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何かを始めたとき、何かになろうとしなくていい

土曜日、人生初めてのデイキャンプに行った。
アウトドアと無縁だと思っていたのだが、40代でキャンプデビューとなった。昨年あたりから夫が「キャンプに行きたい」ことあるごとに呟いていたが、用具一式を置くスペースが1LDKの賃貸マンションにはない!と断り続けていた。しかし自粛ムードも薄れた2022年ゴールデンウィーク、夫は会社の同僚とキャンプへ行く約束をしてきてしまったので、ひとまず「TENTAL」で必要な用具をレンタルして夫はキャンプデビューを果たした。

夫はとにかく何かを始めると形から入るタイプなので、キャンプデビューがとても楽しかったとのことで自分のキャンプ用具が欲しいとプレゼンが始まったのだ。(お金の管理は私が行っているため)
確かに「TENTAL」で借りた用具はコンパクトにまとまっており、1LDKの部屋にも収まりそうな気配は感じた。しかしクローゼットはパンパン。いろんなゲーム機で埋まっていた。

キャンプ用具を買う前に整理をしてからと指示を出すと、あっという間にリサイクルなどに出してびっくりするほどスペースができた。
もう文句は言えないので、最低限必要な用具を買うことに。
すると買ったワンポールテントを広げてみたいとプレゼン。
熱中症警戒すべき日にデイキャンプへ出かけたのだ。これもプレゼンの一つ。テントのほかに日よけとなるタープが欲しいという体験型プレゼンだったのだ。

そして明日、買ったタープは届く。
ついこの前まで、オンラインゲームにハマっていた夫。
最近、家では「おやじキャンプ飯」の動画を見たり、ロープを編んだり、麻ひもを解いて丸めたりしている。

「なにごとも50%でいいんだ」

キャンプ地から帰宅する道中で夫はそう言った。
自分でもいろんなことに手を出しては放置していることに気が付いていた。
そしてそのことを自分で受け入れていた。

その言葉に、ここ数年(もしかすると小さい頃から)何を始めても投げ出してしまう自分が救われるような気がした。
直近で言えば、シナリオを勉強していたとき。
作家集団に所属することを見据えていたのに、基礎科で辞めた。
もっと昔で言えば、ピアノを習っていたとき。
ピアノを買ったからにはピアノの先生にならなければと思い、高校卒業するまで習い続けていた。

いまだって、そうだ。
小説を書いているからには小説を応募しなければならない。
売れるように小説を書かなければならない。もちろんそれが仕事ならば、目標を達成しなければならないが、自分が好きでやっていることだ。

自分が楽しんでやることが、大切。
楽しくなければ、辞めればいい。そして辞めなくても放置でいいのかもしれない。
それでも続けられていることが本当に好きなことなのかもしれない。

焚火に火吹き棒で息を吹きかけている夫は心から楽しそうだった。
煙が自分の方向に吹きかかってしょっぱい表情になっても、笑顔は絶えなかった。


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