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それでも道を尋ねられる

日本にいる頃、よく道を尋ねられた。思えば小学生のときから(田舎に住んでいたので道を尋ねれる大人が周りを歩いていなかったからかも)。でも、方向音痴なので道を尋ねられてもうまく説明することはできない。

自分が道に迷っているときにも尋ねられたことがある。「私も道に迷っているんです!!」と、そのときは言えず、「わかりません」とだけ言って終わりにした。「私も道に迷っているんです!!」と言うと、一緒に道に迷っているところから抜け出せたかもしれない。

トルコに来てからも何度か道を尋ねられたことがある。私の後ろにトルコ人が歩いているにもかかわらず、私に道を尋ねてくる。場所はわかっていても説明ができない。日本語でも説明がうまくできないのでトルコ語なら尚更だ。尋ねられて少しパニックになっているので、目と鼻の先にある目的地の場所も説明できない。結局、その人はまた別のトルコ人に尋ねることになる。

日本に住んでいたら、外国人が日本人に道を尋ねることはあると思う。でも、日本で日本人がわざわざ外国人に道を尋ねることがあるだろうか?

私の顔の彫りは深くない。道を歩いていても、「日本人、日本人!!」とか「中国人だ!!」と子供たちに言われる。

日本と比べて他の民族が混ざっている国だからあまり気にしないのか。にしても、わざわざアジア人顔の私に声を掛けなくても良いと思う。

最近も尋ねられた。ベンチが三つ並んでいて、おばあさんが向こう側から歩いてくる。私はおばあさんが歩いてくる方向から最後にあたるベンチに座っていた。それまでのベンチには二つとも人が座っていた。にもかかわらず、おばあさんは私に尋ねた。

「この辺でPoğaça(ポアチャ・トルコ風スコーン)売っている所ある?」

だから、私に尋ねないで欲しい。


 

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