【プロジェクト紹介】『アートと考古学国際交流研究会実行委員会』ワークショップ③
全国・世界・地元から、福島県12市町村に、芸術家が集まり、滞在制作をするハマカルアートプロジェクト(経済産業省令和5年度地域経済政策推進事業(芸術家の中期滞在制作支援事業))。
その採択プログラムのひとつ、『アートと考古学国際交流研究会実行委員会』による現地ワークショップが、2024年2月10日(土)~2024年2月12日(月)、および2024年2月17日(土)~2024年2月18日(日)の間、南相馬市小高区を中心に行われました。
今回も前半Weekのうち、『法学者"鈴木 安蔵"生家』にて行われた
「法学者の書斎にて」
――アーティスト:奥 誠之(油絵画家)
【ワークショップ内容】
書斎でほっこりこたつトークとワークショップ「絵具の地層を掘り起こす」
を取材、奥さんにお伺いしたお話をご紹介します!
※前回までにコチラとコチラをご紹介
~~絵描き 奥 誠之 さん~~
奥さんは1992年東京都の生まれ。2014年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業されたのち、2018年には東京藝術大学の美術研究科絵画専攻を修了されています。本格的に絵自体を描き始められたのは、高校一年生の終わりごろからだそうで、友人に誘われ、もともと好きだった絵を描き始めたことがキッカケだったそうです。
そして、今回のタイトル「絵具の地層」のベースとなる、木のパレットは当時から使っておられるとのこと。
「主には小さな生き物、ハトや犬、子どもっぽい人などを描くことが多いです。(そうした対象を)よく見ているから。昔からよく書いているし、昔の自分のようにも見えます」と語る奥さん。
1つの作品に1~3年かけられるそうで、制作途中で半年等の期間を空けたりされることもあるそうです。
また、描く(表現する)理由として「人と話すのは好きなのですが、どうしても"行儀のいい言葉"を選んでしまうんですよね。一方で"素の自分を出す"いい手段として、絵を描いています。制作している間は、自分が感じていることや、自分自身と向き合える時間なので楽しいです。ほかにもエッセイを出しているのですが、アーティストはよく"天才肌"などと言われる中で、(奥さんとしては)時間をかけてやったことの"振り返り"をすることに意味があるとも感じています」とのこと。
そんな奥さんのワークショップとはどんなものなのでしょうか…??
「絵具の地層を掘り起こす」とは
今回のワークショップは、もちろん奥さんが"描く(滞在制作を行う)"という面もあるのですが、一方で、上述の"高校時代から使っている"(単純計算で13~4年)絵具を調色する木製の"パレット"を"めくる"という趣向になります。
これは「単なる彫刻」のように思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
では何かといいますと、奥さんのパレットには無数の絵の具が乗っており、上から(絵の具を)乗せてはまた上から乗せ、がずっと繰り返されてきたことにより、内部層でまだ絵の具が固まっていなかったり、何とも言えない味わいのある色ができていたり、といった"パレット自体が作品"状態なのです。
その"層"となった絵の具を、ノミで"めくる"というのが今回のワークショップなのです。
実際に私も一か所めくってもらいましたが、確かにまだ乾いていないような、そして何色とも表現しがたい無数の色がそこにはありました。"制作作品"ばかりでなく、その過程で生じた、いわば"副産物"的なところに焦点を当てた、面白いワークショップです。
アーティストとは別の顔として、図書館司書もなさっている奥さん。今回の鈴木安蔵の生家には書斎等に蔵書もあり、本がある場所で制作ができるというのも、環境的に非常にあっているとお話し下さいました。
ということで、今回は絵画作家 奥さんのワークショップ・作品についてご紹介しました!
次回は、2月20日に行われる「ハマカルアートプロジェクト2023 最終報告会」における安芸さんの報告等についてお伝えします、お楽しみに!