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自分なりの撤退基準を考えておくこと

現在続けている仕事を辞めようか、そのまま続けていこうか。こんな風に悩んでいる人はとても多いと思います。

「辞めたい…。でも次の仕事が決まってからじゃないと無理」「仕事を変えたとして新しい職場でちゃんとやっていけるんだろうか」と考えてしまい、苦しみつつもなかなか踏み出せない、という人をコーチとしてよく見てきました。

今回は主に「今の仕事を辞めるか続けるか悩んでいる」という方に向けて”撤退基準を設ける”という観点から考えたことをお伝えしてみます。


自分にとっての撤退基準を決めることは大切

背伸びしたゴールを設定しようという話をこれまでに何度かしてきました。

とはいえ、どんな事態もポジティブに捉えて立ち向かえばいいかと言うとそうでもないでしょう。無理して何かをやり続けてメンタルや体を壊してしまっては元も子もありません。

しかし、追い込まれると周りも自分のことも見えなくなることがありますから、予め自分にとっての撤退基準を考えておくことは大切です。

例えば、”こういうことを犠牲にしてまでは続けたくない”というラインを先に考えておきましょう。

もちろん、人によってどこを撤退基準をどう設定するかは異なります。絶対的な基準はありません。

ただ、参考になることはあると思いますので、僕自身の撤退基準について実際のエピソードを交えながら考えを書いてみます。

乗り越えた先に得られるものを信じられるか?

僕の設定した撤退基準は、心身を壊さないためというより、やり通せば得られるものがあるのになんとなくぼんやりとした理由からやめてしまうといった事態を防ぐためのものでした。

僕が設けた撤退基準は”それを乗り越えた先に得られる世界を自分が信じられるか”というものです。

具体的なエピソードと共に見ていきましょう。

リクルートに入社して3年目の時、僕はゼクシィの営業で熊本に異動になりました。東京から熊本に、しかも未知の営業というジャンルへの異動で不安な中、異動してからの半年間はまさに踏んだり蹴ったりでした。

お客さんには相手にされず、社内でもお叱りを度々受け、毎晩のように当時住んでいたマンションから眼下の道路を見つめて「ここから飛び降りれば会社に行かなくて済むのに・・・」と考えたりしていました。

誰にも必要とされていないという感覚が強烈にあって、押しつぶされそうだったのです。

それでも仕事をやめなかったのは、この辛さを乗り越えた先で自分が営業マンとしてお客さんの役に立てるようになれたら、もっと自分のなりたい姿に近づけるはずだとギリギリ信じられたからです。

信じるのはたやすいことではない

しかし、そもそも半年間成果が出ず、誰にも必要とされていないと感じながら、どうして当時の僕は辛さを乗り越えた先の世界を信じることができたのでしょうか。

あまりに状況が辛い時、人は自分一人で未来を信じ続けるのは難しいものです。僕も一人だったら信じることは困難だったと思います。信頼する他の人の力を借りることが必要でした。

当時打ちひしがれていた僕は、先に自分と同じような事態を乗り越え今は社内で活躍されている方々に度々お話を聞かせていただいていました。

以前記事で、入社後すぐにリクルートのエース人材の方々を取材する仕事をしたという話をしましたが、あの時の知見も支えとなっていました。

今ではエース人材の方々も最初はことごとく上手くいっていなかった、それどころかかなりの手痛い失敗経験を経てエース人材になっていたというものです。

それらのおかげで辛い状況でもその先に得られるものを信じられたというのはかなりあったと感じます。

辛いと言えるのも大切

辛い時には辛いと言える相手がいることも大切です。僕は当時の部長に「浜岡、最近どうだ?」と声をかけられた時「正直辛すぎます。全然うまくいかなくて」と正直に話していました。

その部長には後に六本木で焼肉に連れて行ってもらい話を聞いていただきました。

深夜までかかって作った資料をお客さんに持って行ったら、最後の見積もりのページだけ見られて「我々にそんなお金はないと言っているでしょう」と言われ資料を投げ捨てられるとか、そんな話をしました。

それに対し部長は「浜岡、今お前のところに新人が入ってきたら何を任せる?」と質問を投げかけてきました。

「飲み会の幹事とかですかね」僕は半分冗談でそう返しました。

「そうだろ?新人に任せようと思うことなんてそうそうない。そして、お前はお客さんにとっては新人なんだよ」部長はそう言いました。

ハッとさせられました。たしかに、いきなり東京から二十そこそこの若者がやってきて「御社の課題は…」なんて進言してくるんですから「あんたに何がわかる」と言いたくもなるでしょう。

さらに、部長は、

「まずはお客さんの会場(結婚式場の)の玄関を掃き掃除させてもらうみたいなことからでもいいんじゃないか?現場で動いて掴んだことを元に、どうやったら力になれるか提案してみたらどうだ?」

というアドバイスをくれました。

踏みとどまった先に得たもの

部長との飲み会以降、僕は営業のスタイルをまるっきり変更し、小さなところからお客様に寄り添うやり方に変えました。

たとえば、新聞などを読んでいてこれはお客さんの役に立つかもしれないと思ったものは片っ端からコピーを取って、お客さんにとって必要な箇所にだけ蛍光ペンで線を引き、これは御社のこういうところに使えのではないかというメモを書いてそれを大量にコピーしてお客さん先の人たちに配って挨拶して回るっていうことをやりました。

他に、毎日お客さんの所(結婚式場)へ出向き、ウエディングプランナーさんの接客の様子を見させてもらったりもしていました。

こういったことの積み重ねで、次第にお客さんの方から「いつもうちにいるから知ってると思うんだけど」とほとんど外に出ていない情報を教えていただいたり「いつもいるんだからもうここに机構えて仕事しなよ」と提案されたりといった変化が出てきました。お客さんに仲間として捉えてもらえるようになったのです。

ここに至ってようやく、本気でお客さんの未来について率直に話し合うことができるようになり売上もついてくるようになりました。

今では、僕にとって営業は好きだし得意なことだとはっきり言えるものになっています。毎日死のうと思っていた時ギリギリで信じていた”この先に得られる世界”以上のものを手に入れたと感じています。

自分の撤退基準を考えておくこと

今回は、撤退基準の二つの側面について考えてきました。

自分独自の撤退基準を考えておくことは①心身を犠牲にしないため②困難を前にしても踏みとどまれるために意味のあることだと思います。

もし共感していただけたのであれば、ぜひ自分の撤退基準について考えてみてはいかがでしょうか?


ざっくりまとめ

自分にとっての撤退基準を考えておくことは意味のあることではないか。
それは心身を壊さないためであり、やり通せば得られるものがあるのになんとなくぼんやりとした理由からやめてしまうといった事態を防ぐためである。


ライター紹介

このnoteの連載は、浜岡範光さんが口頭で語った内容を大学生ライターのりょーやが編集し書き起こししてお届けしています。

読者のみなさんからの質問等にはもちろん浜岡さんがお答えします。

またこの連載は、作家の卵で、今は大学生をやりながらライターをしているりょーやを応援するというプロジェクトでもあります。

みなさまからいただいたサポートは、彼が夢を叶えるために全額投資させて頂きます。

応援よろしくお願いします。

僕(りょーや)自身のnoteではかなりラフに自分の考え事や創作を発信しておりますのでよろしければそちらもぜひ👇


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