2026サッカーW杯アジア最終予選に武者震い~サウジ、豪州との激闘の歴史


いよいよ組合せが出たようです。


何度も見てきた競合相手、サウジアラビア、オーストラリアと同組ですか。3大会連続の対戦相手ということで、好敵手と言わねばなりません。日本にとっては、難敵です。


日本にとって悪夢の相手が豪州(オーストラリア)で、世界基準と言われた中田英寿(セリエAを日本人で初めて実現した)を擁する当時の最強メンバーで挑んだ06年ドイツ大会の初戦で当たったのが豪州だった。

後半30分過ぎまで日本が中村俊輔のゴール(センタリング気味に上げたボールが大きくなりラッキーでゴールしたっぽい)で1-0でリードしていたが、190センチを超す大型FWケネディ(その後、Jリーグでもプレーした)を投入され、シンプルなロングボールを入れるパワープレーを実行された。そして、後に「日本キラー」と呼ばれる天敵ケーヒル投入で、僅か10分足らずでハットトリックの3点取られて1-3の逆転負けを喫したのである。


日本サッカー界に、苦手豪州のトラウマが生じたのも無理はない。それまで豪州はオセアニア予選に出て常勝だった為、他の国々が強すぎの相手に勝てず出られるチャンスがないということで、豪州はアジア予選に回ることになったのである。だから予選で対戦することになったのだ。

当然強い。その後にも予選で豪州に当たると一度も勝てたことがなかったのである。それほど日本にとっては、厄介な相手だった。


サウジアラビアは、韓国と並ぶアジアサッカー界の古豪で、日本などより昔からW杯出場レベルの強豪だった。甲子園とかインターハイの常連伝統校みたいなものだ。日本サッカーは、それに比べ新興勢力だったのである。


さて、背景情報はこれくらいにして、過去2大会のアジア最終予選の激闘を振ってみよう。


まず、2018年大会。
ハリルホジッチ監督体制で、マスコミとのコミュニケーションも少な目だった為、戦術がイマイチよく分からないとか、システムが理解できない(旧来の特定の有名レギュラーを固定化して戦わせる、みたいな単純サッカーではなかったので、マスコミのサッカー担当の殆どが理解できてなかった)ので、監督批判は結構あった。


で、アジア最終予選の初戦ホームゲームで、UAEに0-1の敗北スタートとなる。当然、ハリルジャパンへの批判も高まり、不安視されていた。当時、主力に本田圭佑がいたが、ハリル監督は本田や香川だけを先発で重用していたわけではなかった。そういうのも色々とあったのかもしれない。

で、最悪のスタートとなったが、タイやイラクに辛勝し、難敵豪州とのアウェー戦を迎えた。当時代表の窮地を救ったのが必ずしもレギュラーではなかった原口(どちらかと言えば守備を頑張れ、と期待された)で、3試合連続ゴールで先制点を奪取するも、PKで同点とされた。とりあえず負けは防げた。


次は絶対に負けられないホームゲームのサウジ戦で、ここでも原口の4試合連続ゴールもあり、勝利して終えることができた。
後半戦に入り、初戦で不覚をとったUAE戦とタイ戦で順当に勝利し、イラク戦は引き分けたものの、続く豪州とのホームゲームで遂に初勝利を挙げることができたのである。

長かった。10年以上に渡り、一度も勝ててかった相手に、ようやく勝利できたのだから。当時、それまで出番の少なかったFWにもかかわらず起用された浅野が、大舞台で先制し2-0の完勝をもたらしたのである。DFラインの裏にギリギリのタイミングで反応した浅野が、ごっつぁんゴールをゲットしたのだ。
この試合まで、日本代表は一度も豪州に勝てたことがなかった、それが現実であったのだ。それを打ち破る日が遂に訪れたのである。

この日の勝利で日本は2018年W杯出場を決めた。本大会前には、監督更迭問題が勃発(恐らくスポンサー?とか誰を出すとかカネ目の話?)し、急遽西野監督が就任し、直前強化試合でAチーム・Bチーム的な選別が行われた。本田圭祐を中心とする、細かくつなぐシステムは封印されることとなった。

幸運に恵まれ、恥の試合(ポーランド戦)もやってトーナメントに進出できたが敗北した。スペクタクル感では日本代表過去最高の試合、それがベルギー戦だった。

当時、ベルギーは世界ランクが1位も記録したこともあるくらい、公式戦で圧倒的な勝利を誇り、日本と対戦時でも3位くらいだった。下馬評では大差でベルギー勝利と目されたが、弱小国の日本が意地を見せた。戦術で工夫すれば少しは対抗できる、そう思わせてくれる試合だった。

前半を耐えて0-0で折り返す。圧倒的攻撃力の前に、日本は大した攻撃を出せない。が、後半、柴崎のカウンターから原口が落ち着いて切替しての、相手DFをかわし、世界的名手GKクルトワの手が届かぬゴールを決めた。その後、テクニシャン乾の無回転ミドルが横っ飛びクルトワの脇を抜けた時は、勝てると思ったね。

だが、神様は試練を与えた。その後又してもハイボール攻めで2点取られ、ロスタイムには伝説の「ジェットストリーム・アタック」をベルギーゴール前のクルトワから電光石火で決められて、日本代表は散ったのだった。

大会全体を通しては、協会や西野監督(采配)に思う処はあったが、世界トップ3相手に、本気モードのトーナメントで史上最高の試合をしてくれたと思っている。
あと一歩まで追い詰めた日本のサッカーは、それまでの「世界には通用しない・フィジカルが違う・1対1で勝ていない」というような諦めからの脱却だった。勝てる可能性を感じさせる、そういう素晴らしい試合だった。


その後、森保ジャパンとなって、新たな戦力も台頭してきて、迎えた2022W杯最終予選、過去最強の呼び声が高まっていた。
が、又しても初戦で敗北を喫してしまう。
前回大会でUAEに、今回はオマーンに、ホームでまさかの敗北スタートとなったのである。

続く中国戦にどうにか1-0で辛勝したものの、次のサウジ戦では0-1の敗北となり、いよいよ森保監督の更迭問題まで浮上した。3試合終わって1勝2敗では、陥落危機なのだからマスコミが騒ぐのも当然ではあった。




当方は残りを全部勝てば大丈夫、W杯に行けると励ましたが、内心ではヒヤヒヤでした。
豪州は18年大会で、日本が勝ち抜け(勝ち点20)が決まった最終サウジ戦で0-1と敗北した為、サウジが勝ち点で豪州に追い付き同点(19点)となって、得失点差で2位抜けとなった。そのせいで、大陸間プレーオフという4次予選行きとなったんですよね。結果から言えば、前回22年カタール大会でも同じく3位となりプレーオフ戦で勝ち上がってきたわけです。その苦渋を舐めたリベンジに燃えてると思うので、今回予選は厳しいと覚悟する必要があるでしょう。


で、森保ジャパンは2敗した後から、システムを4-2-3-1から4-3-3に変更し、アンカー航で、前2人に田中碧を抜擢した。これが三笘と共に、カタール大会を象徴するラッキーボーイとなった。

絶対に負けられないホームでの「天敵豪州」戦を迎えた。予選では前回の1勝が初めてで、圧倒的に分が悪い。その相手に、碧が先制ゴールを挙げたのだ。そして、前回大会同様、起用された豪州にとっての「天敵浅野」が又してもゴールを挙げるのだ。このリードを守って2-1で逃げ切った森保ジャパンは息を吹き返し、その後1点差の僅差ながら勝ちを重ねて強敵サウジをホームで迎えたのである。


前回は敗北を喫したサウジは、断トツ1位で無敗のまま日本に乗り込んできた。ここは何としても勝って雪辱を果たさねばならない。ここで当時の勝利の立役者となっていたのが右サイドの伊東で、原口と並ぶ4試合連続ゴールを叩き出したのである。窮地の森保ジャパンを支えたのは、攻撃陣では大迫(大きい相手を背負ってのボールを前に運ぶ献身はゴールと同じく何度もチームを救った)や伊東といったベテラン勢だった。サウジ戦では南野が決めて、チームの雰囲気が完全に行けるぞモードに変わって行った。


そして、運命のアウェー豪州戦。
ここを勝てば勝ち抜けが決まるが、負けたら最終戦の結果次第でどう転ぶか分からなかった。
が、苦境から立ち直ってきた森保ジャパンは、豪州の攻撃に耐えジワジワと押していった。
そして遂に「ジョーカー三笘」の登場である。0-0の後半途中から投入した三笘は、この日初ゴールを挙げたのだ。やや落胆する豪州陣。そりゃそうだ。絶対に勝たねばならない試合で、先制されたのだから。

そして、ジョーカーは容赦なく、攻撃の手を緩めなかった。左サイドで張っていた三笘にボールが送られると、稲妻のようなドリブルで相手DFをかわして、ゴール前に突進しシュートを放った。
コースは甘かったが、相手GKの手を弾いてネットを揺らした。相手GKは地面を何度も叩いて悔しがった。防げるコースに来てたからだった。だが、無情にもボールはゴールに吸い込まれて行った。衝撃の三苫2ゴール達成だった。


これが決定的な得点となり、日本は最終予選の勝ち抜けが決まった。前回大会同様、最終戦を残しての本大会出場決定だった。もしも最終戦までもつれた場合は、精神力勝負の面があるので、何が起こるか分からない。

実際、この後の消化試合となったベトナム戦では、控え主体で試合をしたら、何と1-1の引き分けに終わってしまったのだ。ベトナムは最下位で、ほぼ勝ったことがなく、勝ち点も数点しかない謂わば「弱小チーム」だったが、日本と試合をできることなど滅多にないからモチベーションは高くて全力プレーでやったのだろう。

気持ちは分かるよね。日本が強豪国と対戦カードを組んでもらう時、腕試しじゃないけどどの程度通用するか全力アタックでやってみたいと思うもんね。

そういうベトナム相手に屈辱の引き分けですよ。日本が控えメンバーって言ったって、そうそうべら棒に格差があるわけじゃなし、それでも引き分けなんですから油断大敵、という話なんですよ。その結果、サウジが1位となり、日本は2位となってしまった。


今回の同一リーグで、サウジと豪州は別格として、他の中国とインドネシアは決して侮れない相手だと思うべきだよね。

旧キャプテンの吉田麻也が言ってた「アジアの戦いを舐めるな」ということに尽きる。前回大会だって、中国戦で圧勝かと言えばそうでもなくて、辛勝だったのは現実である。
インドネシアもU23アジアカップで驚異の勝ち上がりで、ベスト4入りを果たした実力があり、天皇杯を見ても分かる通り若いチームは何が起こるか分からない。


過去2大会の反省をするなら、序盤の「メンタル面の弱さ」が露呈しての敗北や勝ち点が事前想定より取れなくて焦る、みたいな展開になりがち、ということ。

取りこぼしは許されない。
その為の準備、メンタル面の強化、試合運びの巧者ぶり、等が求められよう。日本はアジアカップで実際簡単に敗北してるので、そういう点を衝かれると考えておいた方がいい。


今更隠しようもないので言うが、ロングボール・ハイボール対策というのも想定しておいた上での事前準備が大事です。
ここの弱さはある意味伝統で、日本人相手(低身長、大したフィジカルない)の試合数を数多くやってきてるから、というのはあるが、海外経験勢が増えてそれも解消されつつある。


日本はある意味、サッカーのアジア勢の希望の星であり、フィジカルに劣るチームであっても通用するんだ、ということを体現する必要がある。それは前回大会でドイツやスペインに勝てたことだけじゃなく、本大会で活躍することが必要だ。

前回も惜しかったが、未だ16強の壁を突破できてないので、男子のバレーボールやバスケの躍進を参考にしつつ、上を目指す戦い方を成熟させて行って欲しい。


因みに、ドイツはサッカーがかつてのような「容赦なき強さ」が衰えたが、代わりにバレーボールやバスケットボールが国際大会でかなり強くなってて驚かされるよね。何かの偶然かキッカケで、突如開花することもあると思うので、日本代表も油断せず盤石の戦いで勝ち抜いて欲しいと思います。

主に大事なのは、基本プレーです。
あと、自信。
自分を信じること。

苦しい場面と思ったら、まずは基本、そして自分の得意の局面、です。


今回も厳しい戦いとなりますが、予選を勝ち抜けるよう頑張って下さい。



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