小説 雨は降り続く #1

4月XX日
雨が降り始めて、45週目の日曜日。
今日も雨は降り続いている。と、言うよりも雨が降らない日が来なくなって、もう10ヶ月以上も経っている。

今日は、体育館が他のクラブの使用日になっているので、僕らの部活はお休み。なので今日は連れのイオと服を買いに、ショッピングモールに出掛けた。

昨日、お気に入りのレインコートを汚してしまったので、今日はあまり普段着ないヤツを着ることにした。そしたら、イオのヤツははじめ僕だって分からなかったらしい。
いつもの待ち合わせのバス停で並んで待っていたら、イオのド派手な蛍光イエローのレインコートが見えた。ところが、ヤツは僕に気づかず後ろに並んだ。
イオに、"僕だよ、分からんかったか?"と聞いたら、"なんだよ、ミウラか。いつもとコート違うじゃねえか。"と、文句を言われた。
昨日コートを汚したの、お前じゃん。

バスが到着し、ガンガンに冷房の効いたバスに乗る。今日は空いているのでコートは脱いでもいいが、面倒なのでフードだけ上げて着たまま座席に座る。このスタイルになって4ヶ月、今までは気温が低かったからいいけど、暑くなったらどうなるんだろう。

モールに入り、入り口のクロークでレインコートを預ける。番号札をもらい、イオと2人でモールの中に入る。
さすがに日曜日なので人が多い。まあ、行くところが限られてしまうから仕方ないか。レジ待ちの列の最後尾に、30分待ちのプラカードを店員が持って立っている。それでも先週よりは少し列が短いかも。

服屋に行くと、既に夏用のレインコートが出ていた。去年の今頃は、まだ水着とかTシャツとか見てたけど、今はとりあえず流行りのコートを買わないと。情報番組によると、夏の流行はスケルトンらしい。それって、一周回って昔のレインコートみたいじゃん。なのに値段は1万2千円とか。
幾つかショップを回り、イオは流行りのスケルトンを、僕は薄い水色のコートを買った。

帰り道、新しくまた道路が崩落したらしく、いつもと違うルートだったので、家に着けるかどうか心配になったが、なんとか歩けなくはない距離のバス停に停まったので、そこでイオと別れて歩いて帰った。

夜、家族でテレビを観ながら夕飯を食べた。昨年の夏頃までは、盛んに大学の先生とか研究所の所長さんが、雨が降り続くそれらしい原因と、止みそうな見通しを語っていたけど、それもあまり見かけなくなった。まあ、一向に当たらないから仕方ないよね。
今は普通の番組に戻った。だけどロケ番組が少なくなったような気がするな。

降雨予報によると、明日は午前中に雨が止むらしく、降水確率が40%に下がっていた。できれば登校時間に止んでくれたら、今月初めてレインコート無しで通学できるのにな。

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