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ちくわちゃん、自分との再会:前編

お調子者で、すぐに調子に乗る。いつものちくわちゃんだ。なんの不思議もない。むしろ「今日のちくわちゃんは控えめなのでは?」とみんなが思っているくらいだ。そんなことが日常だった。

ある時から、ちくわちゃんは周りの目を気にするようになった。むしろよくこれまであんな風に無神経に振る舞ってこれたなと恥ずかしく思うようになった。昼休みのチャイムと同時に、一斉に校庭に向けて走り出す。

誰よりも早く校庭に出て陣地取りをする。放課後は、学校の隣の公園でサッカーだ。いつもちくわちゃんはみんなの中心で、遊びの時はどんな遊びでも大活躍。それが当たり前だったのだ。

いつも勝つことに拘っていた。勝負事には絶対に負けたくない。いつも全力投球。一生懸命だった。ついやり過ぎてしまって、家に帰ると疲れ切って寝てしまう。起きるともう寝る時間で、でも宿題が終わっていない。

「ほどほどにしたらいいのに。」とよく親には言われたものだ。加減を知らない。ついやり過ぎてしまう。セーブするとか、後のことを考えるとかそんなことは知らない。目の前で起きていることが、今が全てだ。

ちくわちゃんはそんな小学校時代を過ごしていた。初耳かもしれないが、ちくわちゃんも小学校には通っていたのだった。勉強といったら、いつも「何を入れようか、どんな味にしようか。」とあれこれ考えていた。

ちくわの学校には、大きなちくわも、小さなちくわも、細長いちくわも、太いちくわも、いろんなちくわがいた。ちくわちゃんは、至ってシンプルな特に特徴のない平凡なちくわだった。

自分で選ぶことはできず、気づいたらそうだった。強いてゆうなら頑丈で、柔軟性と瞬発力はそこそこあった。だからみんなで遊ぶ時には、そこそこ目立つことも、注目を集めることもできたのだった。

友だちに、ちょっと変なことをやってみる。そうすると注目が集まる。調子に乗って、また面白いことをやろうとする。そして、その場では面白いことが起こる。何事も楽しくやるのは大事だ。

だけど一体どうやっていたのか、今のちくわちゃんにはわからない。思い出すことができない。ただ遊びの中心にいたというだけで、ただそれだけだったのかもしれない。

(中編へ続く)


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