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最新特許技術を5分でざっくり解説(第1回)

初めまして。企業の知財部で勤務するサラリーマンです。

今日から連載で、登録されたてほやほやの最新特許技術をなんとなくわかった気になれるようにざっくり解説する記事を書いていこうと思います。

特許は毎週何千件と登録になっているわけですが、その中からちょこちょこピックアップして紹介していきます。
今のところ以下にあてはまるものを中心に選んでいこうと思っています。
・ソフトウェア分野のもの(得意だし"ざっくり"解説しやすいから。)
・特許件数ランキングに載るような巨大企業以外のもの(掘り出し物の特許が見つかると面白そうだから。)

毎週最低1件は解説していけたらいいなぁと思っています。
お付き合いいただけると幸いです。

第1回は、スマートフォンのメッセージアプリに関する発明です。

【特許番号】特許第6697043号
【特許権者】株式会社カカオ
【登録日】令和2年4月27日(2020.4.27)
【出願日】平成30年9月5日(2018.9.5)
【優先日】平成29年9月5日(2017.9.5)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
 キー入力に基づいたアニメーション画像生成方法において、
 ユーザのサービスリクエストに応じてユーザ端末のカメラを起動するステップと、
 前記ユーザによってキーが入力されたか否かを判断するステップと、
 前記キーが入力されるごとに起動したカメラを用いて撮影した複数のスナップショットイメージを取得するステップと、
 前記取得した複数のスナップショットイメージを用いて時間に応じて変化するアニメーション画像を生成するステップと、
を含み、
 前記ユーザにより入力されたキーはテキストに対応し、
 前記スナップショットイメージを取得するステップは、前記ユーザ端末で起動したカメラを用いてリアルタイム撮影したイメージにユーザが入力したキーに対応するテキストがオーバーレイされたスナップショットイメージを取得し、
 前記アニメーション画像は、前記キーに対応するテキストがオーバーレイされたスナップショットイメージを組み合わせることで生成される、アニメーション画像生成方法。

解説

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この発明は、メッセージアプリでGIFアニメーション画像を送信する機能に関するものです。

メッセージアプリでのトーク中にこの機能を起動すると、スマホのインナーカメラが起動します。
そして、キーを入力するごとに(上の図の例だと「love」という単語の「l」「o」「v」と順にタッチするごとに)カメラで撮影が行われ、撮影画像に入力文字を重ねた画像が作られます。
完了ボタンなどを押して文字の入力を完了すると、それまでに作られた画像(「love」と入力した場合は4枚の画像)が連続して表示されるGIFアニメーションが作成されます。
こうして生成されたGIFアニメーション画像をトーク相手の送信できる、というものです。

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例えばこの図のように「ハイ ハロー」というメッセージを送りたいときに、ユーザが「ハ」の口をしながら「ハ」と入力し、「イ」の口をしながら「イ」と入力し、また「ハ」の口をしながら「ハ」と入力し、「ロ」の口をしながら「ロ」と入力していきます。
すると、「ハイ ハロー」としゃべるユーザの口の動きに合わせて「ハイ ハロー」の文字が順に表示されていくようなGIFアニメーションが作られるわけです。

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で、こうやって作られたGIFアニメーションをトーク中に送信しあうことができる。(ピイピイってなんだ笑)
こんな発明でした。

※解説内の図面は特許公報から引用しています。

所感

カカオトークって自分は使ったことないんですが、LINEと同じような使われ方をするアプリですよね?
デコった自撮りの静止画を送るのには飽きてきたけど、自撮りで動画を撮って送るのは重いしややハードルが高い。
そんな時に手軽にGIFアニメを作って送れるのは面白そうだと思います。
ユーザによっては自撮り以外の新しい使い方も生み出しそうですね。

ただ、この手の機能って一旦流行ってもわりとすぐに飽きられちゃうイメージがあるんで、末永く特許で守っていく技術って感じではない気がします。
特許で守って他社と差別化を図りつつも、飽きられる前にどんどん新しい機能を生み出していくことが重要ですね。

クレームに関して言うと、「前記キーが入力されるごとに起動したカメラを用いて撮影した複数のスナップショットイメージを取得するステップと、」というところがちょっと気になります。
アルファベット入力だと問題なさそうですが、ローマ字入力(子音と母音をそれぞれ入力)する場合や漢字変換する場合なんかにはちょっと工夫がいりそうですし、それをちゃんとカバーできるクレームになっているかはわからないですね。

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