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原稿ににじみ出る「他人事」

 早朝に関東や高知県に津波注意報が発令された(その後宮崎県や鹿児島県に拡大)。原因となった地震は「震源は鳥島近海でごく浅く、マグニチュードは不明」とされている(午前8時現在)。「マグニチュードが不明」というのはあまり聞きたことがないような気がするが、何か特異なことなのだろうか。NHKも民放も地図を掲出しながら注意報を伝えている。

 ある民放のコメントに「おやおや」と思った。

「この地震により津波注意が出されたと見られます」「警戒を呼びかけているということです」と、まったく“他人事”なのだ。

 津波注意報が発令されたのはまぎれもない事実であり、だから騒いでいるだろうに「出されたと見られます」はないだろう。原稿を書いた者の見識を疑うが、アナウンサーも周囲のスタッフもおかしいとは思わないのか。「津波注意報が発令されています」「警戒を呼びかけています」でいいではないか。

 ちなみに「気象庁によりますと○時○分に○センチの津波が到達したものと見られます」は、気象庁がこのように発表しているのだろう、おかしな表現ではない。

 かつて、新人に研修で原稿を書かせると「ということです」「と見られます」のオンパレードになったものだ。「私が実際に現認したものではないし、断定するのはなんか怖い」という心理なのだろうが、そうした「後ろ向き」「逃げ」の報道姿勢で信頼が得られるわけがない。

 研修ならまだいいが、実際の災害にかかわるOAでこれを聞くと本当にガッカリさせられる。大丈夫か?
(23/10/9)

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