マイクロブタカフェ

僕のバイト先の近くにマイクロブタカフェなるものがある。
その名の通り、普通より小さいサイズのブタさんを愛でるカフェのようだ。
いわゆる猫カフェや犬カフェのようなものである。
そういえば、マイクロブタカフェの近くで猫カフェの宣伝が入っているティッシュを配っているお姉さんがいる。
訳の分からない地域だ。

以前まで僕の知っている動物系のカフェの最先端はフクロウカフェだったので、最先端記録が更新されたことになる。
フクロウよりもマイクロブタの方が先端なのかは知らないが。

僕はこのマイクロブタカフェに入ったことはない。
いつも横目でチラッと見るだけである。
休日になると人が並んでいたりする。
なかなか繁盛しているようだ。
並んでいる人を見ると、休日の主な客層は子連れの家族のようである。
ベビーカーを押している人や赤子を抱いている人をよく見る。
その赤子を見るとき、僕はいつも


マイクロ人間やん。


そう思ってしまう。
どんな赤子にも常にそう思うわけではない。
マイクロブタカフェという奇異な空間の前にいる赤子をそう思ってしまうのである。
また、マイクロ人間を連れているのはジャイアント人間だということになる。
行列はマイクロ人間とジャイアント人間で形成されている。

おそらくジャイアント人間はマイクロ人間とマイクロブタを戯れさせたいのだろう。
そして、その様子を見て我がマイクロ人間の可愛さにジャイアント笑顔を浮かべることだろう。
それから、マイクロ人間とマイクロブタの戯れを、マイクロチップの埋め込まれているスマートフォンで写真に収めるだろう。
そして、その写真をSNSにアップして、いいねを集めたいというジャイアント下心でお店に並んでいるのかもしれない。

ジャイアント人間のジャイアントエゴに付き合わされるマイクロ人間。
マイクロ人間もマイクロため息をついているのかもしれない。

そして、ジャイアント人間のマイクロ人間自慢のダシに使われてしまうマイクロブタもたまったものではないだろう。

可哀想に。

僕はマイクロ人間とマイクロブタの苦悩にジャイアント同情を寄せて、マイクロ歩幅でバイトへと向かうのである。

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