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"OUT LOUD"をお楽しみいただくために②

Follow me!! Hama Showです!
僕の活動10周年を記念する個展"OUT LOUD"をお楽しみいただくための記事第2弾。今回は、Hama Show自身の起源(オリジン)についてのお話です。

今回の個展名である"OUT LOUD"は"声に出す"という意味があります。これはダンサーが写真という媒体の中でも声を出すかのように魅力が失われない様子と、Hama Show自身がこの10年で自分に自信をつけ自分は何者であるか声を出して言えるようになった…という2通りの意図があります。

前回はモデルを務めてくれたダンサーの皆さまについて。今回はHama Show自身の10年前の話を少し。


親が見ていたTV番組の影響でダンスを始めた僕は、高校生から20代後半までダンスが中心の生活を送っていました。

ダンサーでいるということは、自分を磨き続けることでもあると思う。レッスンや振り付けやショーをしてお金をいただくということは、それ相応のパフォーマンスを維持していかなければならないと勝手に思っていた。だから僕もそれなりに長くダンスを続けて、日頃からのトレーニングや身体作りもしていたのだけど、目立った結果(いわゆる、賞とか)が付いて来たことは無かった。

26歳ごろかな。日頃から自分を鍛えつつ、でも、挑戦することを止めて久しかった僕は

「なんでダンスやってるんだっけ? 何に役立つのだろうか。」


…と、ふと冷静になって妙に冷めてしまう時間が増えていた。思えばそんなに思い込む必要はなかったのかもしれないけど。

それでも、日々youtubeに上がるダンスイベントの映像やネットの情報などは追っていて、フリーペーパー”DANCE DELIGHT MAGAZINE”も毎月購読していたのだけど、それはダンスから離れまいとする惰性のようだった。漠然とした不安を感じながら、毎日がなんとなく過ぎていた気がする。

地を這うように歩く犬にも棒はあたる。きっかけは僕にも突然訪れた。

2012年春。DANCE DELIGHT MAGAZINE に”ダンス界の宝”と称されて、あるフォトグラファーが特集されていた。名を”LITTLE SHAO”。元々ダンサーだったフランス人フォトグラファーだ。

ある写真を見て、遠雷のような静かな衝撃を受けた。

フロアの真ん中に一人、ダンサーが配置されたその写真。そのダンサーのただならぬ迫力とパワー。彼がスーパーヒーローの1人だということをその写真は静かに伝えていた。1枚の絵に魅力が溢れていて、感想を口にすることさえ野暮に思えた。写真とはこんなに伝わるものなのか、と思い知らされた。

「(写真…やってみようかな…)」

だが、ハッと我に返る。

「撮る?誰を?どこで?誰がお前の写真見るの?そもそもカメラ持ってないじゃん」

反射的な自問自答。僕は当時27歳。「今さら始めて恥ずかしくない?始めるの遅すぎて、前から写真撮影をやってた人らに勝てるわけないやん。センスある人がやることでしょ」と、謎の卑屈さも顔を出す始末。

疑り深くて慎重な元々の性格に、不安要素がベタベタと張り付く。

「ちょっと経ったら気持ちも落ち着くだろ」とその感動にフタすることが正解だと思えた。

今思えば、自分で自分をボコボコに叩いていた。

情熱で動いたところで、大成するのはほんの一握り。才能とチャンスと人脈に偶然恵まれた人が努力を重ねて得られる結果である、とよくある理屈を並べて、その場に留まる自分を正当化していた。理由を付けて離れるほうが遥かに楽なことを経験上分かっていたし、自分を厳しく客観視出来ていると思い込んでいた。周りのやさしい人の言葉も、自己啓発を促すネット上の名言も、受け入れるにはひねくれすぎていたし、成功体験が無い=実績が無いという何よりの証拠があったので、理想を語るには心が冷めていた。お金と時間を使って、何が得られる??誰にも何も言われてないのに「挑戦するのはめんどくさくて恥ずかしい」というイメージに囚われると、足が重くなった。どこかで見たようなパターンだった。


しかし、


いくら理屈を付けても、感情や知的好奇心は抑えられないもの。あの日見た写真の感動は、確かに僕の心に影響して、生活の中に深く入り込んでいた。

たとえば、外出先で良い景色に出会うと「ここにダンサーを立たせてみたい」と感じたり、SNSにアップされるイベント写真を見て「僕だったらもっとこう撮りたい」と思ったり…と、心の動きに変化があらわれて、僕はそれに気づいてしまった。

あの写真はどうやって撮るのだろうか。そこにはどんな景色が広がるのだろうか。

…そういえば、ダンサーを撮る写真家さんて日本にいるのかな。

…インスタちょっと覗いてみよう…

(これでもかと理由を付けてフタをしたはずの僕の情熱は、ついに自分の指を動かした)


ところが、ダンスを(特にストリートダンスを)主に撮っている写真家さんは、その時見つからなかった。

…いや、そんなことはないはず。ストリートダンスはカッコいいのだ。そうでなければダンスはこんなに世の中に広がらない。動画はこんなに溢れているのに…ダンスを撮る写真家…日本で誰もいないはずはない…なのに、なかなか見つからないってことは、撮る人は少ないのだろうか?それともネット上に出回っていないのか…。

…だったら自分で作ってみようか…もしかしてこれはチャンスなのでは…

そんな心の声が日に日に大きくなった。

まあ、ダメでもいいか。上手くいかなくてもいい。だって素人だもん。恥かいていいじゃん。上手くいかなくて当然。やったことないことをやるんだから。

答えのないものを考えすぎて、なんだかメンドくさくなって、ついには開き直ってしまった。ビクビクしながらノロノロと動き始めた僕は、自分の手が届く範囲の状況だけを鵜呑みにして、開き直り、カメラを買うことを決意した。悩みに悩んで迷いまくっていたら、記念すべき1台目のカメラを買うまでに半年ほど経っていた。2012年秋のこと。


…これが僕のオリジン。
決して前向きと呼べるものではなかった。

その7年後、僕はRed Bullの公式フォトグラファーにスカウトされる。人生の中で一番大きな成功体験だった。そして10年後、全国・世界規模のダンスイベントに呼ばれるようになり、信頼できる方々に恵まれて、北は北海道から南は沖縄まで遠征して作品撮りを行えるようになった。


ここまで読んでくれたあなたはいま、何かに悩んでいますか?
現状を変えたり、抜け出したいと思っていますか?
それとも、何かを作り出したい人ですか?

伝わらないことも重々承知で、それでも大きな声で言いたいのは、きっかけと習慣で人は一歩踏み出せるし、よりよく変われるということです。

そして、表現活動というのは本当に素晴らしい、ということも伝えたい。歌・ダンス・写真・映像・書道・作文・服やアクセサリーや彫刻などを作るのも…誰かを応援したりすることも表現活動だ。…自分のやりたいことをカタチにするというのは、気持ちよくて、良いエネルギーが回ることなんだ。ストレスやフラストレーションもカタチを変えて出てくる。

僕は、やりたいことをもっと気軽に出来る世の中にならないかなって、いつも想ってる。僕もまだまだ道の途中だし、僕自身の体験談や出来ることは限られてる。だから何かを勧めるのは、ちょっとおこがましいのだけど、それでも言いたい。

やりたいことを少しずつカタチにしよう。具体的な方法が必ずあるよ。

もし、押し付けがましく感じたら、今すぐこのページを閉じて大丈夫。時間は有限だし、いらない情報は見なければいい。だけど、その反面、僕が作ったものが誰かの役に立ちますように、と願ってならない。

あなたの内なる情熱は必ずカタチになる。あとは行動だけなんだ。
あなたの身にもOUT LOUDが起こりますように。

僕のOUT LOUDは明日から。


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