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【採択者・プロジェクト紹介】株式会社植田印刷所『Rokkoku Kitchen』~地元の暮らしと食から見つめる日常~

全国・世界・地元から、福島県12市町村に、芸術家が集まり、滞在制作をするハマカルアートプロジェクト(経済産業省令和5年度地域経済政策推進事業(芸術家の中期滞在制作支援事業)。
採択者とその活動を紹介しています。
どのような人々が、どのようなアートを福島県東部の12市町村でつくろうとしているのでしょうか?
今回は、アーティスト・イン・レジデンスのプログラムにて大熊町と双葉町を中心に制作活動を行う株式会社植田印刷所とプロジェクト内容についてご紹介します。

株式会社植田印刷所 ~地域で映画の産業を生み出すために~

株式会社植田印刷所は1905年(明治38年)創立の印刷会社。4代目代表取締役である渡辺陽一さんは、映像の仕事に就くために上京し、CM制作などのプロデューサーを行っていた。その際に今回の招へいアーティストである川内さんと三好さんに出会った。
震災の翌年に福島へ帰ってきた渡辺さんは、いわき市の地域包括ケア推進課が行っている『igoku』プロジェクトに携わり、印刷だけでなく、情報発信事業にも取り組んでいる。そこからライターやデザイナーなどの繋がりも生まれた。
「印刷物も情報伝達手段のひとつ」と語る渡辺さん。本プロジェクトのプロデューサーとして、本制作に力を入れている。本年度は、食にまつわる旅エッセイとドキュメンタリー映像を制作し、エッセイの制作者を招いて朗読会を行う予定だ。

インタビューに答える株式会社植田印刷所の代表取締役 渡辺陽一さん


食から人々の人生をのぞく旅エッセイ『Rokkoku Kitchen』

本プロジェクトは、ノンフィクション作家の川内有緒さんと映画監督の三好大輔さんが国道6号線沿いの町を旅しながら、「食」「キッチン」「レシピ」を切り口に、そこに住む人々の暮らしを紐解き、エッセイとドキュメンタリー映像を制作する。
公募によってロッコク沿いに住む人々から食にまつわる物語を綴ったエッセイを集める。さらにリサーチを通じて寄せられた、食にまつわる物語をもとに地域やそこに住む人々を訪ね、対話を通じて文章を綴っていく。普段食べているもの、調理している場所、ご自宅などに取材に行き、川内さんが書き下ろしたエッセイと共にまとめ、冊子にする。
ドキュメンタリー映像制作は、移動しながら撮影した映像や取材時の風景、取材した人へのインタビュー映像などを使用し、「食」に関する部分はもちろん、撮影したすべての映像をまとめ、「ロッコク」沿いに住む人々の「今」の生活を紐解いていく。

本プロジェクトでは、大熊町と双葉町にスポットを当て制作を行うが、国道6号線は東京都から、千葉県、茨城県、福島県、宮城県に跨る。本プロジェクト以降も『Rokkoku Kitchen』は続けていく予定だ。

双葉町の国道6号線沿いの交差点


次回は、本プロジェクトに招へいされたアーティストを紹介します。