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最新特許技術を5分でざっくり解説(第3回)

登録されたてほやほやの最新特許技術をなんとなくわかった気になれるようにざっくり解説する記事を連載しています。

第3回は、高齢者等の見守りシステムに関する特許です。

【特許番号】特許第6697434号
【特許権者】株式会社シルバーライフ
【登録日】令和2年4月28日(2020.4.28)
【出願日】平成29年12月15日(2017.12.15)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
 クライアント端末と管理サーバーとが通信ネットワークを介して接続されたクライアントサーバーシステムを有し、前記管理サーバーが、利用者識別番号と見守り対象者の情報と見守り情報送信者の情報とを含む利用者データが格納された利用者データベースを有する安否確認システムであって、
 操作者により操作された前記クライアント端末が、前記見守り対象者の居所に設けられた識別標識を読み取り、
 前記クライアント端末が、読み取った前記識別標識を前記管理サーバーに送信し、
 前記管理サーバーが、送信された前記識別標識から前記利用者データの前記利用者識別番号を特定し、
 前記管理サーバーが、特定された前記利用者識別番号の前記利用者データの一部を前記クライアント端末に送信し、
 前記クライアント端末が、前記操作者により選択された前記見守り対象者のステータス情報を前記管理サーバーに送信し、
 前記管理サーバーが、送信された前記見守り対象者の前記ステータス情報に基づいて安否確認メールを作成し、
 前記管理サーバーが、特定された前記利用者識別番号の前記利用者データの前記見守り情報送信者に前記安否確認メールを送信する
 ことを特徴とする安否確認システム。

解説

この発明は、見守り対象の高齢者を訪問した食品配達業の配達員がスマホのアプリで高齢者の状態を報告すると、報告内容に応じた安否確認メールが高齢者の家族等に送信される、というシステムに関するものです。

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まず配達員は、見守りサービスに加入している高齢者宅に到着すると、サービスの加入時に玄関などに張られたQRコードを専用のアプリで読みとって管理サーバーと通信を行います。
QRコードにはサービス加入者の情報が紐づけられており、管理サーバーからスマホのアプリへ加入者の名前が送信されてきます。
配達員はアプリに表示された名前と配達先の高齢者の名前が正しく一致していることを確認し、食品の受け渡しを行います。

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そして配達員は、食品の受け渡し時の高齢者の様子などを見て、高齢者の状態をアプリに表示されたステータス欄から選択します。
アプリで選択された高齢者の状態は管理サーバーに送られ、その状態に応じた安否確認メールが管理サーバーから予め登録された送信先(高齢者の家族など)へ送信されます。

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こうして、高齢者の家族は、離れて暮らしている高齢者の状態を安否確認メールで毎日確認することができる、というわけです。

※解説内の図面は特許公報から引用しています。

所感

高齢者の見守りサービスと食品配達サービスとが合わせて提供される、というのは効率的で面白いですね。
きっと実際には、高齢者の家族には高齢者の安否だけでなく何を食べたかなども通知され、家族は高齢者の健康状態をより把握しやすくなるのでしょう。

特許の権利範囲は食品配達に限定されていないので、宅配便とか郵便とか高齢者宅を訪問する色々な業者と提携して見守りサービスを充実させた場合にもこの特許は使えそうです。

クレームに関しては、「前記クライアント端末が、読み取った前記識別標識を前記管理サーバーに送信し、」「前記管理サーバーが、送信された前記識別標識から前記利用者データの前記利用者識別番号を特定し、」の部分で、本当に標識を送信しているのか(標識を変換した文字列ではないのか)とか、番号を特定しているのか(文字列を含んではだめなのか)とかが、少し気になります。

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