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【随時更新】自作短歌の一覧

2019年から森野めとろ名義(一部みかん名義あり)で詠んでいる短歌の一覧です。発表時より加筆修正しているものもあります。
増えたらその都度更新します。



2019年


「今夜私と踊ってくれませんか?」手取り足取り1・2・3(わんとぅーすりー)

見てきた夢の数だけ星々を数える こっちおいであれがスピカ

お嬢さんしあわせになる準備はできてるかい?刺激的やから覚悟してね

五線譜と下駄とジャージとヨーヨーと君の笑顔で世界は回る

エイト・ビートで魔法をかけるよ シャツのボタンは上までとめてね

みかん色三角定規 斜め前きみのまつげはくるりん90度

季節外れの雪は朝からふわりと降るでしょう 見逃さないでね

解凍ファイルインストール中、四つ葉マークのスプレッドシート

曇天だって終日快晴 はじまりを君と過ごせるなら

どうか逃した体温ごとあたためて 外した指輪は気にせずに

水溜りは避けて歩こうね 濡れたらタオルわしゃわしゃの刑

「傘はふたりで持つもんなんやで?」今日ばかりは嘘も許して

賭け事しようや、どっちのてるてる坊主が仕事するか またあした

君にだけとくべつを教えてあげる 青空が見れる傘の中

スクールバッグふたり分 濡れても共犯だし、ないしょが増えたね

最後にもう一度好きだと言わせて ベッドに染み付いたアメスピ

「あれ、ハイボールだと思った? 残念、レモネードでした!じゃ、俺の家行こ」

最初に見たって言い張らせて 夕暮れ間近の逆上がり練習

そうだね、反対のホームから君の背中探してたりするけど

おとぎ話の続きをしようきみはお姫様でぼくは悪魔ね

じゃがりこにお湯とさけるチーズと君の涙を混ぜる深夜二時

カレンダーめくったって止まったLINEは動かないしカルピス飲もう。

確実なことなんてあるわけないし、それならキスして歩けばいいし

片割れピアス持っといてよ、それ婚約指輪の代わりだからさ

ここだけの話、桜雪春から本降りになるらしいよ

チョコレートはんぶんあげる ふたりで食べたら幸せ倍になるし

じゃあ次は星空見ながらシェアしない?底のまあるいタピオカ

雪はちょっぴり冷たいんだけどね、桜雪はほらねあったかいの

サスペンダーは右からクロスさせて、舞えよ魂、炎のステージで。

教えてあげる、言葉かわせばわかること「あなたもおれにくびったけ」

散りばめた星の数より「あいしてる」を 月の海で掴む未来と

太陽よ知っているだろうか 進化に愛と痛みがともなうことを

みんなおいでよふわふわパンケーキ ちょっとはやめのムーンウォーク

世界をまわすちからを探しつづけるぼくたちは瞬きも忘れて

待ち合わせまで三分 後ろ姿のギターケース振り向いて、恋

大事なことは少しずつ、手を繋ぐのもキスをするのもその先も。

「何時に帰る?ローストビーフ焼けたからワイン冷やして待ってるね」

スクールバッグに詰め込んだカルピス ちょっとはやめの夏にしようよ

揺れるポニーテールとファンタグレープ もどせない夏、追いかけて

あと一周したらデカビタジャンケン 実はわざとグー出してる

口に含んだコーラをシェアする熱帯夜、あまいのにカロリーゼロ。

いちごみるくのキャンディー溶かしてアイスにする自由研究

ひみつの放課後課外授業 参考書片手にメロンソーダ

オレンジジュースは2本、幸せは半分こ、帰り道は一緒

「ブルーハワイひとくちあげる。ほら鏡見て?俺たちお揃いじゃん」

唇に残るオレンジ一滴 「間接キスだね」すこし笑って

きまぐれあの子曰く「あまいだけじゃなくてにがみも必要なんです」

月も知らないあなたのマイブーム:白ワインでオランジーナを割る

かわいいものであふれる世界に炭酸でさわやかさをちょい足し

「ちこくしちゃうよ!」雲ひとつない空の下、口に含んだパン

残酷だね。きみはぼくだから何にでもなれる、悪魔にも天使にも。

信じる気持ちよ風と共に乗っていけ きみの元まで数千里

刃を滑る血の流れを見つめては在りし日を思う「ぼくをとめてね」

傷つくことのこわさよりもきみが壊れないかがこわいのさ

青葉がゆれる笛の音も届かぬ場所 再会はグーパンチで

絵空事だと笑ってもいいけど、信じてくれたら損はさせません。

選ばれる人が幸せって誰が言ったの? つかみとるものでしょ

愚直で努力家なきみのこと 愛の力で頂点(テッペン)にするから

ルールとかまあそんなの気にせんとこうや あえて踊ろう、きみと一緒に

宇宙でも三十年後には共通言語「LOVE YOU KISS ME」

2020年


あなたの照れ顔想いながら丁寧に編みしもほどけてくベスト

つぎの冬にはありあまる長さ ふたりでちょうどのみずたま毛布

酔うとはじまる変なスキップあの頃からちっともかわってないの

「失敗しても大丈夫だよ」と三温糖越しにきみが笑う

大好きだったあの子は公園で椎の実拾って夢語ってた

2022年


きみの涙は風に飛ばして、ぼくの心はクーペの左へ寄せて

きみに優しくされちゃうと泣いちゃうじゃないたとえそれが夢の中でも

電池残量15%(パー) 背に爪立てて「もう少しはやく言ってよ」

ぼくのむねの奥まで届いちゃうシンセサイザー、リキッドルームにて。

煙草の煙越しにきみを見る 1ミリも笑ってない顔が好き

修学旅行の夜みたいだと云う カーテンの向こう、きみは寝たふり

一番最後になれなくてもいい少しだけ肩を貸してくれたら

「来年は隣で見たいね」と打っては消す 窓には遠くの花火

何食べたか思い出せないままなぞる指先の行方をみつめる

ポカリをきみに押しつけて唇ごとファンタグレープを奪う、夏。

雨が止むまでは隣にいてよ。煙草一本分だけでもいいから。

世界の果てからでもいつの日か、月の向こうに行けるよ僕たちは

それでもいいとわざとらしく囁いた 深夜2時、三光橋にて

ロケットの暗証番号(ロックナンバー)も知らないけどぼくも一緒に連れてって

潮騒が奪つてゐつた告白を、今も便箋へ綴っている。

君よ、羊を撫でるその手のひらで私を突き刺してくれないか

波が足に重なる音で気がついた ぼくはここに居てもいいんだ

気分屋を振り向かせるための作戦 「赦す。そのつぎは愛を。」

宇宙人のきみと月でダンスをすれば ほら、私だっておんなじ。

爪のたまねぎ臭まで抱きしめて 今日はハンバーグ、明日はポトフ

点滴を見ながらあなたの頭に乗った桜を思い出す夜

きみがくれたバスソルト溶かしてみた いい匂いで大好きになった

グリーンピースひとつあげる 嫌いじゃないよ、きみにあげたかっただけ

2023年

1月


星々は近くにあるようで遠いね あなたのシャツの袖みたいに

物足りないくらいがちょうどいい つぎの「またね」が聴きたくなるから

聞き飽きた「お変わりないですか」曲がり角でぶつかってもそれ言うの

少しだけ願ってもいいですか 来世はあなたの隣で生きたい

稲妻みたいな出逢いだった 3億年後も忘れないと思う

2月

透かせば金色に見えてしまうこの石を押入れにしまい込んで

好きと云うには早すぎるから他のことばを探してる「それいいね!」

恋のロジックはやさしくないくせに言葉ひとつで変わるマジック

日々頑張るあなたへ花束をたとえばあまいチョコレートのように

ぐちゃぐちゃにしてしまえよ、すきとあいとゆめときらいのパレットなんて

内緒だよカレーの隠し味 今日一緒に買ったメイプルシロップ

スムージー高かったんだよと笑う この手を離せば夢が終わる

「実はあのときあげたチョコクッキー、お父さんと一緒につくったの」

雨の日はずるしたくなるたとえば傘を忘れたと嘘をついたり

こんな日はどしゃ降りであってるかもね誕生日だしアラサーだし

猫を撫で珈琲を飲むような生活をしたい アレルギーだけど

抱負など訊かれても契約更新出来るかの方が気になるし

煌々と闇夜を照らすあひるのランプ我が家のあたらしい主

寝たきりでも明朗な者がいてそういうものにわたしはなりたい

夢の中「久しぶり」ときみは言う 朝になれば会えなくなるくせに

きみは全然笑わないよねフォー食べた時も告白した時も

シャンプー変えたんだねと君が言う 言われたくて品定めせし店(ストア)

やっぱ私たち合わないね 好みも違うし世界も救えないし

編みかごにたまごサンドと猫を乗せ坂道を駆け降りる 春だね

いつかまた会えちゃうような気がしている赤ボーダーのふくらむシャツ

それでいいのといつも言い訳をした 「ほんとうにいいの?ミス・ロンリー」

他人みたいにすれ違ってあなたの機嫌が悪くなりますように

嘘みたいな笑顔でカラメルプリンひとつ差し出す とてもにがいね

君に会える日はハイヒールよりシューズを履いてスキップしたくなる

3月

物足りないくらいがちょうどいい つぎの「またね」が聴きたくなるから

あたらしい生活期待して鞄のシマエナガを揺らす春の日

だってちっとも変わらないんだもの不器用なピースとその優しさ

担任さえ知ってたのに言えないでいる もうあえない、またあいたい

実は言ってないことがあるマフラーの柄を色ちがいにしてたり

難易度高すぎだったよね、名前書いた消しゴム使い切るとか

照れ顔でくれた第二ボタンあの時わたしってトクッベツでしたか

結局嘘だったね「一生友達!」と書かれた卒業アルバム

「ロックだね」と知らぬ表情(かお)で笑う 君はロックなんか聴かないくせに

丸まったその背中に後ろからいたずらしたいだって春だもん

やさしくて、やさしすぎて困るくらいあなたの声は春風に消え

黒焦げの魚肉ソーセージをただ見つめる失敗はいくつもある

言の葉を丁寧に並べていくいつかあなたに届きますように

キムチ鍋らしき豚肉がいたそれは豚キムチになるはずだった

その腕に包まれたいと思うほど通せんぼする標識の赤

炭酸が喉滑る やさしくはなかったね、赤ジープとなびく風

手折った羽根をふるえる手で撫でたきみは天界からのおくりもの

じゃあ、なんて仕方なく云わないでその続きで全部変わっちゃうのに

湯上がりの桜ほっぺをこの手で包むもうじき吾子はここを去る

手のひらに漢方一包いまごろ胃の中にいるはずだったのに

はじめてのオープンカーとサングラス嫌いじゃなかったよあの夏も

ふわりとハート落ちていくきっと恋だよそんなふたりに祝福を

ぼぬぼぬと弾む水風船いつの間に金魚となかよくなったの

流行りの曲もダンスも知ってるふりした君はダウンタウンボーイ

マジックできみが指に付けたしるし、ほくろになったよ 忘れてるね

晩ご飯和食か中華か決めるため君と僕だけの目安箱

はじめての来訪者は桜のはなびら小さめアパルトマンにて

不用意に触れられてときめきを知った硝子細工の民芸品

これからの人生で揉まれて生きたとしても家はSUUMOでさがす

葉桜が満開になる頃にまた来ようよ そのときには僕たち、

古ぼけた時計の針は動かないあなたは祖父の神様だった

ミサイルこないで 君と囲む夕食を今日で最後にしたくない

「ポケベルで君と待ち合わせしてみたい」「打ってるのスマホなんだけど」

愛がなきゃキスが出来ないわけじゃない「こっち向いてよ、シュガーベイビー」

もう全部わすれちゃお 見たことないピアス知らないシャンプーの匂い

たられば繰り返して真珠のピアスを見つめるもう穴はないのに

わたくしたちは指と指をからめてプラトニックにないまぜの恋

岸辺にて「きみのためなら死ねる」と叫ぶ 死なず一緒に生きてくれ

紙飛行機をきみに届けるとして、から始まる机上の空論

左右差のあるわたくしの瞳を綺麗と言うきみの瞳も綺麗

最低!と言ったあの時もほんとは最愛だった言えばよかった

ぱちぱちと点滅する電球はまるで変化するぼくらの形

僕たちはナポリタンをくるりと回していつも曖昧にしてたね

変わらぬブランコに過ごした日々思い出すシャッフルでaiko流れ

水晶のように煌めいてきみは前世スーパーボールだったのか

ロボットもアンドロイドも住む街でそれでも君とふたりでいたい

FutureのFは不思議のF テストで書けたよ、ありがとう嘘つき

「チョコミント好き?」「ううん、嫌い」「じゃあわたしは?」できみを困らせてみたい

隣のきみが描くまくらの染みくじらのかたちが愛おしい朝

きみじゃなきゃだめなんだ、と一度でも思ってくれたならわたしの勝ち

あまりにもうどんを食べたい深夜3時お吸い物で代用する

粗大ゴミの受付票を書く断捨離というか終活というか

名前も知らないあなただから言えることもあると砂糖入れながら

ワンコインできみは動いてくれるらしい手荒れたわたしのかわりに

階段も上れぬわたくしに差し出す手はまるで王子様のよう

酔えたなら時計触る指にも飽きてる君にも気づかないのにな

ラクダのこぶみたいな腕やねと笑ったきみは元気にしてるかな

鍋ぶたが手からぽちゃんと音をたて滑り落ちゆく虚無虚無プリン

4月

最後に会えたから言えなかったの7時5分発急行列車

きみに迷惑かけないようにすきの言葉は桜の下に埋めた

やさしい嘘しかつけない人をわざと傷付けてしまいたくなる日

ビードロにある色にはないものをパレットに乗せて水に流した

夜が明けたら消えてしまうこの熱もほんとうは続いてるふりした

ナポリタンは好きだけどたらこバターは嫌い好きって言ってごめん

ひみつの答えは教えてあげない答えはきみのこころにあるから

見切品のパスタソースで得るしあわせカルボナーラ和風仕立て

ついでみたいに愛を囁いたお返しにシャボン玉を割ってやる

軽率に好きって雑に言ってみたいそして顔は見ないでほしい

この恋が手に入るとしてそれでもいいなら私は泡となりぬ

甘すぎて困っちゃうなぞる指先はミルクコーヒー加糖多め

こころごと繭玉に包まれてその奥を知りたくなる好奇心

年齢も性別も違うけど共有できるだんご3兄弟

天邪鬼だねと笑うくせにほんとうの意味に気付かない鈍感

すききらいすきのエンドレス だって自分の意思だもん、夢占い

車窓から見る遠雷きみの顔がよぎる生きてて欲しいと思う

日曜のこの時間この場所でクリームソーダ分けあえる幸せ

きみと食べたうどんの味思い出せないおあげって練り物だっけ

大きめのTシャツに包まれるきみがぼくのものだったらいいのに

来世でもあなたを好きになるとして私を好きになる確率は?

問題のこたえは分からなくていい 今世も来世も抱きしめてよ

きみのこと考えれば考えるほど詠めないものね相聞歌は

結局人生はないものねだり幸せは指からすり抜けてく

藍色に染まる白Tシャツあなたのジーンズだからまあいいかな

壁紙の日焼けのあとに思い出すこの本棚に隠した日記

ゆらゆらとグラスにひかり反射してホテルキーはわたくしのようだ

「生徒手帳とか破りたくね?」生徒会室から聞こえる放課後

浮き草を通り抜け金魚は泳ぐ こんな風に愛されたかった

既読も付かないトークルームほんとは会って話したいことがある

ブレーキランプの点滅を数えるきみはおそらく知らないけれど

子宮(ここ)にいたきみの生命(いのち)を忘れぬようまた夢でお話しさせてね

野良猫に出逢ってぼくは逃げる悲しみのアレルギー猫好き民

月夜にそっと打ち明けた 葬式に来てほしい人ほしくない人

フレームを指差しあなたはレイバンと云うちがうのこれはゾフなの

ころころと笑う横顔眩しくてラムネのビー玉越しに見てた

(いずれは消えるものではあるけど)きみに渡した手紙で切れた指

ワニでさえ恋する鬼山地獄 君よ隣の視線にも気付け

虚しくもわたくしの手から落ちる袋 収集車のエンジン聴き

お箸が割り箸だったから歪でも笑えたのかなつるとんたん

床でむかえる朝もある 鳥の鳴き声で目覚めてもそこにいてね

学歴で判断したくなくて人vs(たい)人のラップバトルで勝つ

5月

メイクも生き方も何もかもあの子の真似すべて君のためだった

まろやかに恋へ落ちゆくぼくたちの相合傘は波に消されて

あのちゃんのように水色をまとってぼくは水の妖精になりぬ

忘れない布地が擦れる音だけが響く半月の夜のこと

何度でも夢に出てきてしまうから出演料いらない?会いたい

五月雨に降られても花は強いそれでも傘を差し出す放課後

ぼくだけが知っていればいいオレンジペンでぐちゃぐちゃになったノート

きっと海のせいだ 波寄せるその瞬間ぼくを好きと言ったのも

ずっと見てたから分かるよきみの好きな教科も曜日も好きな子も

サッカーの授業ひとつさえ手を抜かないバカ真面目なあなたが好き

つらいならやめてしまえばいいのにまた靴箱で会えたらいいのに

メトロノームに飲まれるようにきみは必死に指揮の練習してた

名前呼ばれるだけで愛を感じてしまうただの友達なのにね

湿り気のある風は優しくも荒く こころ包んで届く五月

Tシャツで海に飛び込んで朝迎えたいはしゃぐ魚みたいにさ

湯けむりの遠くに見える藤の花二月(ふたつき)に一度逢えたらいい

スロットのあとひとつが足りないまま父との時間は今日も過ぎて

わたくしの脳は縮んでいくらしい いつか死んでも忘れないでね

上巻は既にあるのに何故また上巻を買ってくるの、私よ

森林の中にしいたけの国 都会(まち)のすさんだ空気など忘れて

きみが相棒になった日持つのが恥ずかしいなんて言ってごめんね

釜めしにいくら乗せるか乗せないか選ぶ時間がとても楽しい

温玉をごはんに乗せてごま醤油ふたりで浴びるやさしい朝日

昔より外出は得意じゃないそれでも「知人」のきみがいるなら

ついでみたいに愛を囁いたお返しにシャボン玉を割ってやる

ちいかわから癒しをもらっている君にせめてちいさな幸せを

新しいワンピースらしい隣で揺れる菫色オーガンジー

わたくしが時折送る「いいね!」は(そっと応援してます)の意味

ババ抜きのように探り合う会話ゲーム中途採用同期組

甲板が刻むビートに乗せて醤(ひしお)のにおいは我を誘い出す

内海(うちのみ)にぽつんとバス停はあり行先はもしかして夢の中

オリーヴに恋した弟ははじめての美容オイルをぬりたくる

マルキンのロゴかわいいねってきみに言えばそうだねって返すかな

泡のやうな愛だから土庄(とのしょう)の船から気持ちごと海に落とす

どうぶつの森に住んでいるあのたぬきベルを渡してまた会いたい

ひまわりが背丈を比べるかのように君と青空を見ていたい

はつ恋に多めに苦味を足していくあなたはそういう人だった

霧の中すべて白く見えたとしてもきみの姿は間違えない

6月

ひたすらに愛する気持ちを殴り書くデスノートとでも言ってくれ

こっそりとリンクコーデにしていることもカチューシャで気づいてほしい

1件の「会えない?」のメッセージ会えないくせにそんなこと言うなよ

予報でもはずれしまうくらいだし雨で泣いてても笑わないで

きみが住む街はもうすぐ晴れになる私のことはどうか忘れて

一般の家族らしくはないけれどぼくたちなりの親子のかたち

歪(ひず)みから絡まる違(たが)う赤い糸それでも解かずあなたがいい

クロークへ一時的に保管しますあの子からもらった“愛してる”

うごめいた蟻の大群を追いかけて歩む幼き子の黄帽子

わたくしが傷ついたぶんだけきみのこと傷つけたい許されたい

砂浜に石で描いた相合傘むこうでは現実にしようね

「硝子瓶に秘めた気持ちも何年後には届いちゃうんだなあって」

味のしない唇ごと奪ったはずなのに微かに残る檸檬

雨粒がふたりの間をすりぬけるこの距離が今の限界

隕石が落ちてきて星になったって覚えていたいきみとのこと

いそしぎが回っている茶店できみと飲んだ珈琲を忘れない

練乳がとろりとかかるきみは多くの人に愛されし氷山

7月

今年こそ素敵なひとを見つけてよわたしがきみを忘れる前に

どしゃぶりの雨から手を伸ばしてはフライング気味の夏追いかける

チークダンス踊れるほど頬を寄せあっても伝わらぬこの気持ち

舞踏会なんて大層な場所じゃなく手かさねた1LDK

いつの日かワンツースリーのリズムごと忘れちゃえよぼくに溺れて

紙だけで交わす契約よりも口約束優先したい、だめ?

この熱がまだ冷めないうちにヒントだけ与えるのどうかゆるして

好きだとは言えずに引っ越したきみはいまも大宮で遊んでるの

三つ編みをなびかせ君は駆けていく水しぶきは初恋のにおい

じわじわと熱い眼差し浴びながらねじる半分のチューペット

磨かれたワイングラスを傾けて淡い真紅の夢を見る夜

助手席に乗せると約束した冬 お別れって呆気ないな夏

優しげなハープから始まるイントロに耳を傾け懐かしむ

毎日のご飯作りも洗濯も主婦も立派な選手と思ふ

そういうさ運命なのかもしれないね会えない日が続いちゃうのは

冗談で薬指にはめた指輪これはずれないんだよ(うそだよ)

苦しくて消えたいと思う毎日もあなただけがオアシスだった

めくってもめくっても終わらない参考書カルピスだけが減りゆく

あたらしい病院のWebページ「緩和ケア」の文字はわたしの未来

いつだって覚悟はできてるはずなのに鈍い身体よ言うこと聞け

無邪気にもきみは次のライブの話をしわたしは曖昧に笑む

週三でそれほど聞けば虚無にもなる「今日も血圧高いですね」

好きなこと好きなものを諦めてわたしらしさとはなんだ 分からん

まだ先の話だとは分かってる分かってるからこんなに悔しい

まあよくもここまで生きてこられたと流石に自分で自分を褒め

花露(はなつゆ)に濡れた指先を丁寧に舐め取って微笑(わら)うずるいひと

処す?処す?とノリで言ってたの懐かしいね最強だったよ、ウチら

人混みに流されてしまっても見つけてしまうぼくの一等星

きみのためならば神様さえ敵にする今世がモブでマジごめん

むこうにも来来亭はあるんだろうか餃子は今も好きなのか

ぼくが編む花飾りをしあわせそうに撫でるんじゃないよ好きになる

土のにおいを嗅ぐもうすぐ雨が降る傘忘れたって嘘をつく

安売りの白菜だってきみの手にかかれば極上の品になる

どこまでも続いていくような気がして水平線に砂をかけた

コストコのくまさんにだけ伝えたいぼくがきみを好きだということ

午後3時あまくやさしく溶け込んできみはまさにアプリコット・ティー

太腿を掻きむしって作る流線形 生(せい)はなんたるかを知る

「寝ちゃったの」「まだ起きてる」を繰り返すふたりのはしご越し糸電話

潮騒と混ざり合うライトブルー夏だってぼくの気持ち知ってた

手繋いで返却BOXへ走った朝 それだけは忘れないで

おやすみが3日もあるなんて卵が双子だったときみたいだ

身体ごと溶けちゃうくらいあついんだしきみを見ててもバレないよね

兄さんはいつも危険と友達だ だからスターになっちゃうんだな

行間を読むようにして日々を生きる いるかになれたらいいのにな

無味無臭なのに初恋は味がする檸檬のような桃のような

上品に振る舞っているぼくたちはクロスの下では手を繋いで

杉の木の下で会うと約束したわたくしたち花粉症なのに

首筋にキスマークをつけて君は去る来世は順序まもって来てね

「会えないの」って気軽に言えちゃうきみのこと憎めない自分が嫌

足し算の和みたいに単純にぼくらの未来も分かればいいのに

回廊の一番端に在る水彩画 あの日の気持ちを教えて

粉々に崩れゆくパステルちっともやさしい色など出ない夏

【白黒で濃淡をつけよ】そんなんで感情はあらわせないのに

物言わぬ石膏像だけが知っている放課後、ぼくらの、秘め事

人生をやり直すことはないけれど白のチューブは一番減る

透明なシアンブルーを筆にのせ亀はキャンバスで自由になる

ハコだったあの日からキミに逢えるのを待っていた「大きくなりすぎ」

8月

今後はひと月ごとに記事を更新していきます!↓


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