見出し画像

豊かな日本語で描かれると時代小説はグッとくる【感想文】「高瀬庄左衛門御留書」砂原浩太朗

(プチネタバレあり)久しぶりの時代もの。日本語の芳醇さを再認識させてくれる静かな文章をじっくり味わいながら、この世界を堪能した。藤沢周平を引き合いに出す書評・感想が多いのもよくわかる(っていうほどワシは藤沢周平は読んでないが)。山本周五郎賞の選考では「上品な一方で、きれいにまとまりすぎている」との評価もあったらしい。なるほど強訴事件の決着はちょっと出来過ぎかもしれないが、この小説世界を保ったまま最後にすべてを回収した手腕は素晴らしいと思う。いい読書体験。藤沢周平をもっと読みたくなった。
名セリフ。「人などと申すは、しょせん生きているだけで誰かのさまたげとなるもの。されど、ときには助けとなることもできましょう……均して平らなら、それで上等」
(21/5/23)

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?