欧米ビジネス村による円安通貨攻撃は辛抱して様子を見るしかない


植田日銀は、23年10月にYCCの上限の目途をそれまでの0.5%から1.0%へ引き上げ、今年3月にはマイナス金利解除としました。

これまでの金融政策の方向性からすると、いずれも緩和状態からの「引締め」的政策変更であり、財務省による為替介入も挟んで、一時的に円安水準は23年12月末くらいの小康状態(1ドル141円程度)から、円安加速は止まりませんでした。


以前にも指摘しましたが、これは金融政策で対抗可能な領域ではなく、高度に政治的な問題と化している為、日銀には有効な手段はないと思います。



過去の通貨攻撃の事例を思い起こしてみても、短時間での度重なる金利引き上げで対抗しても、資金力に差がある場合には無効となり易い。また、現状の為替市場の支配力を有する胴元側には効果が期待できず、更なる円売り材料にされるだけかもしれないので、ここは何も動かず「待つ」を選択するしかないと思います。


例えばソロスに英ポンドを売り込まれた時も、BOEは急激な金利引き上げを発表して、利上げを連発するもポンド売りは止まらなかったでしょう?
確か1日のうちに、金利引き上げを10%と発表してもポンド売り込まれてしまい、数時間後に12%だったか15%に引き上げても大して効果はなかったんですよね?






昔は、実際に資金を大量に動かす必要があったが、現代では高度なコンピューターシステムの中に「金額を示す数字」が存在しているだけなので、胴元側の手元には現実の資金が実在せずとも、取引は実行可能であり取引結果にも反映できてしまう。

(昔の、米国で行ってた金準備の「国際為替決済」の金塊移動みたいなもの?)




これまで、植田日銀が徐々に引締め方向に政策変更をする度、失望売りだのと理由をつけて「売り材料」に利用されてきたので、グリード勢にいちいち反応するのは無駄であることを知ったわけですよね?


当方も為替介入で断固戦う姿勢を見せるべし、と言ってきましたが、ここまで来ると胴元側が激怒してて数字操作は向うの手中にあるので、何をしようとしても無意味であると観念するしかないと考えを変えましたw


今の日本の経済状況ですと、到底利上げできる環境にはないので、円安は当面様子見で、「インフレ率の高騰に対する利上げ」ということで、政策目的を通貨防衛という部分はある程度無視して、放置するよりないかと思います。



トルコも利上げすれども、通貨安は止めるのが難しかったでしょう?



トルコの場合も政治的な理由から、通貨攻撃を受け易いんですよ。




米ドル基軸通貨体制を忌避して、新たな為替システムを構築する動きは加速しており、BRICS中心の貿易決済システムなどが稼働してるでしょう?
当方はずっと以前から、それを推奨してきました。勿論、トルコにとってもその方が、通貨攻撃を緩和できるから、ですね。




ここで、カタールの話も登場してますが、日本が原油高・LNG高(ロシア・ウクライナ情勢によりユーロ圏のロシア産天然ガスが止まった影響)で高騰していた時期に、カタールとの長期契約の更新を停止した話が出てたでしょう?





あれも政治的理由であって、カタール相手だからこその、米帝側のイジメで「止めろ、そして米国産LNGを買え」と押し売りされたようなものでしょ?
だって日本は昔からカタール産LNGを購入してて、長期契約で助けて貰ってた貿易相手国なんですよ?



当方は以前からカタールこそお手本になる外交力・政治力を持つ国だと言ってたんですよ。


けど、米国に逆らう姿勢を咎められ、ビジネスの邪魔をされるという見本では?

嫌がらせや商売の邪魔をしてくるのは、米帝側の典型的工作なんですよ。だから多くの国々が米ドル体制を見限って離脱してゆく割合が増加中ですよね?


話が逸れたが、とりあえず日本の場合だとインフレ率が5%さえ超えず、高金利通貨国のような10%超のインフレが常態化という環境には依然として遠いわけです。なので慌てて利上げせねばならない状況ではないと考えます。


また、24年第1Qの海外勢は、日本国債/短期国庫証券を大幅に買い越しており、バーゲン価格での「買い漁り」を実行している段階でしょうね。日経平均の上げにしても、株式市場での買越額がそこそこあるから上昇しているわけで、本物の通貨危機であるなら、真っ先に泥船たる「日本円資産」から逃避するのが、リスクにシビアな投資家ということですからね。





通貨危機を本気で信じている投資家ならば、その国の通貨建資産を買わないし、もし持っていたら「われ先に売却して逃避」するはずでは?w


ジンバブエドルがハイパーインフレになっていた時、誰も買おうとしないから外貨不足は続くしインフレも止まらない、というようなことになるわけですよね?

なのに、どうして日本の「円建資産」たる、日本国債や日本株式を「円安期間中にほぼ買い越し」してるのか?

それは、通貨崩壊とか妄言だと思っているから、なのでは?

だって、本当に通貨暴落したら、ロシア国債・ルーブル危機のLTCM破綻レベルの二の舞になりかねないでしょう?


1ペニー/1セントの差ですら「巨大な差」であると認識している、損得勘定に五月蝿いがめつい連中が、わざわざ損失を拡大したくて通貨クラッシュ国じゃぱんの、日本円資産を買い集めてるわけじゃないでしょう?(笑)


つまりは、裏で「仕込み」ですね、と勘繰るのは当然ではないか?
だったら、反応せず泰然と放置しておくしか手はないよね。それが向うの「欧米ビジネス村」の高度に政治的な決定であり方針なのだから、日本単独でどうこうしようにも、どうすることもできないわけで。


だが、米ドル基軸体制からは続々と「逃げ出す」国々は、確実に増えている。米国債の海外勢による持ち高比率は大幅に減少したろ?





当方のツイートがこれ




どっちが八百長をやっている側なのか、というのは、少し考えれば誰でも分かることですね。


日銀を責めても、大して策はないので、ここは少し辛抱して待つしかない。

その間、大企業群が円安でウハウハとなってくれて、国内経済を牽引してくれれば、それに期待するしかない。


利上げしたらしたで、「上げ幅が足りない」とか口実にして売り込んでくる算段だろうから、「何もせず待つ」「胴元側に手を渡す」のも一つの案だと思いますね。

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