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ちくわちゃん、自分との再会:中編

悪戯好きで、ふざけることだってあるちくわちゃん。いつの間にか、そういう自分を出す機会が減っていった。出さないようになったというよりは、そういう機会がなくなってしまったのだった。

どういう時が楽しいか。どういう時に嬉しいか。どんな時に面白いと思うか。他人にはしょうもないことであっても、ちくわちゃんにとっては重要で、いたって真面目だ。なりふり構わず真剣だった。

目立ちたがり屋で、頑張り屋なちくわちゃん。根は真面目だけど、悪戯も大好きなのだ。そして、負けず嫌いだ。それなのに、いつからか負け癖がついてしまった。

やる前からあきらめている。ある時から、自分を客観的に見るようになった。白けている自分。気恥ずかしいと言うか、いつもどこかでもう一人のちくわちゃんが、冷静というよりは、冷めた感じで傍観している。

いつの間にか「ほどほどにしたらいいのに。。。」のまさにそのいい頃合いのところでセーブするようになった。調整することを覚えたのだった。側から見たら、自己管理ができているとも言えるような感じだ。

でも、本当はとてつもない破壊力を持っている。力が有り余っている。エネルギーを使い切ることなく、持て余してしまっている。自ら発揮するという機会も作らないから、本当はあるのにないことになっている。

今は全くもって使っていない。使う機会がないことを言い訳にして、自らでは出そうとしない。いつもどこかでストッパーをかけてしまっている。そして、自然にやっていたことをやらなくなった。

本当はやりたいと思っている。それなのに発散し切っていない。いつの間にかやらなくなったのだ。むしろちくわちゃんは、自分の存在を消すようなそんな態度を取るようになった。

いつしかクラスの中でも、メンバーの中の1人でしかなくなった。それまでは、世界がちくわちゃん中心に回っているのではないかと本気で思っていた。そう信じていた。

でもそれが幻想であることに気づいた。勘違いだったことに気づいたのだった。ふと我に返ったちくわちゃん。それ以来、中心ではない存在の仕方を獲得したのだった。

(後編へ続く)


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