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仮ニートの石垣島旅4(ラスト)

今日は朝から風が強い。もはや台風じゃないかと思うくらいの風である。ほんとに立っててもよろけるレベルで、身の危険すら感じる。せっかく早起きしても外に出ず、ずっとベットの上でずっとゴロゴロ過ごしていた。今日は船に乗ってマングローブに行く予定。そのためにはここから徒歩30分の港から船に乗らなければならない。あいにく宿の送迎はタイミングが合わず、徒歩で向かわざるを得ない。昨夜は夜遅くまで他の宿泊者達は起きていたようで皆んな寝ていたため、静かに準備をして宿を後にする。強風の中、意を決して歩き始めたが、想像以上に過酷な道のりであった。道中、中学校からチャイムの音がきこえたので、平日であることを思い出す。島の学校ってどんな感じなんだろ。覗いてみたいが不審者と思われても困るのでやめておいた。それよりもたまたま向かう先が追い風方向であったので、時より吹く強い風が僕の意に反して自然に歩を早めてきた。自転車での追い風はここちいいが、徒歩での追い風は余計なお世話である。おかげで予定より10分ほど早く港に着いた。港はフェリーが到着したばかりで多くの人がおり、ほとんどツアー客であった。今日の目的はマングローブをみることなので、マングローブフェリーの予約を済ませて、自販機で缶コーヒーを買い時間まで待つ。ここで気づいたが、離島ではゴミは自分で持ち帰ることが決まりとなっている。焼却場がないため、石垣島までゴミを運ばなければならないのだ。こうした場合、缶コーヒーは最悪である。時間までに飲み切らなければならない。これまで離島巡りをしてきてこのルールはわかっていたのに失念していた。買った直後に入船が始まっていたため、大急ぎで飲み干し、若干気分が悪くなりながら船に乗った。


船は仲間川を巡るツアーになっており、マングローブのすぐ近くまで行ってくれる。本日は小雨と強風のため、とても寒かったがガイドさんが話すマングローブの説明が面白く、とても満足した。途中でパイナップルに似ている木の実を至る所で見かけたので、西表島ともなればこんな身近にパイナップルがあるのかと感動していたが、どうやら違う木の実らしい。アダンの実?とか言っていた。また、ガイドさん曰くマングローブは海水より真水を吸った方が成長早く、日が当たらないと育たないとのこと。ただ、普通の木のように山に植えると他の木に成長で負けてしまい、生きていけないため、海に居場所を見つけたとのことであった。なんだかわがままで可哀想な植物だなーと親近感を覚えてしまう。また、マングローブも呼吸をするので、海中から根が外に出ている時に空気を根に溜め、海中に潜っている間にその貯めた空気で呼吸している。ただ、海水を吸うと多くの塩分を摂取することになるので、余分な塩分は葉に移して、黄色くなったら落ち葉になって落ちる仕組みとのこと。なんだかんだ上手く生きてるんだなマングローブ。面白い。

強風下での暇つぶし

大満足でツアーが終わり、港に戻って来たが石垣島に向かうフェリーは、これから2時間後となる。時間が余るので港周辺のやまねこパークという公園にきた。着いてから驚いたが、デカいネコが公園の中央に居座っている。こんな、誰もいない公園にこんなデカいネコがいるのは結構異様な光景な気がする。もしホンモノのイリオモテヤマネコが見たら身構えてしまうのではないだろうか。何だか動き出しそうで、少々不気味であった。それにこの公園、バスケットゴールとスケートボード場が綺麗に整備されている。日本でもスケートボード場がこんなに整備された公園は珍しい。西表島ではスケートボードが盛んなのだろうか?ここなら周りに気にせず自由に練習できるだろう。もしかしたらここからオリンピック選手が生まれるかもしれない。もしくはもう生まれてるかもしれない。猫に見つめられながら練習しましたとかいって、この公園が話題になる気がする。そんな想像が膨らんでいた。しかし、今日は風が強すぎる。もはや外を出歩くべきではない。本当に立っていられない。急いで公園を後にし、港に戻った。旅の前半は天候に恵まれたが、昨日からはあいにくの天気だ。その後は港の待合室でフェリーを待ち、西表島を後にした

石垣島で時間潰し

さて、石垣島に戻って来たのでとりあえずゲストハウスにチェックインして荷物を預ける。さて、石垣島で何するか。すでに時刻は13時を回っていたため、おそらくそんなに島内全域を回ることはできない。レンタルカーを借りるのも勿体無いと思い、歩いて回ることにした。とりあえず、お土産を探しに農協へ来たがまさかの定休日。今日に限って設備点検とはついてない。まあしょうがないと思い、石垣島をフラフラすることにした。ネットで調べたらいい感じのコーヒー屋があったので歩いて行くことにした。

優しい店員さん

20分くらい歩いてコーヒー屋に到着した。中に入るとアメリカンテイストのおしゃれな空間になっており、ジャージの僕が入っていいのか内心ビクビクしながら店内に入った。しかし、優しいお兄さんがどうぞ、と招き入れてくれたので気兼ねなく入ることができ、ほんとはコーヒーだけのつもりだったが優しい笑顔のお兄さんのためにコーヒー豆とスコーンも注文した。我ながら大盤振る舞いである。接客の基本は笑顔だなーとしみじみ思う。コーヒーは苦めのブレンドを注文したが、苦すぎなくて飲みやすい味であった。せっかくなのでゆっくりして行きたかったが、他にも行きたい場所があったのでコーヒーを飲み終えてから次の場所を目指す。

サトウキビ畑に1人

目的地まで歩いている時に気づいたが、石垣島は港を離れると一面サトウキビ畑が広がっている。港付近は都会的だが、この畑道はギャップがあり、尚且つここを歩いている観光客はそんなに多くはないだろう。この日は僕だけであった。レンタルサイクルの1000円をケチった罰である。そういえばこの旅では歩く機会が頻繁にあり、1日の平均歩数は25000歩になっていた。旅行でアウトドア的なことを何もせずにここまで歩くのも珍しいかと思う。正直脚も限界を迎えていた。

最南端の神社


15分くらい歩いて着いたのが日本最南端の神社である宝来神社。縁結びや金運の神様がいるとのことで、是非とも御利益に預かりたいと思い参拝した。着いてみて驚いたが、一面真っ赤な神社に青の鳥居が主張して、奇抜な色合いである。神社内の所々に宝くじに関することが記載されており、そういう人達にとっての聖地になっているのだと初めて知ることができた。青の鳥居に鐘が着いており、紐を揺らすとチーンとすごく大きな音が鳴った。これは神様も僕がきたことに気づいただろ。何なら地域住民も気づいたかもしれない。実際の参拝は階段を登った後に自分で扉を開けてから拝む方法であった。スライド式の扉を開き、中に進む。賽銭箱にお金を入れてお祈りをした。せっかく来たのだから、最南端神社の御朱印が欲しいと思い、もらえる場所を探したら賽銭箱の脇の方に封筒とケースが置いてある。どうやらここに自分の住所を記入してケースに入れると後日郵送で御朱印を送ってくれるとのこと。1500円。最南端代だと思えば高くない。そう納得し、神社を後にした。それから近くの食堂でヤギ汁を食べようとしたが、お店の前に山羊料理は終了したとの看板が立っており、断念。だが、夜に行く予定の居酒屋でも山羊汁が出るとのことなので、そこで食そうと思う。

ヤギ汁を探して

一度宿に戻ってから職場のお土産を買いに行き、居酒屋へ向かった。しかし、ここでも山羊汁はなかった。ここまで来たらどうしてもヤギ汁が食べたい。それから僕の山羊汁探しが始まった。しかし、きょはもう一つ行きたいところがある。ヤギ汁探しは諦め、次の目的地に向かうことにした。目指すは最南端の公衆サウナ。石垣島で唯一、一般開放しているサウナである。実際はホテルの大浴場なのだが、2000円払えば日帰り入浴可能。タオルも付いてくる。正直東京のサウナと比べても高い感じは否めないが、最南端代と思えば高くない。中はデカめの風呂が一つと水風呂が一つ。それに6人ほどが入れそうなサウナが一つ。温度は何と105度。さすが最南端。温度も気合いが入っている。水風呂は18度前後。少々ぬるめだが、105度のサウナに入った後ならば心地いい。ずっと入っていられそうなほど気持ちが良かった。しっかり三セットしてから山羊汁探しの旅を再開。サウナに行くまでは気温が低く寒かったが、出たらポカポカ。この温もりが消えないうちにヤギ汁を探したかったが、外のメニュー表を見ても山羊汁なんて乗ってない。しょうがなく港まで戻り、近くの飲食店を探す。港周辺は観光客でごった返しており、大変な賑わいだった。とりあえず一通りの居酒屋を見て回ったがそれらしきものはなく、あってもヤギの刺身だけであった。とうとう寒くなってきたので諦めて宿に帰ることにした。しかし、途中小腹が空いたのでファミリマートで何か買って行こうと入店すると山羊汁を発見!とりあえずどんなものかを確かめるためにもここは食べておこうと思い購入。休暇旅行最後の晩餐に相応しい。さっそくゲストハウスに持って帰って食べてみた。うーん、何ともいえない。コンビニが出しているものなので、臭みが少ないのだろうが、牛タンを食べる時に出てくるテールスープのような味に近く、それよりも少し、クセが強くて飲みにくい印象。ヤギ肉は柔らかく食べやすいようになっている。まあ食べられなくはないがほんとに店で出てくるのはこういうのでは無いのだろう。次回来た時にはぜひとも本場のものを食してみたい。

最後の夜

ゲストハウスでは宴会(ユンタク)をしており、ヤギ汁を食した後、僕も混ぜてもらった。話の中心にいた男性はもう何ヶ月もこのゲストハウスに泊まっているらしい。ここには色々な人が泊まりにくるから色々な知り合いができるそうだが、人数は僕を入れて5人。そのうち2人は女性であるのに結構な下ネタを話していた。まあ2人とも嫌がるそぶりは見せていなかったのでいいのだろう。いや、あれは愛想笑いだろうか。ただ、石垣島には何度も来ているらしく、美味しい店や安いレンタカー屋など貴重な情報を教えてくれたので、僕としてはありがたい出会いであった。ただ、明日帰宅予定なので、もし叶うなら最初にこの宿に泊まりたかったと後悔した。その人から泡盛をご馳走になり、消灯時間まで話は続いた。さてそろそろお開きにしようかと話していた矢先、消灯時間ギリギリでもう1人男が帰ってきたので、その人と僕ともう1人の女性で屋上で飲み直すことになった。屋上は時間制限がないとのことだが、風が強くて寒い。上下ジャージの通気性抜群の服しか持ってきない僕には応えた。しかし、もう1人の女性が美しかったため、我慢して居座った。遅れてやってきた男は大阪で自営業をしているそうで、話が面白かった。こういう時、関西人のノリや話の面白さは羨ましい。僕もこれぐらいのユーモアがあればもっと沖縄を楽しめただろうに。その男のひとは何度も石垣島を訪れているようで、地元の人も知らない場所をよく知っていた。また、石垣島好きネットワークがあるらしく、現地での知り合いも多いとのことであった。仕事、政治、旅行、恋愛、色々な話をして盛り上がり、夜は更けていった。「仕事をやらされてると思ったら辛い、楽しまないと!」と今の僕には刺さる言葉をいくつも話し、そのほとんどの言葉が酒と共に記憶から消えていったが、とにかく失敗を何度もしなければ成功に辿りつかないので、失敗を恐れないこと。言いたいことははっきりいうこと。は記憶に残っていた。さすが関西人。東京の人なら胡散臭く聞こえる言葉でも、面白おかしく実体験を交えて話してくれるので、聞いていて楽しい。こういう関西人のユーモアを身につけたいと強く思う。きっと、そこそこ自営業で成功して余裕があるのだろう。こういうところに敢えて金持ちが泊まることもあると聞いたし、また会いたい人と思う人だった。お客様のために商売しないと長続きしない。男は家事できないと捨てられる。女性と2人で飲んだら誘わないと失礼。失敗しても笑っておかしく!

朝にビール


最後に素敵な夜を過ごし、早朝に目が覚めた。リビングでは昨日の面々がすでに起きており、名言男に至ってはオリオンビールを飲んでいた。思わず朝からですか?と言ってしまった。男もすかさず、じゃいつからですか?と返す。そういえばお酒を飲む時間など誰に決められるわけでもないと気づいた。固定観念に縛られず、自分のやりたいようにやり、食べたいものを食べる。これが一人旅の醍醐味なのだ。日常で、できないことが許される。僕も今度は昼からビールを飲むようにしようと心に決めた。

ありがとう石垣島

飛行機は昼前なので、特に最終日は観光もせず、農協でお土産等を見てから空港に向かった。長かった一週間の沖縄旅行もついに終わりである。正直行くまでは、不安があり行ったとこで楽しめるかわからなかった。だが、行ってみたらそんな不安は無用であった。沖縄の綺麗な海、景色、人に触れ合えばそれだけで楽しい。その時の一期一会を楽しむ。旅の面白さを痛感した。いや、発見した。これから僕の休暇はしばらく続く。きっとまたどこかへ行きたくなる。それは仕事が始まってからも引き続き起こる衝動だろう。だから僕は今回の旅のように自分の殻に引き篭もらずにふれあうことを目的とした旅をこれからしていきたいと思った。もちろん今回は全て行ったことのないところへ行ったので、その新鮮さも楽しめた要因の一つである。だが、石垣島の雰囲気が1番大きな要因である。また来たい石垣島。今年中にはもう一度だけ行ってみたい。楽しかった。ありがとう石垣島。

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