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顧客主導でB2B購買が進む時代に向き合う「インテントセールス」と「インバウンド商談」

現代のB2Bセールスにおいては、営業とお客様の接点や求められている役割が急速に変化しています。今回の記事は、Sales Markerが主催する「インテントセールスアドベントカレンダー」への寄稿になりますが、B2Bのバイヤージャーニーが急速に変化する中で「お客様の興味が高まっている瞬間を逃さない」ことの重要性において、immedioとSales Markerは根底では繋がっていると考えています。


B2Bのバイヤージャーニーの変化

①商談が発生するタイミングの変化

グローバルのコンサルティング企業であるKorn Ferry社による調査結果を見ると、ここ数年でB2B購買における初回商談のタイミングが遅くなっていることが分かります。

Korn Ferryの調査結果①

2018年の時点では、「何が欲しいか分かっていないが、営業されたから話を聞く」というケースが最多でした。しかし2021年時点では、「ソリューションの特定」のタイミングが最も多くなっています。さらにその後の「不明点の解決」で初めて商談をするケースも有り、ほとんどのプロセスを顧客側で終えるケースも増えています。また同じ調査内で、顧客が購入検討時に何を情報源としているかまとめたデータがあります。

Korn Ferryの調査結果②

グラフを見ると、専門家の意見やコミュニティが頼られていることが分かります。国内だとFacebookやX、海外だとLinkedInやSlackなどでのコミュニティでの会話が活発になり、情報を気軽に取得できるようになっています。その結果、購買時に必要な情報を営業に聞く人が減っているのです。

ベンダーに聞かなくても情報収集ができるので、リード化する前の所謂「アノニマス(匿名)」状態で行われる調査が増えていて、マーケターからは見えないところにお客様の行動が広がっているわけですね。ここは、Sales Markerの小笠原さんもおっしゃっているポイントです。

②顧客との接点の減少

皮肉な話ではありますが、顧客が自分で調べる傾向が強まる中で営業の現場でおきているのは、執拗な追客の増加です。メールや電話が発信しやすくなるツールの広がりから、インサイドセールスが1人の顧客にアプローチする回数が増えている一方、実際に顧客と会話できる機会は減少しているという結果がでています。

Bridge Groupの調査から

便利なツールが増えるほど顧客の受信ボックスは溢れて、送付したメールも埋もれていきます。加えて、顧客が既に調べている内容や知っている情報を展開している可能性もあり、顧客と営業の間にギャップが生じていることも多いでしょう。

新しい購買プロセスに対応するための「インテント」との向き合い

顧客が自分で調べる時代において、マーケティングと営業に求められることは何でしょうか。私は顧客の課題が潜在から顕在に移行する過程の「インテント」の変化を捉え、適切なアクションを取ることだと考えます。

顧客の購買意図の立上りを捉える「インテントセールス」

お客様の調査行動は、特定のキーワードや自社サービス名をWeb検索している、レビューサイトで自社サービスの口コミを見ている、と言った行動に現れます。こういった「インテントデータ」を取得し、お客様が今興味がある/ありそうなことを捉えにいくことが重要です。この分野を日本でリードするのはSales Markerです。同社ではこうした顧客の購買意図を伴う行動データ(インテントデータ)を取得し、最適なタイミング・内容で顧客にアプローチすることを可能としています。

ちなみに、インテントデータ活用した営業手法がインテントセールスと呼ばれはじめたのは比較的最近のことだと思いますが、思い返すと、私はSansanに勤めていた時から、インテントセールスを実践していました。特に私が活用していたインテントデータは「役職者の異動情報」です。異動が発生すると、方針の変化など何か動きが発生しやすくなります。直接的には興味関心を示されているわけではないが、「ニーズが発生しやすくなる」ことを類推できる間接的なインテントデータですね。

商談した方のお名前や会社名などをGoogleアラートに追加し、何か動きがあった際に検知できるようにしていました。また、SansanやEight、LinkedInなどからも役職者の移動情報を得ることができるので、それらをうまく活用して商談相手が昇格や異動したタイミングで連絡をとっていました。商談された方が会社の代表になったことを検知したのでお祝いのメッセージをお送りしたところ、その2週間後に受注した、ということもありました。顧客の行動を待つだけではなく、このようなインテントデータを取りに行くことも重要だと感じました。

購買意図がピークに達した瞬間を逃さない「インバウンド商談」

次に、お客様が資料請求やお問合せしてくださった瞬間を「絶対に取りこぼさない」ことが重要になります。お客様が「今、知りたい」と思ってお問い合わせを頂けたということは、最も強力なインテントが立っている状態なので、受注率が高いタイミングのはずです。実際に、こうしたインバウンドのリードから獲得した商談は、アウトバウンド商談と比べて受注率が2倍程度高いことが分かっています。

インバウンド商談の受注率はアウトバウンドの2倍

ではなぜ今も多くのB2B企業が確度の低いアウトバウンド活動を続けているのでしょうか?それはインバウンド商談は数が少なく、営業の力で増やすのが難しいと考えられているからです。ここに面白いデータがあります。インバウンドリードからの商談化率は日本の平均が25%となっており、世界水準の半分。つまりインバウンドリードが少ないのではなく、そこから生まれるインバウンド商談が少ないのだと言うことが分かります。

日本のインバウンドリード商談化率は世界の半分

私は前職Sansanでインサイドセールスの責任者をしており、この点を課題に感じていました。調査データや海外の情報を収集する中で、こういった商談の取りこぼしが起きている理由は大きく4つほどあると考えており、私はこれをインバウンド商談を取りこぼす「4つの罠」と呼んでいます。

インバウンド商談を取りこぼす「4つの罠」

当社のimmedioはこのインバウンド商談の「4つの罠」を回避し、受注率が
高いインバウンド商談を取りこぼさないための仕組みづくりを支援するサービスです。土日夜間も受注率が高い商談のみをWebサイト上で設定してくれる「商談の自動獲得」機能を中心に、インサイドセールスのリソースが限られている状況でも確実に商談を獲得できる機能が詰まっています。

インバウンド商談SaaS イメディオ

直近では才流代表の栗原さんがイメディオの導入効果についてXで投稿して頂き、非常に多くの問合せを頂きました。

営業主体の時代から「顧客起点の営業」の時代へ

購買行動における商談のタイミングが遅くなっていること、そして顧客と営業の接点の変化から読み取れるのは、営業が提案しお客様の購買行動を主導する時代から、「お客様自身が購買を主導する」時代が来ているということです。営業は、この変化に合わせた売り方を編み出す必要があります。

バイヤージャーニーの変化に適合することが出来ないと、営業の生産性はどんどん落ちていくと考えています。ニーズがあるかどうかもわからない相手にメールや電話を当て続けることは時間の使い方としてもったいないと思いますし、お客様の「今!」というタイミングに営業が適切にアプローチできないことは大きな機会損失です。

マッキンゼー「日本の営業生産性はなぜ低いのか」

上記はマッキンゼーのレポートからで、日本の労働生産性は主要先進7カ国の中で最低となっています。同レポートでは営業生産性(営業担当1人あたりの利益)も同様に相対的な低さが目立っており、人口減社会を迎える日本において改善が急務とされています。そのような中、顧客の「インテント」が変化した瞬間を捉えることでより効率的に受注を獲得する「インテントセールス」と「インバウンド商談」の重要性は今後更に上がって行くと考えています。Sales Markerさんには既にimmedioを活用頂いていますが、これからも一緒に新しい営業のあり方を提起するような活動を続けていければと考えています。