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【成果報告・上映交流会 / 後編】フーリエフィルムズ~FUKUSHIMA with BÉLA TARR(タル・ベーラ) 福島映画教室2024

全国・世界・地元から、福島県12市町村に、芸術家が集まり、滞在制作をするハマカルアートプロジェクト(経済産業省令和5年度地域経済政策推進事業(芸術家の中期滞在制作支援事業))。採択者とその活動を紹介しています。どのような人々が、どのようなアートを福島県東部の12市町村でつくろうとしているのでしょうか?
今回は、フーリエフィルムズが展開する『福島映画教室』の成果報告会・上映交流会の後編の様子をお届けします。

成果報告会・上映交流会開会

2月18日に葛尾村のせせらぎ荘にて行われたこの会には、観客、関係者、メディアなど多くの人が訪れた。7人の監督が12市町村内で撮影した映画を公開した。前半に続き、後半の3人の受講生のコメントをお届けします。

【上映作品】
⑤ロヤ・エシュラギさん タイトル(英 / 日)『Letters from Fukushima / 福島からの手紙』
⑥シュ・ジエンさん   タイトル(英 / 日)『THE GUESTS / 旅客』
⑦福永壮志さん     タイトル(英 / 日)『TALE OF COWS / 浪江ちち牛物語』


ロヤ・エシュラギさん
ロヤさんの作品は「女性」「人生」「自由」の3つがテーマの作品。

ロヤさんは「まず、このマスタークラスに協力してくださった方、タル・ベーラ監督、上映会に来てくださった皆さんに感謝を伝えたいです。最後の映画が上映されているとき、すすり泣く音が聞こえてきて、映画の力、心震えるものがあるというのを改めて感じました。この映画を撮るまでは、映画を作ることから少し離れていて、このマスタークラスに応募して、日本に来るまでの間モチベーションをあげること、なぜ映画なのか、映画からなにを受け取りたいのかを考えるようなプロセスでした。また、最初に受講者紹介をした朝日座がこのマスタークラスにおいてすごく象徴的な場所だと感じて、朝日座で作品の一部を撮影させていただきました。」とコメントした。


シュ・ジエンさん
シュさんの作品は日本の自動車整備工場で働いているフィリピン人の男性たちのドキュメンタリー作品。

「私は中国出身で日本語を話すことができないため、言語の壁を感じていました。作品を撮るにあたって、人を撮ろうと決めていたので、自分と同じように言語の壁がある人を探していました。そして、自動車整備工場で働くフィリピン人の彼らに出会いました。彼らは英語も話せるので、私とコミュニケーションもとれますし、友達になることもできました。しかし、撮影中、彼らはフィリピン人同士で話すときフィリピン語で会話することに気づきました。その時に、本当のコミュニケーションは会話ではなく、心を通わせるということに気づきました。このマスタークラスをともに受講した受講生と協力してくれた方々に感謝します。」とシュさんはコメントした。


福永壮志さん
福永さんの作品は紙芝居をもとにした原発事故により安楽死を余儀なくされた乳牛たちの作品。

福永さんは「このマスタークラスに参加する前は、映画で自分が何ができるのかをすごく悩んでいる時期でした。尊敬するタル・ベーラ監督の下で学ぶことができる機会を得ることができて本当に光栄ですし、支えてくださった運営の皆さんに本当に感謝しています。2週間で短編を作るという中で、何もゆかりのなかった福島で自分が短期間で何かを語るのは難しいと思い、すでに福島で何かを発信している方を撮影しようと考えました。紙芝居を通して活動している2人の方に出会い、撮影させていただきました。マスタークラスの中でタル監督が過去のことではなく、今の福島を、今の福島の人を見ろと仰っていて、自分も今を生きる人を撮ろうと考えていたのですが、お二方に出会い、浪江ちち牛物語の紙芝居の話を聞いたときに、特別なものを感じ撮影させていただきました。お二人の紙芝居で伝える活動のお手伝いができたことに感謝します。」とコメントした。


さいごに

今後、7人の受講生の作品については、それぞれの受講生が版権を所持し、最終調整後、映画祭に出す予定だ。
いつか、福島の人だけでなく、全国、全世界の人にそれぞれの作品が公開されることを切に願っている。

また、マスタークラスの様子を小田香監督が撮影した。その映像が富岡町の写真スタジオにて3月3日まで公開されていた。

本プロジェクトで制作した作品は富岡町にある写真スタジオ『コススタ』にて展示されていました。
展示期間:2月20日(火)~3月3日(日) 10:00~19:00展示場所:コススタ 
福島県双葉郡富岡町小浜中央262入場料 :無料