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【学振DC1/DC2/PDの獲得を応援】2007年学振DC1に採用された自己評価欄を公開

2006年に書いた「古い」ものなのですが、有料(100円)で公開します。

ただし、古いですが、読むことで2023年の「いま」学振の申請書を書いているひとたちにも参考になる、と思っています。
それは自己評価・自己分析という欄をどのように考え・書いたらいいかを説明しているから、応用が効きます。

それから、「異様な文章」というのが読んでみたいという(奇特な)方にもオススメできます。

筆者は学振DC1に加えて、学振PD(1回)と海外学振(2回。うち1回は学振PDと内定重複のため辞退したもの)に採用された経験があります。

2007年採用と2024年採用の欄は異なっていますが、本稿ではその差異を比較することで、自己評価・自己分析欄が要求している記述の本質をあぶりだすようにしています。

博士課程進学するのではなくても、本記事は大学生・大学院生が就職活動をするのに研究経験をアピールしながらエントリーシートを作成するうえで今でも参考になるのではないでしょうか。

それでははじめましょう。

自己評価とはなにか

「自己評価」においては、

  • 自分は研究をしてきました

  • こう思ってきました

  • 出来ます

  • したいです

  • だからやります(お金ください)

ということを書きます。

要するにこれは、ひとつの決意表明だと考えればいいでしょう。

だとすれば、どういう決意が必要なのか。

要するにエントリーシートだけど

学術振興会特別研究員というのは、博士課程(博士後期課程)の大学院生、それからポスドクを対象とした「お給料+別枠の研究費」です。

DC1では(お給料240万円税込 + 研究費数十万円)x3年間=900万円以上の国家予算が使えます。
その給料と研究費に見合った人材であることを出願者は一生懸命アピールすることになります。

もともと大学院生というのは(当然修士課程であっても)一定の知的生産を課せられる「仕事」ですね。確かに金を払っているのだけれど、業績は求められる。

就職活動をやってみると「エントリーシート」(ES)というものを山ほど書かされることがわかります。その内実は「志望動機」と「自己紹介」だというのが『面接の達人』などの(すくなくとも15年前の)就活本の定説でした。

確かに、自分が企業の側だとして、知りたいのはその2項目です。

きちんとした人が、ちゃんと「この」仕事をやってくれるのだろうか? ということを宣言するものです。

(逆にいえば「いや、キミ、やるって言ったよね?」という採用側がとりたい言質げんちでもあります。)

学振の自己評価欄というのもこれによく似ています。というか、ほぼ同じものだと考えればいい。

何を書くのか

2024年度採用特別研究員の自己分析フォーマットは「4. 【研究遂行力の自己分析】」「5. 【研究遂行力の自己分析】」となっています。

4.【研究遂行力の自己分析】各事項の字数制限はありませんが、全体で2頁に収めてください。様式の変更・追加は不可。 本申請書記載の研究計画を含め、当該分野における (1)「研究に関する自身の強み」及び (2)「今後研究者として更なる発展のため必要と考えている要素」のそれぞれについて、これまで携わった研究活動における経験などを踏まえ、具体的に記入してください。
[・下記(1)及び(2)の記入にあたっては、例えば、研究における主体性、発想力、問題解決力、知識の幅・深さ、技量、 コミュニケーション力、プレゼンテーション力などの観点から、具体的に記入してください。また、観点を項目立てするな ど、適宜工夫して記入してください。]
[なお、研究中断のために生じた研究への影響について、特筆すべき点がある場合には記入してください。 ]
(1) 研究に関する自身の強み
[・記述の根拠となるこれまでの研究活動の成果物(論文等)も適宜示しながら強みを記入してください。 成果物(論文等)を記入する場合は、それらを同定するに十分な情報を記入してください。]
[(例)学術論文(査読の有無を明らかにしてください。査読のある場合、採録決定済のものに限ります。) 著者、題名、掲載誌名、巻号、pp 開始頁-最終頁、発行年を記載してください。]
[(例) 研究発表(口頭・ポスターの別、査読の有無を明らかにしてください。) 著者、題名、発表した学会名、論文等の番号、場所、月・年を記載してください。(発表予定のものは除く。ただし、発表申し込みが受理されたものは記載してもよい。)]
(2) 今後研究者として更なる発展のため必要と考えている要素

5.【目指す研究者像等】※各事項の字数制限はありませんが、全体で1頁に収めてください。様式の変更・追加は不可。 日本学術振興会特別研究員制度は、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的としています。この目的に鑑み、(1)「目指す研究者像」、(2)「目指す研究者像に向けて特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ」を記入してください。

(1)目指す研究者像 ※目指す研究者像に向けて身に付けるべき資質も含め記入してください。

(2)上記の「目指す研究者像」に向けて、特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ

2024年度申請書では3ページ要求されています。申請書を書き慣れない多くの若手は、ちょっとこれでは何を書いたら良いのかわからないかもしれません。

ちなみに、17年前。2007年度採用の「自己評価」欄の指示には、こう書いてありました。1ページです。

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