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最新特許技術を5分でざっくり解説(第5回)

登録されたてほやほやの最新特許技術をなんとなくわかった気になれるようにざっくり解説する記事を連載しています。

第5回は、融資のための与信管理サービスに関する特許です。

【特許番号】特許第6701152号
【特許権者】株式会社 ディー・エヌ・エー
【登録日】令和2年5月8日(2020.5.8)
【出願日】平成29年11月10日(2017.11.10)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
 1又は複数のコンピュータプロセッサを備え、被融資者であるユーザの信用情報を管理するシステムであって、
 前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、読取可能な命令を実行することに応じて、
 ユーザの信用情報を更新するステップと、
 前記信用情報に少なくとも基づいて前記ユーザに対する報酬を設定するステップと、を実行し、
 前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、さらに、他のサービスへのアクセスを許可する設定を前記ユーザから受け付けるステップを実行し、
 前記更新するステップは、前記ユーザによってアクセスが許可されている他のサービスから取得される情報に少なくとも基づいて前記信用情報を更新することを含む、
 システム。

解説

この発明は、融資を受けているユーザの行動データなどをもとにユーザの信用力を随時判断し、信用力が高いユーザには優遇金利を適用する、というシステムに関するものです。

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このシステムには、融資を行っている金融機関などから、ユーザへの融資の内容や返済計画などの情報が登録されています。
そして、このシステムに登録されたユーザが特定の条件を満たす行動を行うと、ユーザの信用力ポイントがたまっていきます。

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例えば、ユーザがこのシステムにSNSのアカウントを連携させたり、クレジットカード情報を連携させたりすると、ポイントがたまります。
また、連携後にSNS内において、信用力が高いと思われるような行動や発言をユーザが行った場合にも、ポイントがたまります。
そして、たまったポイントの多さに応じて、融資時に決められた金利よりもお得な優遇金利が適用されます。

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すると、ユーザはお得な優遇金利が適用されるように信用力が高まるような行動をとることになります。
これにより、ユーザは金利が減って得をし、融資者は返済の延滞等などのリスクを下げることができ、Win-Winの結果を得ることができます。
こんな発明でした。

※解説内の図面は特許公報から引用しています。

所感

SNSでの会話やネット通販での買い物など、個人の生活における行動がどんどんインターネット上に移ってくるにしたがって、個人の行動の簡単が追跡できるようになってきていると思います。
そうした追跡から個人の信用力が判断できるとなると、融資の金利に限らず、様々なサービスがユーザの信用力に応じた内容で提供される時代が来るのかもしれません。
そんな仕組みによって大衆の行動がコントロールされる(みんなが信用力ポイントがたまるように行動するようになる)のは、うまく使えばより良い社会になりそうですが、ちょっと怖い気もしますね。

この特許は融資に関するものですが、この特許を使って融資を受けている多くの個人の信用ポイントを管理できるようになれば、それらの個人が使用する融資以外のサービスにもその信用ポイントを活用することができそうです。
その意味ではかなり将来的な可能性にあふれていますね。

クレームに関しては、ユーザの信用情報ユーザに対する報酬他のサービスから取得される情報など、限定的でない表現がされています。
実施例は解説したような融資の金利調整に関するものですが、クレームを好意的に解釈すればかなり色々カバーできそうです。

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