ソーシャルメディア四半世紀バナー

20代のアプリ開発者が知りたかったWebの歴史『ソーシャルメディア四半世紀』

これからどんなインターネット・ビジネスをする上でもこの歴史を知っているのと、知らないのでは大きな差が出ると思います。そういった意味で、この業界のひとは必読かと。
(メルカリCEO山田進太郎氏「SUADD BLOG」2018年7月7日

こんにちは!キッチハイクというアプリで、グロースを担当しているハルです。

昨年 toC PM Nightというイベントに参加したら、20代前半の若手PMたちがたくさん来ていました。前職辞めたとき農家に転職しようかなあとも思っていたぼくには、こういう時代なんだ〜と気づきでした。

mixiや食べログなど、様々なソーシャルメディアの25年間分の歴史がギュッと詰まった『ソーシャルメディア四半世紀』は、メルカリ山田さんのブログで知っていたのですが、定価3520円・500ページ以上もあるし重そうと思っていたら、2020年になってしまいました。ようやくお正月、暖かいこたつで安らかに読み進めたら、気づけばお正月が終わってました(大作すぎ〜〜!)。でも、20代であり歴史を知らないぼくにとっては、自分がここにいる背景を知ることに、役に立つ以上の意味があると思いました。

この記事では、とくに面白かった2つの流れを簡単にご紹介します。深く知りたい方は、ぜひ本書も手にとってみてくださいね。

価格.com、@cosme、はてな、食べログ、GREE、mixi、etc. 著名ネット起業家の声から国内ソーシャルメディアの25年間を振り返る壮大な記録!
(ソーシャルメディア四半世紀 帯文)


1.情報からコミュニケーションへ

2000年前後、『まぐまぐ』や『価格.com』『クックパッド』などの前身サービスが生まれ始めたばかりの頃、メディアは採算性がほぼ取れない取り組みでした。運営者もメディア一筋ではなく、ほかに持つ本業とのシナジーを期待して、あるいは学生が開発するような状況でした。

それが大きく変わるきっかけが、2004年のGoogleの広告サービス『アドセンス』の提供開始。PVや滞在時間を稼げば収益が見込めるようになり、事業者の参入が盛んになってきます。これが決定的な流れをつくります。

PVや滞在時間を増やしていくために生まれたのが、mixiの足跡機能、Twitterのタイムライン、Facebookのシェア機能、さらには、GREEやモバゲーなどソーシャルゲームというジャンルでした。

長時間利用してもらうサービスになるには、一人の利用者に長く滞留してもらうよりも複数利用者のコミュニケーションによって(中略)「時間消費者」になってもらうのが上策であると考えるウェブサービス運営者が出てくるのは自然であった。
(ソーシャルメディア四半世紀 237p)

ホワイトボード (2020-01-07 19_03_58)

2006年以降のスマホ普及も、リアルタイムでの交流を後押しします。この流れは、コミュニケーションの質にも変化をもたらしました。それは、コミュニケーションにおける『身内化』です。

2000年代は、ユーザーは意味のある情報をインターネット上にも求めていました。それがいまでは、不特定の人が読む場であっても、投稿者は特定の人を想定しながら投稿し、共感を得られるようおもしろさ基準でシェアをするようになりました。その反面、注意を引くものばかりを手に取り、集中力が続かなくなるような、悪影響も危惧されるようになっています。

Scannable の文書 (2020-01-07 18_54_51)

こうした変化をマーケティング的に捉えたのが、コトラーのマーケティング4.0、社会学的に分析したのがアーキテクチャの生態系だったんですね。一連の歴史を決定づけたグーグルは、ほんとすごい(小並感)

自社サービスを歴史の軸で捉えてみる

紹介もかねて、ぼくらが開発しているキッチハイクを、同じ軸でマッピングしてみました。

「キッチハイク」は、食べるのが好き!で集まるグルメアプリです。現在は、月500回ほどのごはん会を世の中に生み出しています。

参加者同士がほとんど初めまして、それなのに食卓を囲んでいると気づけば深く話しこんでいた。普段と違う人と話すから、じぶんにとって新しい世界に触れられる。そんなことがよく起きるキッチハイクは、以下のような位置付けでしょうか。

Scannable の文書 (2020-01-07 19_22_46)

新しくて、でもどこかで体験したことはある、そんな味のあるコミュニケーションを生み出すサービスだなあと思います。

2.メディアから仕組みの多様化へ

本書の紹介に戻ります。メディアは広告収入を活用することにより、発展していきました。ただ、広告収入だけだと売り上げの頭打ちが見えてくるので、2010年以降、課金体系の模索が進みます。たとえmixiのように広告収入だけで圧倒的にうまくいっていても、株主から事業ポートフォリオを厚くするよう要望が出ていました。

また、IPOを視野にいれた起業も増えていき、スケールも目指せるような事業が台頭してきました。それが、EC事業やプラットフォーム事業など、仕組みサービスです。

それまでのメディアだった食べログも、レビューサイトという一面だけではなく、『予約システム』という機能を取り入れはじめました。2015年頃のできごとです。ぼくにとって食べログから予約できるのは当たり前の感覚だったのですが、こんな最近のことだったんですね。

ここでいう仕組みのニュアンスは、情報を活用しながら意思決定と行動を支援する仕組みです。メディアは古い!というわけではなく、PV数を課金に変える以外の可能性が広がってきた、というわけです。

裏を返すと、いま起業家が多様なVisionを語って資金集めをしてサービスを事業としてつくることができ、そのチャレンジにぼくらが参画できるのは、こうした25年間の歴史があってこそなんですね。そして、この仕組み化は、まだまだ発展途上にあるかもしれません。

Scannable の文書 (2020-01-07 20_09_17)

ちなみに、株式会社キッチハイクのValue(行動指針)のひとつに『メッセージより仕組み化』があります。

メッセージより仕組み化
「メッセージで世界は変わらない。仕組みが世界を変える。」共同代表山本が創業時に掲げた言葉です。人を動かす仕組みの設計こそが、キッチハイクの強みであり、価値になります。
https://kitchhike.jp/

これは、事業形態を選択できるこの時代だからこそ、より立場を明確にする行動指針なのだと気づきました。キッチハイクのValueは、メンバーの普段のふるまいから自然とつくられてきたと古より伝えられてます。それが時代を背負って立っているなんて、ついエモさを感じちゃいますね。

アプリ開発関係の方、情報交換しませんか?

今回は、歴史の大きな流れを2つ紹介しました。『ソーシャルメディア四半世紀』は、アプリ開発などIT企業で働く人には、過去の起業家の思想を追えたり、アイデアの宝庫となっているので、ぜひ手にとってみてください。20代の方は、3章から読み進めると、よく知っているサービスの話が出てくるので読みやすいかもしれません。

また、もしよろしければスタートアップ/IT企業の事業グロースの関係者の方、情報交換しませんか? コーヒーかランチをご一緒しましょう! 何をやっているかや、最近感じていることなど聞きたいです。

キッチハイクは、コミュニケーションと仕組みというこれからの新しいあたりまえを作り出す領域にいるサービスです。気軽にDMください!(プロフィールにTwitter、Facebookを紐づけてます) その際、簡単なプロフィール添えていただけると安心します。

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