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ネイティブ・ジャパニーズからの贈り物

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ネイティブ・ジャパニーズ探究家 亀山理子が東北の小さな浜からお届けするLIFEマガジンです。土地に根ざし、自然とともに暮らすネイティブ・ジャパニーズから教わった知恵や学び。自身の…
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#地方

#12 ネオ・ネイティブ・ジャパニーズのすすめ(中編)

 前回の記事からつづいて、今回は、都市部から蛤浜に通う中でネイティブ・ジャパニーズの知恵にインスパイアされ、それぞれの分野の特技・興味を生かしながら次世代の豊かな生き方を目指している「ネオ・ネイティブ・ジャパニーズ」の一人・YUKI☆さんをご紹介します。 ITコンサルタント×猟師×里山づくり  東京在住のYUKI☆さんは、東北プロボノプロジェクト(プロボノとは:社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや経験を活かして取り組む社会貢献活動)をきっかけにかれこれ7年以上蛤

#6 希望をつなぐ(中編)

 前回#5では、結城登美雄先生のお話と、はまぐり堂の取り組みについて、地元のお父さん・お母さんたちと共有する機会をいただいたお話を書きました。それを通じて、みんなで未来の子どもたちへ"足元の宝もの"をつないでゆくために、世代を超えた協力の場を作っていこう、という取り組みがいよいよスタートしました。  2021年11月。取り組みの第一歩として、地元のお母さんたちと一緒に、はまぐり堂で体験ツアーを開催することになりました。  お母さんたちに季節の恵みを生かした家庭料理を持ち寄っ

#5 希望をつなぐ (前編)

 前回#3、#4でご紹介した、サステナブルデザイン工房さん主催の「石巻のもう一つの宝を見つける」をテーマとした地域の学習会。  私たちが初めて参加させていただいたその翌月の会では、ゲスト講師の結城登美雄先生から参加者の皆さんへ向けて、次のような提案をいただきました。 「これからの地域づくりを考えたときに、食べものをベースに置きながら、次の世代がやっていける、そんな方向も見据えて、みなさんが積み上げてきた経験と知恵と…いろんなものをぜひ、アドバイス、リレーさせていただければと

#3 足元の宝ものを見つける(前編)

 前回#2でご紹介した、学生時代に私が本を通じて大きな影響を受けた民俗研究家・結城登美雄先生。それから十数年の時を経た2021年5月、ひょんなご縁から、初めて結城先生ご本人とお会いするという、とても嬉しい機会をいただきました。  石巻でリサイクリエーション活動を行う「一般社団法人サステナブルデザイン工房」さんが主催する、地元の人たちのための学習会。そこに結城先生が講師としてお話に来られるのでぜひ参加してみませんか?と、知り合いの方から声をかけていただいたのがきっかけでした。

#2 食べることは生きること(後編)

 前回の#1では、「健やかに食べ、生きること」を求めてあらゆる食にトライした学生時代の私が「食の迷子」になった末、本を通じて江戸時代の食医・石塚左玄先生に出会ったことについて書きました。  今回はもう一人、私の食にまつわる探究に大きな影響を与えた東北の民俗研究家・結城登美雄先生の本との出会いについてお話しします。  結城先生は1945年山形生まれ。広告会社の仕事を経て、40代の終わりから東北各地の農山漁村を訪ね歩くフィールドワークを続けて、地域の人々の声を拾い集めながら地域

#1 食べることは生きること(前編)

 今回は、なぜ私がこんなにも長い間ずっと、ネイティブ・ジャパニーズという生き方に惹かれ、探究し続けてきたのかについて、少しお話ししたいと思います。  一つめのきっかけは、前回の「はじめに」の回でも触れたとおり、学生時代に文化人類学や民俗学に興味を持ち、先住民族の人々の生き方や知恵に興味を持ったことでした。  そしてもう一つの大きなきっかけは、学生時代に、「食」についても興味が出てきたことにあります。  当時はちょうど、子育ての終わった私の母が一念発起して専門学校に通い鍼灸