ギリシャ国内における人際私法「的」な法適用について
<法曹・司法試験受験生向け>
何かと今話題のギリシャですが、日本と同様に単位法律関係に対して準拠法を決定する国際私法規定があります。
日本で言う「法の適用に関する通則法」に相当する法律自体はないのですが、
民法4条から33条やEU規則(ギリシャがEU抜けたらどうなるんでしょう?)等に国際私法規定があります。
(なお、国際民事訴訟法に関する規定は民事訴訟法3条から6条、22条から41条、外国判決の承認等については323条、780条、903条等にあります。)
また、ギリシャには、インドなどのように、宗教等で適用する民法が変わる(人際私法)というルールは原則としてありません。
原則として…
ということで、その例外、2つについてノートにします(これは一部ツイッターでもつぶやかせてもらいました。)。
1つ目、<ユダヤ教徒について>
第二次世界大戦中に迫害され死亡したユダヤ教徒の相続人に対しては、特別法による規定が適用されます(1946年法846)。
また、家族法についても特定のルールがありましたが、現行のギリシャ民法施行法6条により、廃止されました。
2つ目<イスラム教徒について>
イスラム教徒については、一部シャーリア(イスラム法)の適用が現在もあります。
とりわけ家族法と相続法です。そしてその要件としては
当事者が全員が西トラキア地方に永住しているイスラム教徒であることです。
(これは歴史的な背景があるそうです。西トラキア地方はトルコに接しているということも。当事者片一方だけではダメ、というのは同国の(イスラムではない普通の裁判所の)裁判例です。)
そしてイスラム法は聖職者(ムフティ―)が適用します。相続、婚姻、離婚、親権、未成年監護、遺言等は彼らが管轄を持ちます。
裁判は無論同国内で承認可能です。(民法施行法8条2項等)
余談ですが…
1 ムスリムかつ西トラキア地方に住んでいても養子縁組や認知はギリシャ民法が適用されます。
(これイスラム法のせいですよね。養子基本NGでしたっけ?)。
2 イスラム法特有のタラーク離婚や重婚はギリシャ法上の公序で排斥されるようです。
3 とあるギリシャ家族法の本にはこのムスリムのくだりが一切ないです…
4 ギリシャの民法典はもろパンデクテン方式ですので日本の法曹にはなじみやすいかもしれません。
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