リミテッド大予想「イニストラード:真夜中の狩り」#1 除去・バットリ編

概要

この記事は、遂にフルスポイラーが公開された「イニストラード:真夜中の狩り」(以下MID)の全カードを眺め、リミテッド環境を予想してみようという、新パック発売前のこのタイミングでしかできない楽しい楽しい遊びをした結果うまれたものです。

この記事#1では、除去とコンバット・トリックの分析を行い、次以降の記事でキーワード能力やアーキタイプを考察する予定です。

更新履歴

9/11 打ち消し呪文の検討を追加。火力に対するタフネスの検討を追加。
9/12 #2へのリンクを貼り付け。
9/23 環境に参戦してみて、これらの予想記事に対する振り返り記事を作成。→こちら

前提

・ドラフトルールに関しては、特記がない限り、MTG ARENAにおける「プレミア・ドラフト」を想定しています。(筆者がそこで一番遊ぶため)

・この記事は、パック配信・発売が開始する前に書かれた記事であり、実際の環境についてなんら保証するものではありません。ふんだんに妄想が含まれる可能性もあります。

・リミテッド環境に対する考察であるため、レア・神話レアのカードは出現率が低いものとみなし、考察の対象はコモン・アンコモンのカードが中心になります。ですが、レア・神話レアに対する考察も含みます。

・本ページに記載されている画像はすべて、マジック・ザ・ギャザリング公式サイト(https://magic.wizards.com/)を出典としています。特に、以下のページからの引用を含みます。

それでは考察はじめます。

除去

リミテッドといえば、除去とコンバット・トリック。というわけで、まずは除去を見ていきましょう。

本記事で「除去」として扱うのは、概ね、1枚のカードで以下の処理が可能であるような効果を持つカード全てです(※1)。

・対戦相手のクリーチャーを破壊する。
・対戦相手のクリーチャーにダメージを与える。
・対戦相手のクリーチャーのタフネスをマイナス修正する。
・対戦相手に、クリーチャーを生贄に捧げさせる。
・対戦相手のクリーチャーを追放する。ただし、明滅(同一の処理の中で追放したあと戦場に戻すもの)を除く。
・対戦相手のクリーチャーのアンタップを永続的に制限する。
・対戦相手のクリーチャーを戦場以外の領域に戻す。

各色の、コモン・アンコモンの除去を並べるとこんな感じです。

画像2

画像3

画像13

画像7

画像5

画像6

ざっと見ると、枚数はだいたい同じですが、赤と黒が少し多いですね。

赤の内訳を見ると、火力の点数ごとに、1点が1枚、2点が2枚(マイナス修整含む)、3点が2枚、5点が1枚です。インスタント火力の枚数が多く、特にタフネスの低いクリーチャーには対処しやすいでしょう。また、5点火力は5マナと重いもののコモンであり、フォーゴトン・レルム探訪(以下AFR)の「ファリダの火の玉」のように、広い除去として活用できるでしょう。(ただし、火の玉と異なりプレインズウォーカー(以下PW)にはダメージを与えられないことに注意。)この環境はタフネス低めな印象で、概ね、火力は点数と同じマナ域か1つ上のクリーチャーを焼けると思って良いと思います。(戦局上重要な、いわゆる「見たら焼け」クリーチャーのPTに関しては、まだそうしたクリーチャーを絞り込んでいないので、その検討の際に再確認する予定です。)

一方の黒は、優秀な除去が多いです。コモンに追放版「灯の収穫」である「踊り食い」、逆「垂直落下」である「窓からの放り投げ」の2枚があり、アンコモンにも2マナインスタントの確定除去「冥府の掌握」があるため、盤面への干渉は容易と言えるでしょう。特に「踊り食い」は、キーワード能力<腐乱>によってゾンビトークンを用意しやすいため、生贄というコストも気になりません。一方、一応ここに追加した変則的な布告除去「復習に燃えた絞殺者」は、横ならびしやすいリミテ環境では使いにくく、特にトークンの存在によって干渉力が弱くなると思われます。

それ以外の色を見ると、青は軽量のバウンスおよび封鎖(アンタップ制限)エンチャントと、除去はそれほど得意ではないにしては十分。白は、コモンには条件付きの除去しかないので、アンコモンの「仮初めの時間」(「払拭の光」の同型再版)を引けるかが重要になるでしょう。普段の白除去にある、攻撃対応型の優秀な除去が無いのも痛いですね。

緑は、(条件の厳しい「垂直落下」を除けば)格闘または一方的格闘ではありますが、共に軽量なのが扱いやすく素晴らしいですね。また、友人曰く、「『弱者狩り』を基準にすると、それを条件付きとはいえインスタント2マナにした『支配を懸けた決闘』はものすごく強い」とのことでした。なるほど。しかし、環境のインスタント単体除去(やバットリ)が豊富だと、自分のクリーチャーを前提とする格闘系は、スタックで格闘元を除去されて不発に終わることが少なからずあります。よって、緑の除去は「強いが環境が逆風」と言えるでしょう。

無色の除去アーティファクト枠には、4マナ3点火力の「銀弾」。狼男が確定除去であるのは嬉しいです。「忘却の儀式」「聖なる火」はどちらもフラッシュバック付きの除去であり、特に前者は土地以外確定除去。1色タッチしてでも是非採用したい1枚です。(ただし、トークンを生むようなカードを採用できていない場合は扱いに注意が必要ですね。)

また、レア以上の単体除去もそれなりにあります。

画像7

というか赤多くね?あと白の「運命的不在」は「流刑への道」を彷彿とさせる性能で、一人で勝手に「令和のPath」って呼んでます。

全体的に、MIDのドラフト環境は「除去が充実している」と見ていいでしょう。1体のフィニッシャーに頼るような構成は、突破されると考えておいたほうがいいかも。では大量のクリーチャーを横並べする戦術を取ればいいかと言うと、それもまた注意しなくてはなりません。なぜなら…

画像8

全体除去が3枚もあるからです。

しかも黒のこの神話、名探偵コナンのサブタイみたいな名前してますが、除去対象が調整可能な全体除去というだけでもつよいのに、2マナで先出ししても仕事するという、劇場版レベルの事件です。いやあイニストラードは怖いですね。盤面の展開と保持には気をつけましょう。

コンバット・トリック

次はリミテッドのもう一つの柱、コンバット・トリック(以下バットリ)を見ていきましょう。バットリといえば「インスタント・タイミングで戦闘に介入する」くらいの感覚ですが、本記事では厳密に述べれば、インスタント・タイミングで非公開領域から使用できる、以下の処理が可能なカードを対象にしています。

・相手のクリーチャーのパワーをマイナス修整
・自分のクリーチャーのパワー、タフネスをプラス修整
・自分のクリーチャーへ接死を付与
・クリーチャーのプレイ(つまるところ瞬速持ちのクリーチャー)

画像9

(追記:瞬速持ちを何体か見逃していたので追加しました。)

どの色にも軽め中心で存在しますが、瞬速クリーチャーなのか純粋なPT修整バットリかは違いがありますね。

バットリ呪文としては、AFRには「結集の策略」のような1枚で大きな働きをするカードや、「物音」「二匹のゴブリン」のような行動選択系でバットリ以外にも使える器用なカードがありましたが、今回は軽めで扱いやすいがその分効果は小さめに定まっているバットリが中心です(行動選択のカードはAFR特有のTRPGフレイバーだったのでむしろAFRが特殊なのですが)。その中で、緑の4マナ+1/+1カウンターばらまきと、赤のX点バットリは、大きな効果が狙えるものです。特に赤のX点は使い勝手が良さそう。

一方、青に瞬速持ちが2体もいることは、自然に打ち消しを構えやすくもあり、除去の薄さがカバーしやすくなりそうですね。また白にも瞬速持ちが2体いますが、どちらも戦闘以外の面でも仕事をしてくれる(グリフは除去回避、奇襲兵は解呪)のが嬉しいです。ただ、昼夜のメカニズムの関係上、日が暮れるのを避けるために、自分のターンに呪文を唱えておきたいシーンが有るはずで、瞬速持ちを相手ターンに十分に活用できるかは悩ましいです。(自分が夜にしたい場合は、自分のターンの行動を放棄してもテンポ損を避けることができ便利ですが、如何せん白と青にはレア以外の狼男がいません。)

また、緑と白のバットリは、場合によっては<集会>を成立させるために、メインフェイズに使用することも考えられるので(多分普通に戦闘に使った方が強いですが)、価値は一回り高くなるでしょう。

カウンター

青は打ち消しの色なので、除去が相対的に弱いのは当然…ということで、最後に青のカウンター呪文にも目を通しましょう。

画像10

軽量のカウンター呪文が無い代わりに、全てのカウンターが、呪文の種類を選びません。青が3マナを残している場合は、行動するに際し気をつけましょう。

結論

ということで除去とバットリ、そしてカウンターのみの観点で色ごとの強さを予想すると…(3つ星をその色の平均期待レベルとして)

白 ★★☆☆☆(受け身の対処。全体除去も戦略には噛み合わない)
青 ★★★☆☆(青にしては良く、打ち消しも良質)
黒 ★★★★★(盤面の対処には困らない)
赤 ★★★★☆(戦略次第だが、環境も相まってかなり強い)
緑 ★★★☆☆(優秀だが、格闘系は環境が逆風)

という結果になりました。

さて、この分析は下準備。MIDのメカニズムや、各色のアーキタイプの強さを評価するための前段階でしかありません。というわけで次の記事ではそこらへんを分析します。リリース前には上げるつもりなのでよろしくお願いします。

注釈

※1 ただし、以下の効果は本記事では除去とみなさない。

・側面攻撃およびその類似効果(「ブロックしているクリーチャーはターン終了時まで-1/-1の修整を受ける」系の効果)
 →タフネス修整ではあるが、相手の行動(ブロック)に依存し、自分が対象を選択することが難しいため

なお、本記事における使用画像の結合には、以下のサイトをお借りしました。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?