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あなたの釣り竿はなぜ折れるのか?

結構みんな竿を折っている

Twitterを見ていると竿を折ってしまったという投稿がよく目に入る。人は竿を折ったとき、投稿せずにはいられないのだろう。

釣り場で竿を折った人を見かけることもある。竿が折れる音というのは意外にあっけなくて、そんなに派手な音ではなくパキッと鳴ってそれまでである。持ち主のほうはたいていの場合あっけにとられ、そして絶対もとに戻らないはずなのに、とりあえず折れ目を継ぎ合わせようとしてみる。

そう、結構みんな竿を折ってしまっているのだ。

そんな簡単にロッドは折れない

しかし、自慢じゃないが私は一度も竿を折ったことがない。釣りから遠ざかっていたブランクの時期を除いても20年は通算で釣りをしているが、それでも竿は折れていない。いや、偉そうに言ってて次の釣行であっさり折ってしまうかもしれないが。

なぜ、竿を折らずに済んでいるか。それは第一に、竿が折れる理由をある程度把握できているからだと思っている。逆に言えば、どういうことをしてしまうと竿が折れてしまうかを知らない人が竿を折ってしまうのだ。

そもそも竿というのは、ちょっと曲げたくらいでは折れない。以下の動画を見てほしい。

これは新世代のカーボン素材の強度をアピールするための動画だが、比較対象として実験されている従来のカーボンでも十分に負荷に耐えていることがわかると思う。では、なぜ竿を折ってしまう人が後を絶たないのか?

竿が折れる理由、トップ5

本題に入ろう。竿が折れる理由のうち、トップ5に入るだろう理由を挙げてみる。なお、これは私の独断と偏見によるもので、とくにデータがあるわけではないので鵜呑みにしないで頂きたいが、それでも参考になる部分があれば幸いである。なお、車のドアに挟むとか、足で踏んだとか、理由が明白なものは割愛する。

1.ジョイントの緩みによる口割れ

2.無理な取り込み、抜き上げ

3.ブランクのキズ

4.糸がらみ

5.竿先だけでのキャスト

一つずつ解説していこう。

ジョイントの緩みによる口割れ

ロッド破損の理由で最も多いと思っているのがこれだ。竿をちゃんと継げていない人が多すぎる。

竿なんか誰でも継げるだろ? と思う人がほとんどだろうが、まっすぐ継げているかどうかではなく、十分に力を入れてしっかり差し込めていないのだ。

1ピースのバスロッドなどは別として、多くの竿には継ぎ(ジョイント)がある。ここの差し込みが不十分な場合、継ぎ目に負荷が集中して口割れという現象が起きる。

この内容についてはこれ以上ないくらい丁寧に解説された動画があるので紹介しよう。

ジャンプライズ代表の井上氏による紹介。これを見てもらえば、どれくらい力いっぱい竿を継がないといけないかがわかると思う。正直私もしっかり竿を継ぐことは昔から意識していたがここまで荷重をかけてはいなかったので参考になった。ちょっと長いので9:30~だけ見ても正しい継ぎ方はわかるが超タメになるのでできれば全編みてほしい。とくに3:15~の衝撃映像は是非見てほしい。竿は曲げるだけならそう簡単には折れない、と言っている意味が分かってもらえると思う。このシーンを見れば「普通に使ってたのに折れた」とは言えなくなると思う。

なお、念のためだが、繊細なトラウトロッドなどではここまで荷重をかけて差し込まなくてもよいことは補足しておく。ケースバイケースでほどほどに。

無理な取り込み、抜き上げ

お次はこれ。魚がヒットして興奮しているときに起こりがちだ。大体の場合、ロッドに対してラインの角度が90度以下の鋭角になった際にロッド破損が起きる。要は以下のような抜き上げ方をするとダメだ(イラストじたいを否定するものではないです、念のため。いらすとやさんありがとうございます。)

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よく初心者に「竿曲げて!」と声をかけている姿を見かけるがこれは危険だ。「竿曲げて!」というと多くの人は手首で竿を立ててしまう。手首で竿を立ててしまうと角度は鋭角になりやすく、その状態で竿を立てて魚を引き寄せようとするとこのイラストのような角度になってしまい、不幸な場合は竿が折れる。

じゃあどうやって取り込むようにすればよいかというと、ある程度リールで魚を寄せたら、竿の角度はそのままで自分自身がずり下がればいいのである。もしくは竿を持つ手だけを体の後方にもっていけば良い。エリアトラウトの動画なんかを見てもらえれば言っている意味がよくわかると思う。

竿を曲げるというのは必ずしも間違いでないが、手首で立てるようにして曲げるのではなく、手首は固定したまま、腕ごと持ち上げるようにすれば竿は胴から曲がるのでそうは折れない。テキストで表現するのが難しいので詳しく知りたい方は以下の動画をご覧いただきたい。


ブランクのキズ

まず言っておきたいのは、竿をコンクリの角に気軽に立てかけないということ。もちろん場合によっては仕方ないのだけど、雑にカツっと音を立てて立てかけている場合はよろしくない。

ロッドというのは繊維状のカーボンシートを円筒状に巻き上げているものなので割れ物と思って扱ったほうがいい。当然固いものにぶつけたらキズがつくし、キズの箇所は強度が著しく下がる。

あと、絡んだルアーや、ルアーにくっついてきたごみを外そうとして水面にルアーを叩きつけたり、竿先を激しくゆすったりする人も多いがその際に竿にルアーが強く当たっていないだろうか?当然これもキズのもとだ。

キズが付いたロッドで気づかずフルキャスト。その瞬間にパキッ、というケースはそれなりに多いと思われる。

糸がらみ

ラインがロッドに巻き付いたりガイドに引っ掛かったままキャストしてしまえば、当然強烈な負荷がロッドにかかって折れる。このトラブルも多いと思う。

釣りに慣れていると、キャスト直前の巻き上げの段階でラインの絡みに気づくことができる(通常の巻き上げよりも摩擦抵抗の分、重く感じる)が、初心者のうちや、経験者であってもナイトゲームで視界が効かないときなどにやってしまいがちなミスである。

私の場合、なにか違和感があれば投げる前に一度ラインをフリーにして、スムーズにルアーや仕掛けが竿先から落ちていくかを確認するのが癖になっている。(多くの経験者がそうしていると思う)後方の安全確認なども含め、慌てずに確実にキャストすることを心掛けたい。とくにボイルを目視したときなど、心が急いている場合は気を付けたい。

竿先だけでのキャスト

これは説明が難しいし、自分自身も人に誇れるほどキャストが上手くないのでアレだが、、、たまに釣り場で見かける腕力だけでめちゃくちゃ飛ばそうとする人についてだ。

竿を胴から曲げずに、腕のスイングスピードだけでビシュ!と力任せに投げるのは、竿への負荷がとても強い。スイングスピードが速いこと自体は悪くないのだが、竿が曲がっていない状態から急激に負荷がかかかるのがよくないのだ。ルアーや仕掛けをテイクバックする際、スムーズに後方に倒れこんで、徐々に竿を曲げこむようにすれば問題ないのだが、テイクバックの途中で糸がたるんだりした場合、たるんだ状態から急激にキャストモーションに入るとロッドの局所に負荷がかかる。

折れない竿もない

いろいろと書いてみたので参考になればうれしい。いずれにせよ、竿はちゃんと使えば滅多に折れるものではない。普通は竿が折れる前に糸が切れるようにできている。

とはいえ、折れない竿はない。扱いを間違えばどんな高級機種でもあっさりと折れてしまうだろうし、高級機種のほうが高弾性のカーボンを使う傾向にあるので折れやすい可能性すらある。いい道具だから壊れないというものではないのだ。

余談ながら、個人的にはよく曲がる胴調子の竿を使ってみるのがよいと思う。竿が曲がって仕事をするとはどういうことかが理解しやすいからだ。とくに胴調子の竿を使用することの多い代表的な釣りとしてエリアトラウトの釣りをお勧めしたい。エリアトラウトの釣りが上手い人は総じてロッドの扱いがめちゃくちゃ上手いものだ。

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