SHIBUYAMELTDOWN渋谷の酔っぱらいの写真をどう見るか、見られるかという話。
1.渋谷ハロウィン酔っぱらい。
2023年10月末。この時期になるとハロウィンの仮装をして羽目を外している姿がテレビに映し出されます。ここ数年では渋谷区では対策をとられているようで、今年はハチ公を封鎖したり「渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません」と看板が掲示され、さらには渋谷駅周辺で路上飲酒を禁止するなど、厳戒態勢となっています。
新型コロナの流行が落ち着いてきたと見られ、外国人観光客が増えてきているのは地方にいても明らかにわかりますが、このタイミングで渋谷に観光に来ていた外国人からはこんな声も上がっているようです。
2.渋谷の独特なスナップ - SHIBUYAMELTDOWNの始まり。
渋谷という町が日本の象徴的な場所として世界的に認知されていて、外国人からみたJapaneseがどう見えているのかを考えたときに、今日はTwitterやinstagramを長年見てきてる人達はもしかしたら見たことがあるかもしれない、”SHIBUYAMELTDOWN” をきっかけにしてネットを遡っていきたいと思います。
東日本大震災後の私たちはそのワードから受ける衝撃は強めなのですが、実際にSNS上でこれらの名前の付いたアカウントやハッシュタグを検索してもらうと公共施設で人がだらしなく寝ている写真などが見られると思います。
じゃあどういう意味なのかと思われると思いますのでgoogle先生に聞いてみましょう。そうするとそれっぽい説明がありそうな記事がいくつか見つかります。
①TOKION
本人にインタビューをされていて一番しっかり書かれている記事。
②KAI-YOU
なんと#SHIBUYAMELTDOWN名義でコンピレーションアルバムまで出されてた。これは初めて知りました。
③TABI LABO
検索で引っかかる中だと比較的初期の頃に記事にされてる。このころに特にSNSで流行っていたみたいです。まとめサイトとかの記事もこのあたりからみられるようになります。
③のTABI LABOではInstagramのアカウントでオーストラリア人だと書かれています。①のTOKIONでは、匿名でのインタビューということで素性は明らかにされていませんが日本には旅行で長期間訪れているということで外国の方だと考えられます。紹介されているInstagramのアカウントIDが一緒なので同じ人なのでしょう。
SHIBUYAMELTDOWNの投稿を始めたきっかけを、私が勝手に解釈して誤解を恐れずにざっくり言うと、日本の酔っぱらいの光景というのは他の国と比べたときに独自なもので興味深いから発信しだしという事でした。平和な国だからできるとも話されています。
どうだい、これが日本という国だよ。興味深いだろ!お前らはどう思う?って事ですよね。インタビューを見る限り非常に好意的な意味合いが強いのかと感じました。
3.SHIBUYAMELTDOWNの今
そして、実際の現在のSNSの運用についてですが、現在検索できる状態で追ってみました。
X(旧Twitter)では、@SHIBUYAMELTD0WNが2016年7月から8241件の投稿、フォロワー25.9万人
Instagramでは、@shibuyameltdownが2014年7月から409件の投稿、フォロワー33万人
ちなみに、②のKAIYOUだけtwitterアカウントを紹介しています。
Instagramも直近で投稿があるのですが、どうも連動はしていない様子。
更にInstagramの方の投稿を遡っていくと、言ってたことと違うな・・・と疑うような画像すらあります。全裸のおじさんが切符を買っている様子など酔っぱらいに関係なくなっています。
twitterの方も厳密には酔っぱらってない人が多数映ってますが、渋谷という町の面白さがある部分を切り取られているのでたぶん趣旨通りなのかなと感じます。
instagramの方の人は当初の人から入れ替わっているか、SNS病になって過激になっていったのかなあと邪推します。
ちなみにどちらのアカウントが主催なのかわかりませんが、公式サイトも開設されていて(現在は404)、SUZURIもあります。今後この辺りは動きがなさそうなのが残念ですね。
4.過去に渋谷の酔っぱらいを撮っていた人。
③のTABILABOさんの記事は見た記憶があって、その時に昔どっかでそんな写真撮ってる人見たことあるよなーと思っていたのですがその時は探せずじまいでした。すっかりもやもやも薄れて忘れていた2019年の4月の事、tumblrでそれらしき写真を見つけます。元記事の投稿がなんか気に食わなかったのかviaが無かったかで、自分で探してINSIDERの記事をポストしていました。
頭の中から抜けてた作家名が出典に書かれていて当時かなり喜びました。
Pawel Jaszczuk (パヴェウ・ヤシュチュク)ー作家ウェブサイトに飛びます。
5.HIGH FASHION!!
「HIGH FASHION」として発売されたトップページに見えるサラリーマンの足が映っている本自体は2018年に日本ではZenFotoGalleryから発売されていますが、それ以前に2008年から2年間かけて撮影されたサラリーマンのよっぱらい写真は2009年にワルシャワ、2010年にオーストラリア、スイス、オランダで「Salaryman」というタイトルでZineを展示・販売しています。
現在のパヴェウ・ヤシュチュクさんの活動は故郷ワルシャワに戻っていて、¥€$U$(ジーザス)シリーズを手掛けています。Z POLSKIで reiko jaszczukさんが展覧会の記事を書かれていたのでリンクしておきます。
6.Salaryman etc…
Salaryman=サラリーマンは和製英語ですって昔習った記憶があります。
今回の記事を書いてる途中でサラリーマンを検索してたら逆輸入されてSalarymanという英単語が出来てるなんて記事がありましたので調べてみました。
dictionary.cambridge では、”毎日非常に長時間働く”の記載があります。
Oxford Languagesによる定義。salaryman mean を google検索するとトップに出ます。例文が使うニュアンスを表しているんだと思いますがなかなか酷いです。
7.もう一人のSalaryman研究者
閑話休題。同じくらいの年代で、同じように日本のSalarymanを追っている人がいたので紹介します。渋谷は関係なくなっちゃいますけど。
東京で設立された日本学研究所Bureau d'Etudes Japonaises研究所の、Bruno Quinquetさんです。
2009年に東京のビジュアルアーツギャラリーで個展をされていて、それから継続的にSalarymanについて、Salaryman Projectという活動をされている写真家・研究者です。
現在は別の形で、郵便局員が出会った郵便受けコレクションなど、日本の文化を写真家として独自の視点で出版されています。
〒 YUBIN
8.所感
2011年~2023年の日本は東日本大震災→東京オリンピック→コロナという大きな出来事の中で外国人からの評価というのは様々な変化があったんじゃないかなと思うところがあるんですよね。
SHIBUYAMELTDOWNからSalarymanを含んで10年を超える感覚で写真・SNS・美術という点で追ってみました。
私なりの観測なので足りない情報や、他にも日本に対する見え方の指標は多々あると思います。指摘・修正等あればお気軽にコメントください。
長文になったので最後まで読まれる方も稀かと思いますが、意見、感想等あれば気軽にコメントくれると嬉しいです。
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