マガジンのカバー画像

浜松の弁護士望月彬史のノート

36
よろしくお願いします。 県弁護士会浜松支部所属(渥美利之法律事務所) 電話053‐453-1034(電話での相談及び無料相談は行っておりません。ZOOMとスカイプでの有料相談対応)
運営しているクリエイター

2016年3月の記事一覧

フランスの相続に関する国際私法規定について

<ロースクール生(国際私法選択者)向け> EU相続規則がフランスでも昨年の8月15日から発効しております。 例えば、日本に住所を有するフランス人が日本で死亡し、日本国内で相続が問題となる場合、EU相続規則も問題になるのですが、これについては最後に述べます。 このノートでは、それ以前のフランスの国際私法のルールについて述べたいと思います。 1 EU相続規則発効前のフランスの国際私法について (1)原則として被相続人の最期の住所地というルール これは

<ブラジル国際私法の相続規定について>

(法曹関係者向けです。) <ブラジル国際私法の相続規定について> ブラジル民事施行法(国際私法)第10条1項は、相続の準拠法を、財産の所在にかかわらず、被相続人または不在者の住所地の国の法によるとしています。 そこで、日本に住所を有するブラジル人が死亡した場合、 1 日本の国際私法では、被相続人の本国法であるブラジル民法が準拠法(通則法36条) ↓ 2 しかし、1で述べたとおり、この場合、本国法が準拠法となる場合ですので、 ①指定されたブラジルの(民法ではなく)

ギリシャ国内における人際私法「的」な法適用について

<法曹・司法試験受験生向け> 何かと今話題のギリシャですが、日本と同様に単位法律関係に対して準拠法を決定する国際私法規定があります。 日本で言う「法の適用に関する通則法」に相当する法律自体はないのですが、 民法4条から33条やEU規則(ギリシャがEU抜けたらどうなるんでしょう?)等に国際私法規定があります。 (なお、国際民事訴訟法に関する規定は民事訴訟法3条から6条、22条から41条、外国判決の承認等については323条、780条、903条等にあります。) また、ギ

<リトアニア国内におけるリトアニア人の離婚について>

0 はじめに(日本の出版物について) 日本加除出版の「全訂渉外戸籍のための各国法律と要件下巻」665頁においては,リトアニアにつき,1967年に採択された家族・婚姻法の一部改正されたものが有効とされているという記述がありますが,これは過去の情報です。 現在ではリトアニア国の民法第3章(家族法)部分がこれを規定しています(Valstybės žinios(公刊)2011年 №118-5564)。また,手続については,民事訴訟法(同 2002年 №36-1340)

トルクメニスタンには国際私法規定はない??(平成29年4月28日一部追加)

トルクメニスタンは(旧ソ連の国で、カスピ海に面しています。)なかなか面白い国で、大統領のほぼ独裁です。1代前の大統領は、口パクを「法律で」禁止したことでも有名です。 議会議員は大統領の承認を得る必要があり(wikipedia),事実上一党独裁ですのでそのような立法も簡単にできるわけです。 そんなトルクメニスタンの民法典は、その名も「サパルムラト=ト(ゥ)ルクメンバシュ=トルクメニスタン民法」です。1999年に制定され、2000年1月1日に施行されました。この長い民法