!なんだこりゃーー!!
誰だお前らぁ!!!なんだこのヅラぁ!!!

曲切れる

ひ:あれ?
き:三宅さん。
み:はい。何か?
き:あなたこの台本で何を見せたいわけ?
み:え?
き:何がなんだかさっぱり。コレであなた書き直したの?
書き直したって言える?
み:書き直しました!!あの、だいぶシーンもけずりました!!
北島さんの役だって・・・
き:どこ?
み:それはあなたがやぶいたからっ
き:多重人格がどーだってゆーの?全然面白くない。
み:全部見てもらってないじゃないですか。
き:見なくてもわかる。
に:おいおいおい ちょっと待ってよ。
き:何?
に:なんでそんなにイラついちゃってんの?
そんなキツく言わなくてもさ。なぁ。
た:うん。
に:もちょっとやわらかくさ、なぁ。
た:うん。
に:どこがどんな風に悪いとか、いいとか。

北島、台本をまっぷたつにやぶく

み:あ。
に:そやって物にあたるんじゃないよお前もぉ。
もう公演まで日にちないんだからさぁ。いいよ、もうこれでいこうよ。
やってみなきゃわからんでしょうがっ
き:やんなくたってわかります。
に:きたじまぁ。お前だって演出だけじゃなくて
役者もやるんだからさぁ、早く稽古しないと・・・・あ!
た:え?
に:お前あれだろ?実は自分の役もう目ぇ通したんだろ?!な?
き:そんなんじゃないよ(ヅラをもぎとる)
に:あ、図星だな!これな!気に入らないことがあるとすぐヅラにあたる!!
き:違うっての!!
(ヅラを投げつけようとして、やめる)
・・・・・・違うっての。

SEギュウウゥゥゥン
色変わり、すぐにもどる。

三人:!!!
き:・・・・・・。
み:あの!!役気に入らなかったら書き直します。
台本気に入らなかったら書き直します。
募集要項も、読み直します。
き:・・・・・・・。(スタスタスタ)
先:募集要項って、一体何が書かれてるんですか?
き:(ピタ)
先:あなたの望むお話って、どんなお話なんですか?
き:・・・・・・(ハケる)
た:(先生を一瞬見る)(にらむように)
先:私は、最善を尽くしますと、いったはずです。

たまちゃん、北島を追う。

に:どしたのみんな、ピリピリしちゃって。ごめんね。大丈夫?

新沼、ゴミひろいをはじめる

に:あーもったいねぇなぁ。しょーがねぇなぁ北島は。
あ、コレ。メモ帳にする?いるでしょ?メモ帳。
み:・・・・新沼つよしさん。
に:何?突然フルネームで。
うわ、こんだけありゃメモしまくりだな。
み:あなたは、
先:三宅さん。
み:・・・・・・。

曲、Your Song

に:どしたの?深刻な顔して。ありゃりゃ真っ二つ。
ごめんね。きっと北島もやりすぎたと思ってっから。
み:いんですそんなの。
に:そんなのってことないよ。たいしたもんだよ。
きっと北島もたいしたもんだと思ってるよ。
み:ありがとう。・・・・・手伝います。

二人、ゴミ拾い

み:北島さんとは、いつから。
に:あ、俺?えっとねぇ、いつだっけな。
み:長いんですか?
に:物心ついた頃からかな。
み:何歳から?
に:うーん、忘れたなー。
み:劇団って、いつから?
に:いつだっけ。あんねー、北島が言い出してからかな。
み:何年くらい?
に:何年になるかなー。うーん・・・忘れたなぁ。
み:・・・・・だいぶ、きれいになりましたね。
に:おし、これでメモできるな。
み:・・・・・。
に:記憶力、悪くてさ。
み:え?
に:俺。
み:・・・・。
に:どんどん忘れてくよね。メモっても、メモっても。
み:どうして?
に:メモったことも忘れるから。
み:そう・・・。
に:あんたの台本のほら、「はがゆい」のやつ。
なんかメモったことあったなぁって思うんだよ。心残りっつーの?
それだけは、覚えてたりすんだよ。けど、次に思い出したときにはさぁ、
新しく思いついたみたく思うんだよ。わかる?わかんねーか。
み:あなたは、
先:三宅くん。
み:あなたは、何のためにここにいるの?
に:・・・・忘れた。
み:・・・・・。
に:でもすぐ思いつくんだよね。弱いから。あいつ。
み:弱い・・・。
に:弱いから、俺が守っとこうと思うんだよね。
すぐ忘れるけど、すぐ思いつくから。いつも。
先:(立ち去ろうとする)
に:ねぇ。
先:え?
に:この曲だれの、なんて曲?
先:・・・エルトンジョンの。
に:うん。(メモる)
先:Your Song
に:うん(メモる) それだけ?
み:『ぼくのうたは君のうた』
に:え?
み:日本語の題名。
に:ぼくのうたは・・・君のうた。
み:うん。
に:いい歌だな。

曲、上がっていく。暗転。


暗の中、突然曲切れ
SEギュイイイイイン  SEピピッ  ピッ  ピッ  ピッ

先:(マイク)脳は正常。バイタル100。システム問題なし。
これより、被験者とリンクする。
・私の声が聞こえますか?ひろしくん。

光、ひろしを照らす

ひ:・・・・はい。
先:これかrあなたと、ある装置をつなぎます。いいですね。
ひ:・・・はい。

SEピ、ピピピピピピピ・・

み:脈拍上昇。
先:緊張しないで。深呼吸して。すってぇ、はいてぇ、
ひ:すーはー
先:落ち着いてください。これから、あなたの後頭部をメスでひらいて

SEピピピピ

先:脳髄をいったん取り出して

SEピピピピピピ

先:特殊なカプセルの中にうつしかえて

SEピピピピピピピピピピ

み:脈拍急上昇。
先:しかも麻酔はしないで

SEピピピピピピピピピピピピピピピピ

み:これ以上は危険です!!
先:なぁんてkとおはしませんから落ち着いてください。
ひ:ならゆーなよ!!

SEピピピピピピピ

み:更に急上昇!!先生!!
先:これは怒りだ!!危険だ!!
み:怒りを静めてください!!
先:落ちついてください!!
み:怒らないで下さい!!
先:許してください!!
み:ゆるしてください!!

ひろし、怒りの形相からじょじょに普通に
SEピピピピピ・・ピピ・・ピ・・ピ・・ピ・・・

ひ:ゆるす。
み:正常値です。
先:よし、第一段階突破。
ひ:え?
先:今のはテストです。
ひ:先に言えよ。
先:先にテストだと教えると正確な数値が出ません。
ひ:じゃさっさとお願いしますよ。
先:これから質問をします。
全ての質問に「はい」と答えて下さい。
ひ:まだあんのかよ。
先:いいですね。
ひ:「はい。」
先:それでは第一問。
み:てってって。
ひ:え?
先:リンゴがひとつ、みかんが三個。足したら何個?
ひ:え?
み:カッチカッチカッチカッチ
ひ:え?え?4、4個。
み:ブブー。
先:全ての質問にはいと答えて下さい。
ひ:無茶ゆーな!!イエスノークエスチョンにしろよ!!
先:第二問。
み:てってって!
ひ:だからなんだ(そのてってって、って)
先:アーユージャッパニーズ?
ひ:イエス。
み:ブブー。
先:全ての質問にはいと答えて下さい。
ひ:ひっかけか!!ばかやろうふざけんな!!

SEピピピピピピ

み:危険です!!許してください!!
先:許してください!!
み:許してください!!
先:許してください。

SEピピピピピピピ・・・ピ・・・・ピ・・ピ・・・・

先:第三問。
み:てってって
ひ:まともな質問してくれよ。
先:まぁまぁ落ち着いて。私を信用してください。いいですね?
ひ:・・はい。
み:ピンポーン
ひ:え?
先:第四問。
み:てってって
ひ:今のも質問に入ってんのか?
先:第四問。
み:てってって
先:藤原紀香が好きですか?
ひ:え?
み:カッチカッチカッチカッチ
ひ:・・・・・はい。

SEピピピピピピピピピ

先:質問は以上です。
ひ:ちょっと待ってよ。最後の質問なに?
先:ほんとは好きじゃありませんね。
ひ:あ、あたり。なんでわかったの?
先:微妙な心音の変化でわかります。
ひ:すげぇ。
先:例えば。心音に注意してください。
ひ:はい。
先:藤原紀香の裸。

SEピピピピピピピピピピピ

ひ:あ。
み:脱げば誰でもいいんですね。
ひ:おい!!音止めてくれ!!
先:このすけべ。
ひ:やめろぉ!!
先:たとえば・・・・
ひ:これ以上俺をはずかしめるな!!
先:タモリ。

SEピピッ ピピッ ピピッ ピピッ

み:心音微妙、心音微妙。
先:タモリの裸。

SEピピピピッ  ピピピピッ

ひ:どういうことだこれ!!
先:藤原紀香とタモリの裸。

SEピピピッ ピッピッピッ  ピピ ピピピピピ・・・

み:心音微妙、心音微妙。
ひ:裸はタモリだけ?ねぇ!!
先:(笑点の真ん中の緑の人、ムンクみたいな人)

SEピーーーーーーーーー。

ひ:おい 死んじゃったよ俺!!
先:いったん切って、そこに行きます。
ひ:なんだったんだ今のは・・・・。

先:お遊びはこのくらいにして。
ひ:お遊びだったんか!!(立つ) あれ?あれ?
先:どうしました。
ひ:機械は?俺色んなモンくっつけられてなかったっけ?
あれ?ココどこだ?は!!また?!またあのジェイコブとかいう野郎が
俺の体をのっとりやがったのか?!
先:まぁまぁひろしくん落ち着いて。
ココは、ひろしくん。君の作った世界。
ひ:え?
先:つまり君の頭の中の世界です。
ひ:うそぉ!!
先:信じられないかもしれないが我々は、人間の脳に入り込む
装置を発明したのです。
ひ:うそぉ!!!
それじゃ・・・先生は、俺の頭ん中に?
先:(こくん)
ひ:痛くねぇか?どやって入ったん?小さくなったん?
先:違う。そんなちっちゃくなって鼻の中からとか、そんなのとは違う。
ひ:うわぁ!!早くしないと口がしまるぞ!!いそげぇ!!
先:大丈夫!!まだ時間はあります。食道を登ればすぐだ!!
ひ:あと少し!!あと少しで口内だ!!
先:よし、たどり着いた。うわぁ、(三宅、はね飛ばす)
み:ふははははは、ここから先はとーさないぞぉ!!
ひ:誰だぁ!!
先:お、お前は、口の奥に潜むという・・
み:ふははははは、私は口内を守る妖怪ビブラートだ!!
ひ:ビブラート?
先:通称のどちんこ!!
み:その呼び方はやめろお!!必殺!!ブルブルボンバー!!!
ひ先:うわーーーーー!!
母:そこまでだーーーー!!
ひ先:この声は!!

ひ:母ちゃん!!
母:ひろし!!あんたのことが心配でちっちゃくなって来てみたんだよ!!
ここはあたしにまかせて!!早く!!
ひ:でも!!
先:行くんだひろしくん!!
ひ:先生!!
先:ばかぁ!!!(なぐる)
ひ:いたぁい!!
先:お母さんの気持ちがわからないのかい!!
ひ:でもぉ!!
母:ばかぁ!!(なぐる)
ひ:いたぁい!!!本気だね母ちゃん!!
母:ああ本気さ!!本気の本気さぁ!!いきな!!ひろし!!
ひ:うん!!わかったよ母ちゃん!!
み:させるかぁ!!必殺!!プルプルアターック!!
ひ:母ちゃ~~~~~~~ん!!!(泣きながら逃げる)

曲上がり、スローモーション

母:(ぱし)
み:はっ!!
母「のどちんこってなんかの役に立っての?」
み:・・・・・どごーーん!!

ひ:爆発した!!やった!やったよ!!勝ったんだね!!
母:ごらん、夕日が沈んでゆく。のどちんこはとけてゆく。
み:ぶくぶくぶくー
ひ:明日と言う字は明るい日と書くんだね。
母:夕日に向かって万歳三唱だ。
ひ:ばんざーい
母:ばんざーい
母ひ:ばんざーい
先:違う!!曲止めろ!!だめだこんなの!!

曲切れ

母ひ:あ。
先:肉体は私の研究所で仲良く並んで眠っています。
つまり、我々は、意識の上で、君の世界を共有しているんです。
集団催眠とでも言いましょうか。
母:ひろし。ジェイコブってやつを探すの。
ひ;あ、母ちゃん。いつの間に俺の隣へ。
母:さっきからいたけど、ひろし。
先生の話だと、ジェイコブを消さない限り、
あんたは治らないんだって。わかる?ひろし?
先:これを。(銃)
ひ:これは?銃?!
先:ジェイコブは君が作り上げた幻想だ。
だから、あいつは消えなくちゃいけないんだ。わかるね?お母さん。(銃)
ひ:でも、俺、こんなの、こんなの使ったことねぇよ。
先:だからスペシャルゲストを呼んであるんだ。
ひ:ゲスト?
先:お願いします!!(そでに)

シーン

先:あれ?
ひ:どしたの?
先:おかしいな。
母:いないんですか?
先:向こうにいてくれと頼んだのに。
ひ:だれ?
先:お願いします!スナイパー北島マヨさん!!


曲と共にむくむくと立ち上がる、三宅。
銃を取り出し、キメる。
曲きっかけ、セリフ、光

み:私の名前は無数にある。
国家機関、犯罪組織に追われる身である。私は、あらゆる偽名をもつ。
今日の私はスナイパーキタジママヨ。
地獄の沙汰も金次第。金額しだいでどんな殺しもやってのけちゃう!!
決め言葉は!!現金はキャッシュだぜ!!は!!

曲上がる。
曲にあわせ、様々なポージングを取るSKM。
北島登場。曲下がっていく。徐々に消え

き:・・・・・・・・。
み:は!!は!!は!!
き:これをあたしにやれっての?
み:はっ・・・・・
き:でも登場が突然過ぎない?
み:・・・・あの、じゃ、頭の方変えますから、うまい具合に・・
き:必要なキャラクターなの?
み:・・・はい、一応。
き:あたしが無理やり出せって言ったみたく見えない?
た:見える。
み:見えなくします!!
き:台本。
み:え?
き:また徹夜したの?
み:いや、さすがに四日連続はキツイんで・・・二時間くらい・・・
き:かして。
み:え?
き:台本。
み:・・・・・はい。

台本渡す

き:・・・・・最後どうなるの?
み:え?
き:最後。
み:え、あ、まだ書いてないんですが、あの、
北島さんがジェイコブと決闘します。
き:だから・・・どうなるのって。
み:・・・・・え?
き:ジェイコブ。
み:・・・あ。
き:・・・・・どうなるのって。
み:それは・・その・・
先:消すしかないでしょう。
み:・・・
先:ひろしくんが多重人格でなくなって、ひろしの母と幸せに
すごすためには、ジェイコブを消すしかないでしょう。
み:・・・わかってるんですが・・・。
先:ジェイコブは不必要な存在です。ひろしくんのためには。
に:・・たまちゃん、どー思う?
た:え?
え、えっと・・あたしは・・えっと、多分・・
に:俺はどっちでもいいけど。
き:・・・・・・。
に:俺はどっちにしたってがんばるよ。
き:・・・・・死ぬの?

徐々に曲、Your Song

に:俺が決めるこっちゃねぇからな。こーなったらほら、
お前が決めるべきじゃねーの?
き:・・・あたし?
に:だってほら、お前団長じゃん?あれ?俺変なこと言ってる?
お前が言い出しっぺなんだから。お前が作った劇団なんだから。
お前が一番えらいんだから。
台本だって役だってなんだって、お前の好きなようにすればいいよ。
き:・・・・・・・
に:どしたのみんな?
北島が決めればいいよね?それでいいだろ?
た:それでいい。・・・・まゆちゃんが決めていい。
きに:え?
た:決めていい。
き:・・・まゆちゃん

北島、たまちゃんと少し見つめあう

に:まゆちゃん?なんかなまらかわいい女みたい。
き:あんたねぇ!!口のきき方に気をつけなさいよ!?
に:まゆちゃん?
き:なに!!なんか文句あるの?
に:だってよぉ、まゆちゃんっつたらもっとこう、「まゆちゃん」って感じじゃないの?
き:どんな感じそれ!!わかんないよ!!
に:もっとこう清楚でさぁ、可憐でさぁ、しおらしくてさぁ
き:あたしかれんじゃない!!
に:自分でゆーなよお前はっ
き:あたしせーそじゃない!!
に:お前清楚って漢字で書けるか?
き:あたししおらしいじゃない!!
に:お前のどこがしおらしいってのよ。
き:!!
に:ほら、・・・・そろそろ決めなきゃ。
み:・・・新沼さん
に:いいだろ?こいつが決めて、最後。
み:・・・・はい。

北島、台本をめくる。それをじっと見る4人。

先:・・・・北島さん。
み:北島さん。
た:・・・・・・まゆちゃん。
き:・・・これじゃだめ。
に:え?
き:これじゃだめ。
に:きたじまぁ
き:こんなハナシはだめ!!

破こうとする。新沼とめる

に:きたじまぁ!!!!!
き:決めたくないよそんなん!!!
に:もともといねんだから!!!
き:でも!!
に:いねぇならいねぇにこしたことねぇんだから!!!
き:それでも!!
に:だいじょうぶだって!!
自信もてって!!
お前ならできるって!!
ちゃんとやれるって!!
なんでも一人でやってけるって!!
だいじょうぶだって!!!
き:・・・・・だいじょぶじゃない・・・
に:きたじま
き:大丈夫じゃないよ!!!
に:なら俺が決めてやる。
き:・・え?
に:なら俺が決めてやる。

台本うばう

き:やめて、
に:台本110ページ。
き:やめて!!
に:台本110ページ、シーン62カット1、
徐々に曲上がり舞台暗転!!!
き:やめて!!
に:スポットライトの中次々と浮かび上がる登場人物
精神病院院長!!
き:やめてよ!!(先生をつきとばす)
に:精神病院、担当医師
三宅由美!!
き:やめなさいよ!!(三宅をひっぱる)
に:患者の母!!北島たまえ!!!
き:やめて!!!
に:精神病患者!!北島まゆ!!!
き:!!!!

光、北島を強く照らす。次第に全体へ。

み:・・・・あんたは、いつから気づいてたの?
に:・・忘れたなぁ、俺記憶力悪くてさ。
み:あなたは・・
に:どんどん忘れてくよね
み:彼女を
に:メモっても、メモっても
み:守るために生まれて・・
に:だから
み:守るために生まれたのに。
に:思いついたときやらなくちゃ
み:ひどすぎませんか。
先:だから!!
に:忘れちゃう前に。
先:彼女には忘れる力が欠けてるんだから!!
消えてもらうしかないんだから!!
いないんならいないにこしたことないんだから!!!
み:でも!!
に:ねぇ、
先:・・え?
に:この曲だれの、なんて曲?
先:・・・エルトンジョンの・・
に:うん
先:Your Song
に:うん。それだけ?
き:・・・なんで覚えてないの?
先み母:え・・
き:先生が診察してくれるとき、いつも、かかってたじゃない。
母:!!!・・・まゆ・・
に:そっかぁ。忘れた。
先:お母さん!!
き:日本語の題名。
先:北島さんが正気を取り戻した。
に:うん。
母:まゆ!!
き:ぼくのうたは、君のうた。
み:・・・・。
に:ぼくのうたは、君のうた。

母、ゆっくりとあゆみより、銃をかまえる

に:北島、おれさぁ

曲切れる

母:新沼さん、今までまゆをありがとう。
でも、あの子をこんなに苦しめたあなたがやっぱりゆるせない。
こんなこと、早く終わってほしいから。
きみ:待ってええええ!!!!!!

SEギュウウゥゥゥンンン
暗転

先:システムダウン!!早く復旧しろ!!
み:再起動!!全員いますか!?
先:リンク確認!!あと少しだったのに!!

SEキュイイイイン

母:・・・・・まゆは?


まゆ、新沼、消えている。
台本、銃おちてる。

み:・・・新沼さん・・?院長!!
先:北島さんに過剰なストレスを与えすぎました。
母:まゆは・・まゆは!!?
先:ストレスに耐え切れず、システムダウン。
被験者とのリンクが切れたその瞬間に、「逃げた」
母:逃げた・・
先:おそらく、別の場所に。
み:別の場所・・・(台本ひろう)・・・まさかっ
先:おそらく。
母:あたし・・・あたし、
み:だから・・・だから言ったんですよ。
だって、北島さん、まだ彼を必要としてたじゃないですか!!
母:あたし
先:お母さん。
母:・・・

銃を拾う先生

先:お母さんは間違ってません。
母:でも!!
先:次に見かけたときは、躊躇せずに撃ってください。
母:でも、まゆは、新沼さんを・・・
先:違います。
母み:え?
先:次に会うとき、彼はもう別人です。
母:・・・・え
先:行きましょう。早くしないと、我々の手の届かないところまで
彼女は入り込む。
母:(銃をにぎりしめる)・・・はい。

二人走り出す。

み:統合できませんか・・
先:・・・・・・。
み:だって北島さん、彼が必要だって言ってたじゃないですか!!
統合できませんか!!一緒にするんです!!
もともとひとつの所にいるんですから!!
二人を一緒にさせられませんか?!
先:どっちみち彼は消えなきゃいけない。
み:でも。
先:統合するにせよ、しないにせよ、
どのみち彼が消える事に変わりは無いんです。
彼女は、彼を忘れなきゃいけない。

母、走り出す

み:待ってください!!
先:これ以上混乱させるわけにはいかないんです。
み:彼女を守るためだけに生まれてっ
何も望まないでっ
彼女を守るために死ななくちゃいけなくてっ
忘れられるだけの存在なんて!!
先:彼は、そういう存在なんで
み:ひどすぎませんか!!
先:ひどすぎると思うけど!!!
み:!!
先:彼だってそう思ってんだから!!!
み:・・・・・・・。

先生、母の後を追う

一人、考える三宅

み:・・・・・・・・・・・・・・・

台本を見つめる

み:・・・・・・・・・・・・!!!!

台本をガバッとひらく


台本ひらくと同時に
光変わり、音上がる

光と音の中、ひろし、まわりをうかがいながら
ゆっくりと入ってくる。
曲下がる。

ひ:えらいkとおになっちまったなぁ、ジェイコブってのは
どんな野郎だ?銃なんてつかえんのかよ俺。
・・・これ、本物か?(のぞきこむ)

SEバキュー―――――ン!!!!

ひ:!!!!!

一瞬凍りつくひろし

ジ:(顔は見せない)
あぶないあぶない。これだからジャポネィはどんくさいだよ。
銃の扱いもわからなくて、この世の中はわたれないだよ。

母:動かないで!!
ジ:?
母:新沼さん・・・・ひろし?・・・それとも・・
ジ:おやおや忙しいだだよ。
母:質問に答えて!!早く!!
ジ:命令しちゃだめだだよ。
母:答えなさい!!
ジ:おらに命令しちゃだめだだよ。

先生

先:お母さん!!
母:先生!!
先:奴だ!!
母:ジェイコブ!!!
先:撃って!!!

SEズギュンズキューーーーーーン!!!!

一瞬早くとびのけるジェイコブ
舞台奥三宅、銃声を聞く

ジ:おらに命令できるのは、いとしのジェーンただ一人。

SEズキュンズキュンズキューーーーン!!!!!

セリフに間髪入れずに奇妙になれた感じで
銃を撃ちこむジェイコブ。
母、先生、たちうちできず逃げる。
楽しそうに追うジェイコブ。
SEの中、台本をおき立ち上がる三宅。

光、銃声と共に変わっていく。


み:・・・・・・・・・・・・・
・・・ジェーン。


三宅、何かを思い立ち、走っていこうとする。

と、向こうから歩いてくる北島を見つける。
北島、舞台前つらをボーっとした様子で歩く。

曲、消えていく。

み:・・・・・北島さん。
き:・・・・・・・
み:北島さん?
き:・・・・・・・
み:北島さん!!
き:どうして名前を知ってるの?
み:え
き:その名前を知ってるの?
み:だって、だってあたしは北島さんの・・・
き:男だって聞いてるんだけど。
み:え。
き:これから殺さなきゃいけない人。
み:!!!!
き:名前は?あなたの
み:三宅です。
き:三宅さん。どけてくれる?
彼を、殺さなきゃいけないから。

SEドキューーーーーーーン!!!!

み:!!
き;あっちか。
み:どうして!!!(殺せるんだ)
き:あたし、あなたも殺せるよ?
み:え?
き:あたし、あなたも殺せるよ?
あたし、人殺しが仕事だから。
だから、なんとも思わないから。
み:北島さん
き:あたし、感情をもたない人間だから。
言われたとおり、殺しをするの。
ロボットのように。だから。
み:忘れた?
き:あたし、記憶が無いから。
明日には全部、忘れる事になってるから。
特殊な訓練したから。
いちいち覚えたりしないように。
だから、あたし、誰でも殺せるから。
み:新沼さんのことも、忘れた?
き:そんな男は知らないから。
あたしが殺さなきゃいけない男は、ジェイコブだから。
み:男だなんていってないよ。
き:!!・・・・・・・。新沼なんて知らないから。
み:ウソだ。
き:・・・・・・
み:ウソだ!!!
き:本当に殺すよ?あなたのことも。
み:忘れたなんてウソだ!!
全部忘れたなんてウソだ!!!
甘ったれんのもいい加減にしなさいよ!!
自分に都合よく!!自分がつらくなんないために!!
知らない人なら悲しくないから、
ロボットだったら苦しくないから
き:関係の無い話は、ききたくない。
み:聞きたくなくても聞きなさいよ!!
ちゃんと目ん玉ひらいて見てみなさいよ!!
あなたを守るためだけに生まれた、
あなたに何も望まない、
あなたが生み出したっ
あなたがこれから消そうとしてるっ
あなたがこれから忘れようとしてる

上のセリフの間に
ジェイコブ、ゆっくりと登場。
ジェイコブにあわせ、曲、Your Song

き:何を言ってるんだかさっぱり(逃げようとする)
み:見てろよ!!!!

北島をジェイコブのほうへ向かせる

き:!!!!
み:聞こえてんでしょ?見えてんでしょ?わかってんでしょ北島さん!!!

ここから先は

2,111字

¥ 100

この記事が参加している募集

たくさん台本を書いてきましたが、そろそろ色々と人生のあれこれに、それこれされていくのを感じています。サポートいただけると作家としての延命措置となる可能性もございます。 ご奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。